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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020

「状況を見てどこにボールを動かすか判断」体格差に苦戦も健闘を見せたバルサ選抜の修正力

公開:2020年12月29日 更新:2020年12月30日

ジュニアサッカーワールドチャレンジ、大会3日目は決勝トーナメントと下位トーナメントが行われました。

ラウンド16の初戦では、優勝候補の鹿島アントラーズノルテジュニア(以下鹿島)が、バルサアカデミージャパン選抜(以下バルサ選抜)と対戦。バルサ選抜も健闘したものの、後半に個の力を見せつけた鹿島が2ゴールを奪い、勝利しました。(取材・文 鈴木智之)

 

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前の試合の経験を生かして、どういうプレーをするか準備してきたバルサ選抜。体格差に苦戦も随所に光るプレーを見せた

 

■状況を見てプレーを判断、バルサ選抜がグループリーグの反省から改善したポイント

どのマッチアップを見ても、鹿島の方が頭ひとつ大きい。バルサ選抜は体格差に苦しみながらも、GK藤田将真選手の好セーブもあり、前半は強敵を無失点に抑えます。チームを率いる堀口龍佑監督は「事前に鹿島の試合を見て、ポジショニングや選手の配置をどうすればいいかなどを考えました。前半はうまく戦えて、選手たちも頑張ってくれました」と及第点を与える出来でした。

バルサ選抜はグループリーグでガンバ大阪ジュニアと対戦しました。そのときは最終ラインからのビルドアップに対し、前からのプレスではめられてしまい、0対4で完敗。その経験を踏まえて、あらためて守備を整理したそうです。

「ガンバ戦後に『相手が前から来ているときに、どこにスペースがあるのか。状況を見て、どこにボールを動かせばいいか』を選手たちに考えてもらいました。普段、バルサのアカデミーでは『状況を見て、どういうプレーをするか』を意識させています。それが今日の試合では、うまく活かせたと思います」

バルサ選抜に限らず、大会を通して1日目より2日目、3日目と、プレーの質が向上している個人、チームがたくさんありました。真剣勝負を経験したことが、選手の成長に大きな影響を与えているのは想像に難くありません。

バルサアカデミーは福岡、葛飾、奈良、横浜の4箇所を拠点としています。ワールドチャレンジに出場するメンバーは各校から選抜された選手たちです。いわば急造チームですが、堀口監督は「各校とも、普段からバルサのスタイルでトレーニングしています。共通意識がある中で、選手の特徴をどう活かすかを考えていました」と話し、「初めて会うメンバーも多かったですが、試合を重ねるごとにピッチ内外で成長していく姿が見えたのは良かったです」と、子どもたちの成長に目を細めていました。

 

■選手の個性を活かせたFC市川GUNNERS

クラブにプレーモデルがあり、その中で選手の個性を活かしながら成長させていくのは、FC市川GUNNERSも同様です。グループリーグは3位に終わりましたが、ボールを保持し、選手たちが意図を持ってプレーする姿は、大会でも有数のクオリティでした。

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FC市川GUNNERSもクラブのプレーモデルの中で選手たちが個性を発揮していた

 

チームを率いる高村史也監督は、3日間の大会を次のように振り返ります。

「8人制から11人制になって、ピッチの大きさも倍になりました。その距離感に慣れてきてからは、良いフットボールになってきたと思います。ボール保持の時間はどの試合も長く、僕らのプレーモデルは披露できました」

FC市川GUNNERSには、クラブスタッフで作っているプレーモデルやトレーニングメソッドがあり、それに基づいてトレーニングを構築し、様々なシチュエーションを落とし込んでいるそうです。その根幹にあるのが「選手の個性を活かすこと」です。

プレーモデルの中で、選手の個性を活かす。選手の個性を活かすために、プレーモデルがある。にわとりが先か卵が先かではありませんが、どちらも大切なのが現代サッカーであり、現代の選手育成です。

選手に目を向けても、パスが得意な津久井然太選手や再三のドリブル突破で観客を沸かせた島村康生選手など、プレーモデルの中で個性を発揮している選手が多くいました。

高村監督は言います。

「もちろん、子どもたちには強くなってほしいし、うまくなってほしいです。そのような願望はありますが、一番は大人になってもサッカーをやり続けてほしい。長くサッカーを続けられる選手になってほしいですね。体力がなくなって、走れなくなっても、頭が良ければサッカーはうまくできますから

 

■ホテルの仕様にアタフタすることも。ピッチ内外での経験が成長のきっかけに

選手たちは普段のトレーニングから、たくさんのことを学んでいるそうで、津久井選手は「チームではメンタル面や攻撃場面でどうやるかなど、今後、成長するための練習をしています」と教えてくれました。

FC市川GUNNERSは選手の出場時間を管理しており、多くの子どもたちに出場機会を確保しているそうです。

「試合に出ることに意味があると思っていますし、試合に出ないと成長しないですよね。(ワールドチャレンジは)試合前にアンセムを流して、審判がユニフォームを着て笛を吹いてくれます。それによって緊張感を持ってプレーしますし、それが間違いなく、子どもたちの経験になっています」

この大会で成長する姿は見られましたか? と尋ねると、高村監督は次のように話してくれました。

「この数日間で、ピッチ内外で成長してくれたと思います。宿泊して、みんなで同じ時間を過ごすことも、良い経験になっています。ホテルの仕様に慣れずに、カードを持たずに部屋を出て、カギがかかってしまう子もいたり(笑)。それも社会経験ですよね。なによりも、今年は年末までサッカーができていることに感謝です。親御さんも色々と気にしていると思いますが、快く送り出してくれるのはありがたいです」

選手の数だけ成長があり、幾多のドラマを生んできたワールドチャレンジも3日目が終わり、いよいよ30日に準決勝、3位決定戦、そして決勝戦を迎えます。

 

【全試合結果・詳細】U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020 公式ホームページ>>

 

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取材・文:鈴木智之 写真:新井賢一

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