2015年7月 1日

「多くの選択肢を与えて、応援すること」堀池巧の教育方針とは?

■子どもたちが選んだものに対して全面的にサポートする

-基本方針は文武両道でしょうか?
 
「サッカーをやっているから勉強をおろそかにして良いというわけではありません。『サッカーと勉強を両方やって初めてみんなからすごいねって認められるのではないのかな?』という話はずっとしてきました。べつに勉強ができるできないの問題ではなくて、『サッカーも勉強もどちらも一生懸命にやる姿勢が大事なんだよ』と言い続けてきたつもりです。その点で見れば、上の子も下の子も理解して努力していると思います。他の子どもと比べることには何の価値も置いていなくて、一人ひとりがどれだけ一生懸命になっているか。その姿勢をサポートしていくだけですね。選択肢を与えて応援する。それしか親はできませんから」
 
-お二人ともとても素直なお子さんだともっぱらの評判ですが、どちらかと言うと、褒めて育ててきましたか、それとも叱って育ててきたのでしょうか?
 
「どうなんでしょう。ただ、長男は窮屈だったと思いますよ。僕たち夫婦も子育てが初めての経験ですから、長男に対しては細かく言っていたかもしれません。その反省から、次男のときはちょっと引いて見るようにしたというか、長男よりももっと自由奔放に育てたと思います」
 
-兄弟の共通点はありますか?
 
「ふたりとも幼稚園からカトリック系の学校に通わせていましたので、人を思いやる気持ちであったり、カトリックの精神というものを学んでくれたと思います。僕が言うのもなんですが、本当に優しい子どもに育ってくれたなと思いますね(苦笑)。現在、長男は就職活動中なんですが、面接での態度をすごく評価されているみたいで、いい結果につなげてもらえれば親としては安心しますね。小さい頃から人前に出たときにどういう接し方ができるのか。自然と立立ち居振る舞いができる子になってくれたんだなって素直に嬉しく思いますね」
 
-長男はスポーツマネジメントに興味を持っているとお聞きしましたが、将来の夢を持つようになったキッカケはなんでしょう?
 
「ワールドカップを実際に観たことが大きかったと思います。1998年のフランスワールドカップは家族みんなで観に行って、2002年の日韓ワールドカップも観ることができました。2006年のドイツワールドカップでは、ドイツ対イタリアの準決勝のチケットが手に入ったんです。長男はデル・ピエロが大好きだったので『絶対行きたい!』と言って2泊4日の強行スケジュールで連れていったんです。試合内容も面白かったですし、大好きなデル・ピエロが決勝ゴールを決めたので大興奮していました。そうした”観る”という体験を通して、スポーツマネジメントという世界に興味を持ったようです。プロのサッカー選手にはなれませんでしたが、サッカーを通してやりたいことを見つけてくれただけでも恩返ししてくれたと思っています」
 
-次男はサッカー選手を目指しているのでしょうか?
 
「長男と同じく将来的にはスポーツマネジメントを学びたいと思うようになったみたいです。彼の場合は趣味も多くモノ作りや芸術的なセンスがあって、そこでいろいろ悩んだとは思いますが、長男から『スポーツマネジメントに興味があるんなら順天堂大へ来たらいいよ』とアドバイスしてくれたみたいで、同じ道を歩もうと思ったみたいですね。昔はよく兄弟ケンカをしていたけれど、いまは次男にとって長男は良き相談相手になっています。親から見てもとてもいい関係を築いてくれていると思います」
 
-親の期待どおりに育ってくれましたね。その理由はどこにあるのでしょう?
 
「理由なんて分かりませんが、本当に素直な子に育ってくれたと思いますね。他の子どもとは比べることはありませんが、我々は子どもたちのサポーターでしかありませんから、小さい頃から我々がなにかを”押し付ける”ということはしませんでした。ただいろんな選択肢を与えてあげただけ。そのなかから子どもたちが選んだものに対して全面的にサポートしていく。そういうスタンスでずっと夫婦で子育てしてきましたね」
 
次回記事:堀池巧の父親論「子どもと一緒に考えてあげることが大切」につづく>>
 

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