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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017

バルサと日本の「ボランチ」の違いとは?U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジから見えてきた課題

公開:2017年11月 6日 更新:2020年3月24日

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一方で日本チームの改善点として「すぐに前方へとボールを蹴り出し、すぐにボールを奪われる場面が多く見られました。チャンスがあれば前に運ぶのもOKですが、コインを投げて賭けに出るような、不確実なプレー選択をしています。その結果、カウンターを受ける危険性も生じています。技術を発揮し、良いボールコントロールができても、判断を誤るとプレーは成功しません」と、「ボール扱いは巧いが、状況にあったプレーを選択するのが苦手」という、海外の多くの指導者が指摘する、認知や判断の部分に向上の余地があると言います。

自分がボールを受けたときに、どこのスペースに進めばいいか。フリーの状況にある味方にボールを渡せるか。その判断が重要です。日本の選手は周囲にバルサの選手が6人いるにも関わらず、前に運んでボールを取られる場面がありました。逆サイドにフリーのスペースがあったにも関わらず、です。どこにボールを運べば良いかを理解するには、周囲の状況を認知する必要があります。ボールだけを見ていてはいけません。日本の選手はボールを受けてから焦った状態で判断をして、奪われる場面が見られました」

■オフ・ザ・ボールで求められるボランチの動き

ボランチにはボールを収め、パスを使ってポゼッションを継続させるプレーのほかに、ボールを保持していない状態で「味方のプレーするスペースを作り出す動き」も重要です。ペレスコーチはひとつのシチュエーションを例にあげます。

「ボランチはボールを受ける以外に、スペースを発生させるために動くことも必要です。ボール保持者へのパスコースを確保しながら、チームのバランスを保つのです。たとえば左サイドバックが左センターバックにパスを下げ、その選手がドリブルで前進するときはボランチが離れてスペースを空け、ボール保持者をサポートします。このときに、相手の守備ラインを越えられるよう、異なる高さのポジションにつくことで、よりボールを前進させることができます」

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ボランチ(★印)がボールから離れたことで、パスを出せるスペースが生まれた

これはひとつのコンセプトですが、これを知り、トレーニングで無意識にできるようになった選手と、ボールばかりを見て「味方のためにスペースを作る動きをする」というコンセプトを知らずにプレーしている選手とでは、どちらがチームに良い影響をあたえることができるでしょうか。

ペレスコーチは言います。「ボール保持者から離れ、敵チームの選手を引きつけることで、味方がプレーをすることを助ける。それもサポートの動きのひとつです。ボールを受けず、プレーに関与しなくても良いプレーをすることはできます。それが、プレーを理解することなのです

■コンセプトを理解してプレーしていたバルサの選手達

ワールドチャレンジでFCバルセロナが見せた、ボールを保持して相手を崩すスタイルの中には、ペレスコーチが取り上げたボランチのコンセプトのような、細かなディテールが各ポジションにあり、それらが連なって、チームとしてのスタイルを体現していました。

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「バルサの選手はテクニック、フィジカルだけでなく"状況を理解する"という素晴らしい能力を持っています。認知のレベルが非常に高いのです。それゆえ、ボールを奪った瞬間に奪い返されず、保持しながらプレーすることが可能になります。いつ、自分がプレーに参加するのか。いつ、味方のためにスペースを空けるのかといった判断が的確なのです。日本の選手はプレーのコンセプトをあまり学んでいないので、どのような状況でも、奪ったボールを前方へ送ります。それが、状況によってはリスクを冒しているように見えるのも事実です」

チームとしてスタイルがあり、それを実現するためのコンセプトがある。トレーニングでそれらを繰り返し行い、ピッチの中で選手達が同じ判断基準のもと、プレーしていく。それこそがバルセロナの強さであり、U-12カテゴリーの選手達であっても、選手個々が適切な認知、判断のもとに効果的なプレーを選択していく。それが個を伸ばすだけでなく、チームとしての完成度も高い理由と言えるでしょう。

後編では「FCバルセロナのボランチの守備における戦術意図」について、ペレスコーチの分析をお届けします。


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取材・文/鈴木智之 写真/新井賢一

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