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サッカーで学んだのは『成功する喜び』と『楽しむ』ということ――元Jリーガー弁護士、八十祐治さん

2013年2月 1日

キーワード:体験

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これまでに続き、今回も元Jリーガーの弁護士・八十祐治さん(43)のインタビューです。横河電機で自身のサッカー人生に終止符を打った八十さんが選んだ次の人生は弁護士という道でしたが、ここでのスタートもプロ生活と同じく、決して順風満帆と行きませんでした。それでも、諦めなかった理由とはいったい何だったのでしょうか。
 
 
<<中編:波乱のプロ生活でも「サッカーが楽しい」から続けられた
 
 

■サッカーと同じ熱意を持てる仕事がしたかった

――プロに入るきっかけというのは?
 
「31歳に引退してからは、そのまま横河電機時代の会社で仕事を続けていましたが、サッカーを続けるために働いていた感じで、自分がやりたい仕事ではなかった。定年までの残り30年間、その仕事を続ける姿が想像出来なかったので、“もう一回サッカーと同じくらい熱意を持って、打ち込める仕事がしたい”と思って、弁護士を目指すことを決めました」
 
――それがなぜ弁護士だったんですか?
 
「サラリーマンでの中途採用ということで色々なしがらみを感じていたのです。それなら、試験を受けて資格を取れればと。年齢も経歴も関係なく、資格を取った所から同じスタートが切れる。サッカーをやっていたり、そうじゃない仕事をこれまでにやっていても、資格さえ取ればそこからは同じ土俵で仕事が出来る。そういう風な所で仕事をしてみたいという気持ちがありました。とはいえ、奥さんと子どもがいたので、最初2年間は会社に勤めながらの勉強。フルタイムで働いて、夜に予備校へ通うという形だったんで、なかなか勉強時間が取れなかったんです。2度旧司法試験も落ちてしまったので、このままでは行けないと仕事を辞めて、大阪に戻って旧司法試験の勉強に励みました」
 
――弁護士という夢を諦めそうになったりはしませんでしたか?
 
「子どもと奥さんには迷惑をかけられないなとは思ったのですが、“第二の人生こうなりたい”と決めて、2年間頑張ってきた事だったので、これは諦められない。早く受かるためにはどうすれば良いか?という事がまず先にありました。受からないかもという不安はいっぱいありましたけど、諦めようというのはほとんど考えていませんでしたね」
 

■サッカーには人生のヒントがある。

――サッカーが培った“やれば出来る”精神が活きている感じですね
 
「まさにそうですね。サッカーをやっていた時の気持ちと同じでした。“サッカーの時も頑張ればうまく行ったやん”という気持ちをずっと持ち続けていました。サッカーのおかげで強くなれたし、プロに行ってからの苦しい経験もあった。このまま終わったら、旧司法試験も2年行って諦めたとなったら、プロの時にダメだった気持ちをそのまま引きずってしまってはダメだと思っていました。プロは簡単に言えば失敗だったと思うのですけど、チャレンジしたこと自体はプラスになったということを証明したかったので、旧司法試験もプロからのチャレンジの続きと思ってやっていました。大学卒業するまでの良い経験もあったし、プロでの苦しい経験も全てが自分の力になっているのだという事を誰に証明するわけでも無いですけど、自分自身で形にしたかったのです」
 
――実際に弁護士という仕事をされている中で活きている部分はありますか?
 
「直接活きているかは分からないですが、サッカーで色々な経験をさせて頂いたのは大きかったですね。チームメイトや相手チームなど色々な人と接して色々な事を考えてプレーをする。全然、土俵は違うけど、弁護士も似ていて、依頼者がいて、依頼者の気持ちもある。裁判の相手方もいて、相手方の気持ちもある。それをサッカーのように色々、ベストを考えながら仕事はしています。こういう風に考えることが出来るのはこれまでのサッカー経験が間接的には活きているのだろうなとは思います。後はバランス感覚ですかね。チームの中にも試合に出られる人、出られない人。調子が良い人、悪い人がいる。その中でも人の事を考えてチーム一つとなっていこうとやってきた。裁判でも勝ち負けはあるけど、依頼者だけでなく、相手もうまく立てながら決着が着くのが良いかなと思う。そいうバランス感覚や相手を思う気持ちというのは仕事においても活きていますね」
 
八十さんのお子さんも現在、小学校1年生で昨年5月からサッカーを始められたそうです。お子さんを見に行くうちにコーチもお願いされ、現在は週末になるとお子さんと一緒にボールを追いかける日々で、「やりだすと必死になってしまいますね。自分がやっている時よりも教える方が大変。難しいですよね」と苦笑いを浮かべます。小学校1年生のクラスのため、ボールを止めることすらままならず、基礎的な技術をつけてもらうのに苦労しているそうですが、そこでも自身のサッカー経験は活きています。
 
それは“サッカーを楽しむ”ということ。八十さんはこう話します。
 
「楽しく笑いのあるサッカーをしたいですね。また明日も来たいなと思えるような。それと昨日よりも成長すること。サッカーが上手になる喜びを感じて欲しいですね。僕自身、小学校時代は勝ち負けよりも楽しい思い出しかないんで、そういう経験を子どもたちにも感じてもらえればと思います」
 
決して順風満帆では無かったプロ生活。旧司法試験で3度の受験失敗。苦しい時期を乗り越えられた裏には幼少期にサッカーで学んだ“成功する喜び”と“楽しさ”がありました。八十さんのサッカー人生には子どもを育てる上でのヒント、サッカーを通じて、“サッカーだけではない人生”を過ごすためのヒントがあるのではないでしょうか。
 
 
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八十祐治(やそ・ゆうじ)//
1969年10月31日生。大阪府出身。摂津総合法律事務所に所属する弁護士。
大阪府立茨木高校、神戸大学を経て、Jリーグ発足の1993年にガンバ大阪に入団。
MFとして、2年間3試合に出場した。その後はヴィッセル神戸や横河電機などを経て2000年に現役を引退。一度はサラリーマンとして働いていたが、弁護士の道を目指し、一念発起。
4度目の挑戦となる2005年に合格した。現在は大阪弁護士会に所属し、大阪市北区の摂津総合法律事務所に勤務する。
 
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