U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020

2020年12月27日

「失敗してもいいから、全力でやってこい」元日本代表・久保竜彦さんに勇気をもらった選手たちが躍動 ワールドチャレンジ2020初日

夏の風物詩だった『ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。今年は新型コロナウイルスの影響で、年末開催となりました。

海外クラブの参加は叶わず、日本の選手だけが参加する形となりましたが、子どもたちは久しぶりの大規模な大会に、緊張しながらもハツラツとしたプレーを見せていました。(取材・文 鈴木智之)

 


元フォワードとしてどのコースを狙うか、力の加え方などシュートのコツを指導したそうです

 

■街クラブ選抜の監督は元日本代表フォワード久保竜彦さん

大会初日の第1試合。早速、注目チームが登場しました。「大和ハウスFUTURES」です。東京、大阪、愛知などでセレクションを開催し、その中から選ばれた選手で構成されているチームで「中学から、J下部に行く子も多いです」(浜田満・大会実行委員長)との言葉どおり、タレントが揃っていました。

チームを率いるのは久保竜彦さん。現役時代は「ドラゴン久保」の愛称で親しまれた、元日本代表FWです。「普段はちょこちょこ呼ばれて(指導に)行く程度」(久保監督)と謙遜しながらも、子どもたちに的確なアドバイスをし、勇気づけて試合に送り出す姿は"監督"そのものでした。

大和ハウスFUTUERS、初戦の相手はコラソン千葉FC。立ち上りから、高い技術で試合の主導権を握った大和ハウスFUTUERSは、前半4分に海老原空選手(13番)がゴールを決めると、後半5分にはキャプテンの手嶋蒼介選手(8番)がドリブルで持ち上がり、強烈なミドルシュートを決め、2対0で勝利しました。

試合後、攻守に存在感を発揮した手嶋選手は「守備では相手を止めて、攻撃ではミドルシュートで1点決めることができたのでよかったです」と笑顔で振り返りました。その存在感は抜きん出ていて、久保監督も「2点目のロングシュート、パスカットから(足を)振り抜けるのは、小学生ではなかなかないと思う」と称賛していました。

右サイドを鮮やかなドリブルで駆け上がり、チャンスを作った小林葵選手(9番)は「初戦が大事なので、しっかり勝ててよかったです。久保監督から『失敗してもいいから、全力でやってこい』と言われて勇気が出ました。最初はちょっとだけ怖いのかなと思ったけど、話してみたら全然そんなことなかったです」と、はにかみながら話してくれました。

 

■違うチームの子と試合に出る経験を通して、チーム作りや大人とのかかわり方を学んでほしい

勢いに乗る大和ハウスFUTUERSは、2試合目のモンテディオ山形ジュニア戦も2対0で勝利。圧巻だったのが、徳山晃成選手(17番)の先制ゴールです。巧みな足技でボールをコントロールすると、左足で強烈なシュートを突き刺しました。

実は徳山選手、事前に久保監督のプレー集を見ていたそうです。

「監督が久保竜彦さんなので、スーパープレーの動画を見たりして、ミドルシュートを意識しました。昨日、監督からシュートについてアドバイスを受けて、しっかり軸足を固定してから『神コース(サイドネット)』を狙えとか、シュート態勢が横でも、前に体重をかけてボールに力を伝えようと言われました。得点の場面では、それが出せました。監督はサッカーも上手かったし、いろんなアドバイスをくれる。すごい人だと思います」(徳山選手)

久保監督は「みんな『シュートがあんま入らん』と言っていたから、そこを朝ちょっとやって。シュートを打つ場所や自分の得意な場所に持っていくことだったり、気づいたことを言いました」と、指導の内容を教えてくれました。

子どもたちについては「こんなに元気が良くて、レベルの高い選手とは思わなかった」と驚いたそうで、「自分のチームは(選抜なので)寄せ集め。寄せ集めで大会に出る経験は、代表でもない限りないと思うので、チームの作り方や大人との関わり方などを、子どもたちなりに感じてもらえれば、のちのサッカー人生にもプラスになると思う」とエールを送っていました。

 

■子どもの「こういうプレーがしたい」を邪魔しないこと


失敗してもいいから、全力でやってこい、という久保竜彦監督の言葉に勇気をもらった選手たちが躍動

 

さらに、サカイク読者に向けて「親の関わり方で大事なこと」を尋ねると、こう答えてくれました。

「一緒にやれるのであれば、一緒にやって。難しさだったり、悩みだったりは共感できると思うから。親御さんが一緒にやるのが、子どもにとって支えになると思うけど、それができないんだったら、何も言わずに見守ってあげるのがいいと思う。やってみて、どんだけきついのか、大変なことをやっているのかがわかるだけでも、見方が違ってくると思うので。自分は娘と一緒にテニスをやっていますけど、全然だめだから何も言うことはないです(笑)」

子どものサッカーを見守る姿勢については、次のようなアドバイスをくれました。

「小学生のうちは自分のやりたいプレーというか、思い描いているかっこいいプレー、こういうプレーがしたいというのを繰り返し、自分で勝手にやるものなので、それを邪魔しないように、できるだけ多くの時間を作ってあげること。自分が子どものときは外灯の下でボールを蹴ることができましたけど、いまはそういう時代じゃないので。できるだけ見てあげたり、車のライトをつけてあげて、その灯りで練習したりとか、いろいろアイデアはあると思う。子どもはボールを蹴るのが好きだから『もうちょっとやりたい』と言うもの。そこで親の都合で帰ったりしないように、子どもの気が済むまでやらせてあげる。なかなかできないとは思いますけど、それが大事だと思います」

指導者として、様々な経験をもとに子どもを導く久保監督。大和ハウスFUTUERSの選手たちが見せる、今後のプレーが楽しみです。

 

【全試合結果・詳細】U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020 公式ホームページ>>

 

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