運動能力

2018年11月 5日

スピードアップに必要な「正しい姿勢」と「筋力トレーニングのバランス」

「速く走れるようになって試合に役立てたい!」と思う選手。そして、その選手を支える親や指導者といった大人たちも「子どもの足が速くなってほしい!」と願うことは多くあるのではないでしょうか?

ヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める谷真一郎コーチは、早く走れるようになるためのポイントとして、「正しい姿勢を意識しながら、動きの速いトレーニングと遅いトレーニングのバランスを考えることが重要です」と話します。

正しい姿勢を維持することが速く走れるようになる一つのポイント

スピード強化には、ダッシュやマラソンといった「走るトレーニング」ばかりになりがちですが、姿勢のいいわるいも大きく関わってきます。わるい姿勢とは、骨盤が後傾し足の指が浮き猫背になっている状態を指します。

[わるい姿勢]

骨盤が後傾し猫背になりつま先が浮いてしまうわるい姿勢

[良い姿勢]

骨盤が前傾し肩甲骨が寄ったいい姿勢。小指で地面を感じることがポイント

人間が走るとき、一歩一歩地面を踏んで地面からエネルギーを得て、前に進んでいきます。しかし、猫背になっていると、地面を踏む力が弱まり、地面からの力を得ることができません。最近は、スマートフォンやパソコンといった正しい姿勢を保つ妨げになる生活習慣が多くあり、その結果が腰痛や肩こり、猫背につながってしまいます。

たとえばサッカーをするとき、姿勢がわるく、しっかり地面を踏み込むことができないと、相手に当たられたときに、簡単にバランスを崩してしまいます。それに、猫背になると目線が下がるので、視野も狭くなります。

それでは、速く走るために必要な「いい姿勢」とはどのようなものでしょうか?

まず足の指で地面をつかむようにして立ちます。このときに肩甲骨を寄せると、骨盤が起き上がり、背筋が伸びます。すると顔も上がり、肩、ひざ、足の裏の拇指球が同じラインになり、無理なく立つことができます。サッカーの試合中に疲れてくると、腰に手を当てて、下を見たりしてしまいますよね。そうなったときは、猫背になって姿勢がわるくなるので、肩甲骨を寄せることを意識しましょう。肩甲骨を寄せると骨盤と連動して上体が立ち、いい姿勢になることができます。

速い動きだけでなく、動きの遅いトレーニングとのバランスが大切

スピード強化には、先ほど紹介した正しい姿勢を維持することも必要ですが、筋肉をつける筋力トレーニングも行うことも重要です。

速筋繊維と呼ばれる「瞬発力に優れた筋肉」を強化すると、スピードは上がります。

多くのプロサッカー選手は、速筋繊維と上半身を鍛えることで動きのスピードアップにつなげています。上半身の筋力は必要ないと思っている人もいるかもしれませんが、サッカーの試合中、バランスを崩した時にすばやく立て直すといったよくある動作では、上半身の筋力が必要となってきます。上半身の筋力を強化するには、最大筋力に対する70%以上のウエイト・トレーニングが有効と言われています。

しかし、身体のパーツを強化するウエイト・トレーニングのような「動きの遅いトレーニング」ばかりになってしまうと、ダッシュなどの「動きの速いトレーニング」を行った時に身体が対応できなくなってしまいます。

つまり、動きの速さの違うトレーニングに取り組むにあたっては、動きの遅いトレーニングと動きの速いトレーニング(ダッシュやラダー)などといったスピード系のトレーニングとのバランスが重要になってきます。試合などの必要なタイミングで「身体が速く動く」感覚を失わないように、トレーニングのバランスを意識して取り組むことが、サッカー選手としてレベルアップするために必要なことなのです。

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谷真一郎コーチ(ヴァンフォーレ甲府・フィジカルコーチ)//

愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。 『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』

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