蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2025年5月14日

強豪チーム加入も周りとレベル差があって選抜から外されそう、前より勢いもないしどうしたらいいの問題

■アドバイス③「傾聴するスキル」を高めて子どものことをもっと理解しよう


(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

3つめは「傾聴するスキル」を高めることをお勧めします。

私自身もそうですが、大人は子どもの話を聴いたつもりでも、実は子どもからするとそうでないことのほうが多いです。そこに「あなたのことを心底わかりたいんだよ」という体熱がなければ聴いたことになりません。

臨床心理やカウンセリングの専門家に「ロジャースの3原則」を教わったことがあります。米国の心理学者であるカール・ロジャースが提唱した「傾聴」の3つの要素は、「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」から構成されます。

 

相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとするのが「共感的理解」。

「無条件の肯定的関心」は、相手の話を善悪や好き嫌いの評価をせずに聴き、相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったかという背景を〝肯定的な関心〟を持って聴く。そうすることで相手は安心して話ができます。

最後の「自己一致」は、相手に対しても、自分に対しても、真摯な態度を貫き、例えば相手の話がわかりにくい場合はそのことを正直に伝える。わからないことをそのままにせず、あくまで互いに自己との一致を目指します。

 

難しいなと感じますよね。私も最初そう思いました。でも、最初はうまくいかなくても、シンプルに考えると「あなたのことをわかりたい」という気持ちが伝わることが重要なのだと理解しました(夫育てにも運用できます)。

これを機に、子育ての手法を見直しましょう。悩んだことを逆手にとるのです。

いいですか。子どものサッカーなんて一瞬です。子どもに任せ好きなようにやらせて、こころとからだの成長を支えましょう。

 

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
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