お父さんコーチや少年団にオススメのトレーニング特集

2024年2月20日

U8で身に付ける、瞬時にプレー選択できるボールの置き所!実戦で使える判断力と駆け引きも同時に磨く練習法

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

今回のテーマは、低学年のときから意識させたい「パス、ドリブルの使い分けができるボールの持ち方」。講師を務めるのは、神奈川県の強豪・中野島FCのコーチを務める、岡本一輝氏だ。

中野島FCはセレクションがなく、主に小学校の校庭でトレーニングする環境ながら『アイリスオーヤマ 第7回プレミアリーグチャンピオンシップ』で全国優勝を達成。強豪ひしめく神奈川県において、Jクラブに肉薄する成績を残すなど、確かな指導で個とチームを成長に導いている。

U-8~U-10の子たちに対し、プレーの頻度と説明のバランスをりながら、どのような内容を伝えればいいのか。岡本コーチの指導には、サッカーを始めたばかりの子どもたちに対する指導のヒントが詰まっている。(文・鈴木智之)

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スペースを認知し、パスとドリブルを使い分けて相手を守備を揺さぶる

前回のトレーニングでは、基礎トレーニングの後、2対1を実施した。今回はその発展形として「3対3+1フリーマン」からスタートした。

岡本コーチは「このトレーニングでは、プレーが選べるボールの持ち方、パスの質の他に、相手の立ち位置を見ながら、どのゲートが得点が奪いやすいかを観察することも重要になります」と話し、次のように続ける。

「また、オフザボールの選手の立ち位置や、観る場所にもアプローチしていき、ボールを持ったときに、正しい判断ができるようにコーチングしていきます」

設定としては、グリッド内にコーンで5つのゴールを設置し、ドリブルかパスでラインを通過すれば1点となる。フリーマンは攻撃側の味方で、外にボールが出たら、コーチが配球する。

岡本コーチは「どこが空いているかな?」「空いているゴールを観てた?」など、認知の部分に言及。「観ていないと気づけないよね」「どうやれば観えるかな?」など問いかけながら、考えを引き出していく。

またコーンをめがけてドリブルし、相手が塞いだのを感じて、違うゴールへ目標を変えたプレーを賞賛。「いま判断を変えたよね。こういうのを目指してほしい」など、良いプレーを積極的に褒め、子どもたちのモチベーションを高めていく。

このトレーニングはゴールがたくさんあるので、目的がわかりやすく、プレーの強度も上がる。パス、ドリブルの判断が次々に迫ってくるので、頭の中にも絶えず刺激が入る、秀逸な設定だ。ぜひ参考にしてほしい。

また「ドリブルをすると見せかけて、パスを出すことも意識してみて」と話し、「ボールの持ち方は、周囲を観られるように顔を上げよう。そして、どこに人がいるかを観て、いないところにドリブルしていく」と説明。デモンストレーションを交えることで、子どもたちにも理解しやすくなっていた。

プレーが選べるボールの持ち方、攻撃方向を意識したボールの受け方

続いてのトレーニングは「3対3+1フリーマン(3ゴール)」。

ゴールを3つずつ設置し、中央のコーンにパス、もしくは両サイドのゴールをドリブルで通過したら1点。フリーマンは攻撃側の味方で、ゴールを決めることはできないというルールだ。

岡本コーチは「中央のゲートに関しては、ゴールというより、あそこのスペースにパスを出したらチャンスになるというイメージ」と、実際の試合を例に伝えていく。

ここでも認知に重点的にアプローチし、「ボールを受ける前に周りを観ていた?」と問いかける。

「試合ではボールだけ? どこを観ないといけない?」と投げかけ「自分が目指す方向が、どうなっているかを観ておこう」とアドバイス。

その後、ボールとゴールの両方を観ることのできる体の向きを作ることをレクチャーしていった。

ほかに、技術的な部分にもフォーカスし、「スピードを上げすぎてボールと体が離れると、判断を変えられない。コントロールできるスピード、ボールの位置が重要」と話し、「判断を変えられるところにボールを置こう」と声をかけていった。

トレーニングの成果として、ボールが来る前に周りを観て、空いている味方にパスをするといったプレーや、パスと見せかけて相手を釣り出し、ドリブルで突破するといったプレーが出始めていた。

トレーニング終了後、岡本コーチは次のように総括した。

「パスとドリブルの使い分けをするためには、観る(認知)、状況判断、ボールの置き所の3つが重要です。観る(認知)は、いつ、どこをどのように観るのかを、細かく選手たちに伝えていくことで、観察力が身についていきます」

さらに、こう続ける。

「状況判断は、状況に応じた正しいプレーを選択し、それが正確に実行できているかを観察していきます。ボールの置きどころは、常にプレーが選べるところにボールを置くことで、多数のプレーを瞬時に選択することができます」

以上のポイントを意識することで、コーチングをするときに、伝えやすくなるだろう。

また、低学年の子どもたちは、お手本を観ることで、プレーを記憶していく。説明と実技の使い分けなど、岡本コーチの指導は参考になるところが多数ある。繰り返し見て、エッセンスを感じ取っていただければと思う。

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【講師】岡本一輝/
1996年1月28日生まれ。日本サッカー協会公認B級ライセンス保持。中野島FC、川崎フロンターレU-15、川崎フロンターレU-18、桐蔭横浜大学、Angkor Tiger FC(カンボジアプロ1部リーグ)でプレーし、2019年から中野島FCの監督に就任し指導者としてのキャリアをスタート。2022年夏に行われた「アイリスオーヤマ第7回プレミアリーグチャンピオンシップ」でクラブ初となる全国大会優勝を達成した。

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