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楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

ダメなことをしたのに上手ければ出場できるの? 厳しさのなかでサッカーを楽しむのに大切なもの、真の育成とは

公開:2018年8月29日 更新:2018年8月30日

キーワード:アスリートノブレス・オブリージュ指導者社会的貢献自分を磨く

■一番かわいそうなのは誰?

しかしながら、このような育成が日本の多くのチームでは実現されていないようです。

当然のことながら、仲間に悪口を言うような子を指導者は放置しないでしょう。昔だったら殴っているかもしれません。今はさすがに殴りませんが、叱るでしょう。そして、罰として厳しいダッシュやランニングなどのきつい練習を課すかもしれません。

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ドイツでは、人間性を磨かないと試合に出してもらえない (写真はサカイクキャンプ)

ところが、罰を与えたという理由で試合には出すのです。指導者が勝ちたいから出してしまうのです。


これで何が起こるでしょうか。
叱られた子は「なんだ、試合には、出られるんだ」と思います。「人間的にダメなことをしても試合には出られるんだ。上手ければ結局使ってもらえるんだ(人間性よりも、上手いほうが価値があるんだ)」と。


そして、周りの選手たちも思うのです。

「なんだ監督は結局出すんだ。サッカーの世界では勝つことのほうが大事なんだ。人間的にダメなことをしても上手い奴は試合に出られるんだ」

誰が一番かわいそうでしょうか?


私は、人間的にダメなことをしても試合に出される選手が一番かわいそうだと考えます。人間的な修正ができず"上手いけど嫌な奴"になってしまうばかりか、場合によっては伸びしろまで奪いかねないのですから。


しかし、ドイツでは決してそんな選手を試合に出しません。
人間性を磨けたら、試合に出られる。磨けなかったら、ピッチには戻ってこられない。そこまでです。

バスケットの不祥事は、実は日本のすべてのスポーツの問題だと感じます。バスケットもサッカーも、子どもが人間性を磨けるスポーツにならなくてはいけません。

次こそ、ふたつめのこころの話をしたいと思います。

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高橋正紀さんprofile.jpg

高橋正紀(たかはし・まさのり)

1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜経済大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。
Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。

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監修:高橋正紀 構成・文:「スポーツマンのこころ推進委員会」

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