楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

2019年6月13日

「子ども天国だった」日本の子育て、教育現場に不幸な逆転劇が起きた原因

■これからの若者に求められる力


自ら何かを創造する力が求められています(写真はイメージです)

 

サッカー協会は、指導者の暴力によって全治1ヶ月以上のけがを負った場合、除名などのペナルティを設けることを決定しました。罰を与えるだけでは根本的な解決にならないと私は危惧しています。

「そうだよね。殴るのはダメ。それはわかっている」とみなさん口をそろえます。「だよね率」は高い。でも、その先に「少年サッカーをこうしよう」という具体策が見えてこない気がします。

打って変わって、企業の経営者やキャリアカウンセリングの関係者に呼ばれて講義をしに行くと、意外な反応が見えます。

企業のトップたちが「講義の内容を社員に是非理解させたい」と言います。中堅社員のモチベーションをアップさせることや、中間管理職にこれまでとは違う部下を圧迫せずに組織を動かすリーダーシップを持たせることに躍起なのです。

米国での人材教育やリーダーシップ論の潮流は、ビジネス界で構築された後にスポーツ界へ移ると言われています。

将来は圧迫指導や根性論ではない価値観、指示されたように動くのではなく、自ら何かを創造する力をすでに日本の若者も求められています。

スポーツ界も、新しい潮の流れを作り出すことに真剣に取り組むべきです。

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高橋正紀(たかはし・まさのり)

1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜経済大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。
Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。

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