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子どものサッカー 父親の役割

お父さんにできること 気になる金銭面でのサポートは?

公開:2013年9月30日 更新:2013年11月26日

キーワード:サポートスクール

 お父さんの役割について考えるこの連載。これまで、コーチとして、審判として、子どもたちに好きなサッカーを続けさせてあげたい一心でがんばるお父さんの現状を取り上げてきました。連載の最後は、普段なかなか取り上げる機会のない「お金」の話です。
 
 
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 子育てにかかる金額は少なく見積もっても1000万円から2000万円。週刊誌などでも度々取り上げられるこの数字を見て、ため息をつきたくなることもあります。公立、私立、学校教育の他にどんな課外活動に参加するのかによっても大きく変わると言われる子どもにまつわるお金のお話。
 
「金額じゃない」「やりたいなら続けさせてあげたい」と言い切りたいのは山々ですが、ない袖は振れないのも事実です。今回は、サッカーを続ける上で、とても重要な「お金」について考えてみます。
 
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■サッカーは習い事?

「習い事」というと堅苦しく聞こえるかもしれませんが、子どもたちの多くは幾ばくかの月謝を払ってサッカーをしています。『たまごクラブ』『ひよこクラブ』などでお馴染みの、ベネッセコーポレーションが実施、公開している「学校外教育活動に関する調査」によると、小学生の学校以外の教育活動に対する費用は1ヵ月に16,200円。この調査は2009年に続いて今年の3月、4年ぶりに行われました。全体の金額は2009年は1ヵ月当たり17,900円ですから、やや減少傾向にあるようです。
 
 これは塾やそのほかの様々な「教育活動」つまり、習い事全般についての金額になります。内訳を見てみると、スポーツ活動に4,500円、芸術活動に2,300円、家庭学習に2,900円、教室学習に6,500円となっています。
 
 スポーツ活動の中身では、1位は不動のスイミングスクール。2位にサッカー/フットサル、3位に体操教室がランクインしています。一昔前は部活動、地域活動の一環としてみられていたサッカーも、いまや立派な習い事。習い事という言葉の響きにあまりいいイメージを持たない人もいるかもしれませんが「どうせスポーツをさせるなら、人間教育にもなるものを」という声をよく聞きます。サッカーの技術だけでなく多くのことを学んでほしいという気持ちも込めて親は子どもにサッカーをさせているようです。
 
 金額に目を移すとサカイク読者のお父さんたちからすれば、4,500円という数字は純粋なスクール費、クラブの月謝で消えてしまうよ! というのが実感かもしれません。このほかにも遠征費や、大会参加費、ボールやシューズ、その他の消耗品といった細かい項目がさらに加算されます。以前サカイクが行ったシューズに関するアンケートでは、ほとんどの子どもたちが年間2~3足のペースでサッカーシューズを買い換えています。足の成長を考えれば妥協できないところですし、次から次へと現れる高機能、新機能を搭載したシューズが子どもたちのモチベーションになることもあります。
 
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■サッカーがうまくなるためにお金は必要?

 サッカーは、たとえばフィギュアスケートやゴルフなどと言った特殊な環境を用意しなければいけない競技に比べて、プレーを続けるための費用はそう多くはありません。習い事の上位に常にスイミングスクールがあるのも、日本中に自前のプールを備えたスクールがあり、国民の多くが子どもに「泳ぎくらいは身に付けさせたい」と思っているからに他なりません。フィギュア、ゴルフは子どもがプロになるのを見越して「投資」したとしても、多くが割に合わないとさえ言われる「高負担スポーツ」ですが、サッカーはどうでしょう。
 
 子どもたちのサッカーにかかるお金を「サッカー選手になるための投資」と考えている親御さんは皆無と言っていいでしょう。多くのお父さんが「子どもがやりたいというサッカーを続けさせてあげたい」「もっとうまくなれるチャンスを作ってあげたい」そんな風に考えて、サポートに徹しているはずです。
 
 一方でプロを目指す場合の金銭面での負担のハードルは以前と比べて格段に上がっているという現実もあります。いまや小、中学生のうちから県外遠征、さらに海外遠征をするクラブも珍しくありません。今夏も世界のビッグクラブがこぞって日本各地で行ったサマーキャンプ。これには何にも代え難い経験ができるというメリットがあります。しかし、十万円から数十万円かかる費用を捻出するのは現実的ではないと諦めている人も多いでしょう。Jリーガーになる選手たちの多くは子どもの頃から地域でその才能を認められてきた選手です。トレセンや選抜チームに入り、遠征を重ね、親元を離れてサッカーに専念する環境に身を置きます。子どもの頃の経験値はサッカーにおいて非常に重要な要素ですから、Jリーグ誕生以前のように純粋な「部活動」だけで、ずば抜けた選手が育つ環境はほぼなくなったと言っていいのかもしれません。日本社会の構造上、国などの支援だけで一流選手になるのも難しいでしょう。
 
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■なんのためにサッカーをするのか

 大好きなサッカーを無我夢中で続けていたらプロになれた。これが本来の理想ですが、プロになるならそれなりの準備をしておかないといけないのが現実です。大半のお父さんは「うちはプロを目指すつもりはないから」とおっしゃいますが「もっとうまくなりたい」という子どもの素直な気持ちを無視することはできないでしょう。「夢を簡単に諦めてほしくない」そんな気持ちもあるに違いありません。「プロなんて無理無理」と言いつつ「小学生のうちはがんばれるだけがんばって……」理想と現実の狭間で悩んでいるお父さんたち。せっかくその気になっている子どもに、頭ごなしに「プロになるのは無理」と言うのも違います。かといって過大な期待を寄せてしまうと、それがプレッシャーになることも少なくありません。金銭面や時間的負担を考えると、子どもの望みをすべてを叶えてあげるわけにもいきません。大人はできる範囲でサポートするしかないのです。
 
 これまで連載で見てきたように、お父さんたちはお金だけではなく「時間」や「気持ち」もかなりの割合で投入しています。
「お金? お金は大変だけど、子どもたちがサッカーしているのを見るとこっちまで楽しくなるんだよね。贅沢はさせられないけど、なんとかなるもんだよ」
 
 今回の連載をはじめるにあたって、あるお父さんにサッカーにかかるお金の話を聞いたときの返答です。
 結果はどうあれ、子どもたちが「サッカーやってて良かった」「サッカーを続けてきて良かった」そう思えるようにしてあげることしかないようです。
 
データ出典 ベネッセ教育総合研究所 第2回 学校外教育活動に関する調査 2013
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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取材・文/大塚一樹 写真/新井賢一(第37回全日本少年サッカー大会決勝大会より)

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