サッカー練習メニュー
2025年12月 1日
「座標軸」を意識してスペースを認知する! ペナルティエリア侵入のイメージ共有トレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回に引き続き、埼玉県で活動する烏天狗ジュニアFCの岩田耕併代表による「ゴール前の崩し」にフォーカスした、トレーニングメソッドを公開したい。
岩田コーチは埼玉や千葉の強豪クラブでの指導経験を経て、現在は4種の烏天狗ジュニアFC代表と、来年度立ち上げ予定のClub es西大宮(3種)の代表、さらには埼玉県南部U-15トレセンのリードコーチも務めている。
後編で紹介するのは、より実戦に近い「7対6+GK」のトレーニングとゲーム形式。ゴール前の崩しにおいて、岩田コーチが重要視する「座標軸を用いたスペースの認識」と「相手を動かしてスペースを作る」ためのコーチングは必見だ。(文・鈴木智之)
7対6+GKでスペースを攻略する
COACH UNITED ACADEMY動画、後編のテーマは「ペナルティエリアを攻略する為に必要なオフザボールの動きとスペースの活用!」。
最初のトレーニングは7対6+GK。攻撃側はゴールを目指し、守備側はボールを4回カットするか、逆サイドのラインまでドリブルで通過すれば攻守交代となる。
岩田コーチは、ペナルティエリア幅に置かれたコーンを基準とし、選手たちに「みんながどこかのエリアに寄ってしまうと、仲間とスペースが被ってしまう。どのエリアが空いているか、誰がそのスペースを使うのかを意識しよう」と声をかけ、ポジショニングの質を促していく。
サイドの選手に対しては、「ゴール前にダイアゴナルに入ってくるのはナイスだけど、相手がいるところに入っていくのではなく、どのレーンが空いているか、いつ入っていくかを考えよう」と状況とタイミングを認知した上で動くことをアドバイス。
常に相手の変化を観察することを要求
さらには「相手のセンターバック2枚をやっつけたい。どうすればいい?」と選手に問いかけ、そのためのポジショニングを指導。ポイントは「相手を前に出させて、相手の裏を取ること」にある。
守備側がボールを奪いに食いついてきた瞬間こそが、背後や逆サイドが空くチャンスとなる。動画内でも、相手DFの動きを見極めたスルーパスや、サイドチェンジからの崩しが多く見られた。
岩田コーチは「相手が出てくるまでボールを運んでおびき出す」「サイドバックが出てきたら誰が空く?」とコーチングし、常に相手の変化を観察することを要求。「誰が出てきた? 誰が空いた?」と繰り返し問いかけ、数的優位や位置的優位を見逃さないよう意識付けを行っていた。
「COACH UNITED ACADEMY」の動画では、具体的な位置取りや相手との駆け引きを丁寧にコーチングしているので、詳細を確認してほしい。
スペースを認識するために座標軸を置く
トレーニングの最後は8対8のゲーム形式。ペナルティエリア幅に設置したコーンを目安に、スペースの認識を促していく。
ここでは「サイドから入ろうとしたのはナイスだよ」「ペナルティエリアに進入するときは、オフサイドを取られないように、凹んでボールを受ける」「広げる人と間を割る人」「外と間」など、簡潔にわかりやすくコーチング。
これまでのトレーニングで取り組んできた現象が確認できる、ゲーム形式のトレーニングとなっている。
今回のトレーニングはここまで。岩田コーチはトレーニングを振り返り、「スペースを認識するために座標軸を置くことで、選手自身が『どこが空いているか』を理解しやすくなります。ただし、コーチが細かく言い過ぎると選手が混乱するので、ある程度は選手自身が見えるようになるまで我慢が必要です」と締めくくった。
前編・後編を通じて紹介した「ゴール前の崩し」トレーニング。スペースの認知と、相手との駆け引きを習得させたい指導者は、ぜひCOACH UNITED ACADEMYの動画で全容を確認してほしい。併せて岩田コーチのアドバイスの内容にも、耳を傾けていただければと思う。
【講師】岩田耕併/
東京都出身、指導を横河武蔵野スクールで始める。埼玉県のGRANDEフットボールクラブで9年行い、育成は4種年代からしっかりとやらないとと思い4種烏天狗JrFCを引き継ぐ。掛け持ちで千葉県のクラブ・ドラゴンズ柏U15で9年経て、2026年度より自身の3種クラブチームClub es 西大宮を立ち上げる。現在は埼玉県3種南部U15トレセンリードコーチも務めている。日本サッカー協会公認B級+ユースBライセンス、保健体育教員免許を保有。