運動能力

2011年5月24日

【コンディショニング第2回】ウォーミングアップと練習後のケア

次に、練習後のケアについて触れていきます。練習後のクールダウンやストレッチは、疲労物質や硬くなった筋肉をほぐす効果があります。これらはスポーツ障害の予防に必ず繋がる大切なケアです。

例えばサッカー少年に多いスポーツ障害が「オスグット・シュラッター病」です。これはキック動作や走ることによって股関節と膝をつなぐ太ももの筋肉が膝のお皿を介して脛(すね)の骨を繰り返し引っ張るために起こるスポーツ障害です。これは子ども特有のスポーツ障害で、成長段階でまだ骨が軟らかいために、脛の骨が引っ張られ、出っ張ったり、はがれたりします。症状が悪化し最悪の事態となると手術をしなければならない状態になります。

では、「サッカーは蹴るスポーツなのに蹴る練習をひかえるのか?」という疑問がでてくると思いますが、ここで大事なのは、練習量に見合ったストレッチや体のケアを行うことです。

例えば、「オスグッド・シュラッター病」になる子どもは、太ももの筋肉が悲鳴をあげています。つまり、太ももが硬く、常に縮んだ状態だということです。正常な太ももの筋肉の柔軟性がある選手は、立ちながら膝を(お尻の方向に)曲げると踵がお尻につきますが、太ももが柔軟性を失った選手は踵がつかなくなってしまいます。

ですから、練習後には必ずストレッチを行うことが必要です。「練習が大変でそんな時間はない」とおろそかにせず、ポイントとなる部位だけでも、ストレッチを行って上げることが大切です(写真1)。

写真のストレッチは太股の前の筋肉を伸ばすストレッチです。柔軟性を失った筋肉でのプレーはケガにつながります。逆にストレッチを毎日少しずつでも行えば、ケガ予防はもちろん、プレーの向上に役立ちますので、ぜひストレッチをやりましょうね。

江上猛//

えがみたけし。ストレングス&コンディショニングを専門とするコンディショニングトレーナー。 福岡県筑後市にてセミパーソナルトレーニングシステム主体のトレーニングジムK2ATT(カット)経営。子どもから高齢者、競技選手にいたる幅広い年齢層とニーズに応じたトレーニング指導を行なうほか、本場中国武術を伝授し、普及活動を行うほか、中国武術を用いた身体操作法や独自のコンディショニング法により、体力増強や競技力向上でも高い評価を得ている。 また、一般社団法人ウェルネスJAPAN教育研修事業部チーフとして、スポーツ指導者、トレーナーのスキルアップ、及びスポーツ現場におけるスポーツ傷害予防を目的としたスポーツ医学やスポーツ科学に基づいた指導法を普及させる活動、セミナー活動も行なっている。 (社)ウエルネスJAPAN公式HP(PC)http://www.wellnessjapan.org/

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