サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。

今回より、埼玉県で活動する烏天狗ジュニアFCの岩田耕併代表によるトレーニングメソッドを公開したい。

岩田コーチは埼玉県のグランデフットボールクラブで指導を始め、クラブドラゴンズU-15で9年の経験を持ち、現在は4種の烏天狗ジュニアFC代表と、来年度立ち上げ予定のClub es西大宮（3種）の代表を務めている。また、埼玨県南部U-15トレセンのリードコーチも兼任している。

今回紹介するのは、ゴール前の崩しをテーマとしたトレーニング。岩田コーチが大切にしているのはスペースの認識と、どこにスペースが空いたかを意識させるコーチング。前編ではペナルティエリアに侵入するためのイメージ作りを高めるトレーニングを行っていく。（文・鈴木智之）

ペナルティエリア侵入のイメージを作る

COACH UNITED ACADEMY動画、前編のテーマは「ペナルティエリアに侵入するイメージを作る」。岩田コーチは「このテーマのポイントはスペースの認識と、どこにスペースが空いたかを意識してコーチングしていきます」と話し、トレーニングがスタートした。

最初のトレーニングは、ウォーミングアップを兼ねたドリブル＆パス。両サイドに2人ずつ分かれ、ドリブルからパスを繰り返していく。

岩田コーチは選手たちに「毎回蹴れるようにドリブルしよう」と声をかけ、ボールを足から離さない細かいタッチを促していく。さらに、パスを出す前にフェイントを入れる設定にチェンジ。

「フェイントを入れるとボール状況が変わるよ」「インサイドを使って、かかとを押し出そう」といった声掛けで、プレーの精度を高めていく。

パスを受ける選手に対しては「もらう人、右か左か少し斜めに要求しよう。真っすぐ降りないで」とアドバイス。受け手の動き出しの質に言及していった。

センターバックのラインをブレイクする

次のトレーニングでは、ゴールエリア幅のグリッドを設定し、パス&コントロールの形式で実施。岩田コーチが重視したのは、コーンをディフェンスラインに見立て、そこをブレイクするタイミングだ。

ラストパスを出す選手に対しては、「FWへのパスコースばかりを見ていたら、相手に守られてしまうので、自分で行く、またはゴールを見る意識を持つ」と、相手と駆け引きすることの大切さを伝えていった。

次のパターンでは、スルーパスを使った攻撃を追加。岩田コーチは「相手センターバックの背中側にランニング。ダイアゴナル」と指示し、ゴールから外れて、キーパーと出会わない位置でシュートを打てることのできるパスを強調した。

その他にも様々なシチュエーションで、コンビネーションを使ったフィニッシュワークをトレーニングしているので、詳細は「COACH UNITED ACADEMY」の動画を確認してほしい。

4対3+GKでゲーム形式へ

トレーニングの後半では、4対3＋GKのゲーム形式を実施。ゴールエリア幅でプレーし、攻撃側はダイヤモンド、守備側は三角形の位置をとる。攻撃側のアンカーの選手は手前のゾーンまでしか攻撃参加できないというルールを設定。攻撃側はゴールを目指し、守備側はボールを奪ってクリア（4回）か、コーンの間にドリブル通過（1回）できたら攻守交代となる。

岩田コーチは「自分のボール状況を良くしないと、何でもかんでも突破はできない」と選手に問いかけ、1つ前のトレーニングを振り返り、数的優位な状況での判断を促していく。

そのアドバイスにより、良い崩しからのゴールが生まれているので、全容は動画をチェックしてほしい。

今回のトレーニングはここまで。岩田コーチは「ペナルティエリアへ侵入するためのイメージ作りのトレーニングをしました。スルーパスやパスのタイミングを測るためのコーチングがとても大切です」と振り返った。

次回の後編では、7対6＋GKのトレーニングとゲームを実施する。実戦でのゴール前の崩しを習得したい指導者は、ぜひ次回の動画も視聴していただければと思う。

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【講師】岩田耕併／
東京都出身、指導を横河武蔵野スクールで始める。埼玉県のGRANDEフットボールクラブで9年行い、育成は4種年代からしっかりとやらないとと思い4種烏天狗JrFCを引き継ぐ。掛け持ちで千葉県のクラブ・ドラゴンズ柏U15で9年経て、2026年度より自身の3種クラブチームClub es 西大宮を立ち上げる。現在は埼玉県3種南部U15トレセンリードコーチも務めている。日本サッカー協会公認B級+ユースBライセンス、保健体育教員免許を保有。