楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

2018年7月18日

スポーツマンシップとは。W杯ポーランド戦の時間稼ぎを、子どもにどう説明するか

■残念な姿を見せたあのサッカー大国のエース

一方で、残念ながらスポーツマンシップと対極の姿を見せた選手もいます。

被ファウル時の痛がり方を批判されたネイマール(C)新井賢一

ブラジル代表のエース、ネイマール。ファウルを受けたあとの過剰な痛がり方に批判が集まりました。4試合で14分間も「寝転がっていた」と伝えた海外メディアもありました。

私が「一流のスポーツマンのこころ」の講義をする際に、スポーツマンシップのお手本として掲げる選手がいます。それは、Jリーグの創生期、鹿島アントラーズでプレーした「レオ」こと、レオナルド。奇しくも、ネイマールと同じブラジル人です。

スポーツマンシップのお手本でもあったレオナルド(C)兼子愼一郎

彼はJリーグでプレーしながら、ある違和感を抱いていたそうです。それは、日本の選手がミスするたびに天を仰いで失望する姿でした。

「数秒前の、自分がミスしたという過去は変えられない。それなのに、なぜ彼らは世界が終わってしまったかの様な落胆を見せるのか」

ミスして相手にボールが渡ったらすぐに戻って取り返せばいいし、次にそのミスを繰り返さないためにはどうすればいいかを考えるのが先ではないか――彼はそう言いたかったのでしょう。彼は鹿島で実績をつくったのち、ネイマールが所属するパリサンジェルマンで活躍しました。

猛暑が続きます。
無理にトレーニングや試合をせずに、時には冷房の効いた部屋で子どもたちと座学サッカーを学びませんか。W杯で感じたことをみんなで話し合ってみてください。

<< 前回 | 連載一覧 >>

高橋正紀(たかはし・まさのり)

1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜経済大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。
Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。

前へ 1  2

関連記事

関連記事一覧へ