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  3. これからの世の中に必要な能力はすべて、遊びとサッカーが育ててくれる
  4. 「よのなか科」推進の藤原さんが大切と語る"縦"の親でも"横"の友達でもない、"ナナメの関係"がサッカー少年を成長させる

これからの世の中に必要な能力はすべて、遊びとサッカーが育ててくれる

「よのなか科」推進の藤原さんが大切と語る"縦"の親でも"横"の友達でもない、"ナナメの関係"がサッカー少年を成長させる

2017年2月17日

キーワード:情報編集考える力能力遊び

新しい時代、これからの時代を生き抜くために子どもたちに何が必要なのか? を考える壮大な連載もいよいよ最終回。
 
脱・正解主義、情報処理型から情報編集型の思考を育てる「よのなか科」の取り組み、世の中のルールが大きく変わる中で子どもにどう接するべきか? などをテーマに話を進めてきましたが、藤原さんはサッカーやスポーツをすることがこうした新しい教育や子育てを進めるのに適しているもうひとつの理由を挙げます。(取材・文 大塚一樹)
 
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■社会と子どもたちをつなぐ“ナナメ”の関係

「指示待ちじゃなく、自分で考えて行動するスポーツが新しい時代に必要な能力を養うのは間違いありません。サッカーみたいなスポーツが良い理由はもうひとつあります。親と子どもっていうのは、なかなかややこしいんです。ただでさえ、従うか反発するかなのでコミュニケーションが育ちづらい。サッカーとか、その他のスポーツとかを通してチームメイトやコーチと関係を持つことができますよね。じつはこれがとても大切なんです」
 
親や学校の先生との関係を“縦の関係”とすると、チームメイトとの関係は“横の関係”、サッカーコーチとの関係は“ナナメの関係”。このナナメの関係が、コミュニケーションスキルや社会性を育む社会との接点になり得ると藤原さんは言います。
 
「親子はややこしいし学校の先生もちょっと堅苦しい。でもサッカーのコーチって、サッカーを教えてくれる人ではあるけど、年齢も近いし話しやすいイメージがありますよね。こういう“ナナメの関係”が社会と子どもたちの接点になるんです。あと先輩、後輩もね」
 
藤原さんによれば、いまの子どもたちは、縦の関係はもちろん、横の関係、つまり友達同士の関係でもコミュニケーションスキルを育てることが難しいと言います。
 
「LINEでのチャットではコミュニケーション技術は育たないです。子どもたちのやりとりを見ていると、あれは会話のようでいて“独り言の応酬”なんですね。誰かと関わって相手の立場に立ったり、相手の考えを知ったりすることが大切なのに、ひたすら“自分ゴト”をつぶやいているだけだから」
 
質問したり、逆に質問されたりするサッカーコーチとの関係は、従うか反発かの縦の関係ともまた違う柔らかさがあります。
 
「コミュニケーションって、カルチャーの違う他人と関わることで生まれるんです。親ではなく、親戚のおじさんやおばさんやお兄さんお姉さん、あと先輩とか、そういう直接的じゃない関係の人と接することが大切なんです。だから、サッカーのコーチ、スポーツのコーチと関係を築くことはすごくいい」
 

■保健室が居場所になる理由

サッカーでも、真剣に取り組めば結果や実力、進路などシビアな要素が加わり、コーチと子どもたちが縦に近い関係になってしまうケースもありますが、小学生年代の指導者、コーチの多くは、子どもたちにサッカーの楽しさ、魅力を伝える存在であることを心がけています。コーチとのナナメの関係は、子どもたちの成長の糧になるのです。
 
「いまの子どもたちは過保護に守られているようで、むき出しの部分も多いんです。逃げ場がないという問題を抱えています。不登校になる生徒が保健室に行きますよね? 保健室は学校の中で唯一“自分を成績で評価しない場所”なんです。だから縦じゃない関係、ナナメの関係性を保てる人が身近にいることが重要なんです」
 
藤原さんは「親子関係はややこしい」と言いますが、最近は「何でも話せる友達親子」のような関係性も増えているように感じます。友達親子はナナメの関係になり得ないのでしょうか?藤原さんに聞くと、大きく首を振りながらこう答えてくれました。
 
「“ニューファミリー”みたいな友達に近い関係性を重視する教育論もあったんですが、親子はやはり友達ではありません。家にいつも友達がいる環境は居心地が良いかもしれませんが、子どもの自立の妨げになります。ニートの問題、引きこもりの問題を考えても、親子関係はある程度“縦関係”であるべきです」
 
親子には親子の関係性がある。藤原さんは、親はややこしい存在であることが大切な場合もあると言います。居心地が良すぎると、家を出ようとする自立心が育たない。また、価値観が一緒の友達だけでは「あ、うん」の関係で分かってしまうからコミュニケーションスキルを育てることにはならず、他者と関係を切り結ぶ練習にはならないのだと指摘する。
 

■かわいい子には(不便な)旅をさせよ

「親の役割として一つ考えて欲しいのが、子どもを不便な方に追いやるということなんです。一つは居心地が良く、便利な道、もう一方は不便なデコボコ道。道がふたつに分かれたとき、お父さん、お母さんには、どちらが子どもをより成長させてくれるかという観点で選んで欲しいんです」
 
友達親子では、一緒に楽な道、便利な道を選ぶこともあるでしょう。しかし、どちらが子どものためになるか、成長できるか? 学ぶことが多いのはどちらか?という視点を持つことで、親としての接し方が大きく変わってきます。
 
「あえて不便な場所に一人旅をさせてみるとか、不便なことを経験させてあげることも親の役割ですよね」
 
「コーチとの関係で思い出しましたが、いま日本でも海外クラブのスクールとかがありますよね。あれもすごくいいと思います」
 
次に子どもたちの成長のために必要な要素として藤原さんが挙げたのは、「異文化を体験する」ことです。
 
「わかりやすいのは海外体験ですよね。海外に出て初めて日本の良さを知ることができたという人も多いですし、外国人と交流することで、自分のことだけでなく、日本のこと、家族のこと、親のことを見つめ直すきっかけになる」
 
外国人から日本の文化について聞かれたとき、自分では当たり前のこととして受け止めてきたことが当たり前じゃないと気づく瞬間があります。外国人の質問が外からの刺激になって、考えるきっかけや自分の意見や仮説を引き出してくれるわけです。もし最初は上手く答えることができなかったとしても、考えるきっかけにはなるはずです。
 
藤原さんは、実際に海外に出向くのは中高生になってからでも、サッカーを通じて外国人コーチと触れ合う機会は、小学生にとって得難い異文化との接点になると言います。
 
「正解が必ずしもひとつではない世の中を生き抜くためには、子どものうちにどれだけ異文化と接する体験をしたかというのもとても大切な要素になります」
 
次ページ:子どもたちが体験すべき3つのこと

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取材・文 大塚一樹

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