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世界を見てきたコーチが語る。いま求められる守備の指導法

「守備のレベルが上がれば、攻撃のレベルが上がる」ポジションごとに身に付けるべき守備戦術

公開:2017年12月12日 更新:2020年3月24日

キーワード:オフザボールサッカーサービスディフェンス守備戦術理解知のサッカー

■DF(最終ライン)での守備のコンセプト

最後は、最終ラインでの守備です。

(1)マークを受け渡す

●マークの受け渡しを適切に判断する

●ボール保持者の状況に応じて、マークを受け渡す

図Aのように相手チームの選手がボールを持った状態で、スペースにパスを出すことができるときは、パスの受け手とゴールの間にポジションをとりながらマークを継続します。

その際、図Bのように守備側の味方選手がプレスに行っており、マークする相手のところへ「パスが出てこない」と判断をしたら、パスの受け手の動きに応じて、最終ラインの選手同士でマークを受け渡します。

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このように守備側の味方選手がプレスに行っている場合、前線へ効果的なパスが出る可能性は低いので、適度な位置でマークを受け渡すことが可能です。

(2)後方のスペースを守る

●相手のマークを外す、斜めの動きについていく

●後方にパスが出なかったときは、元のポジションに戻る

ディフェンダーがまず考えるべきことは、最終ラインの背後のスペースを守ることです。なぜならば、相手に最終ラインの背後のスペースを使われると、失点の可能性が高くなるからです。

その際、相手の攻撃側の選手(FW)が、ゴールに向かって斜めに入る動きでマークを外そうとする場合、マンツーマン状態で相手についていきます。しかし、パスが出てこない場合は途中でマークを外し、最終ラインを再構築します。そうすることで、パスが出た時にオフサイドをとることができます。

このように「どこまで相手についていくか」「どの状況で相手のマークを外し、ラインを再構築するか」は戦術的な判断になります。

カルレス・プジョルやセルヒオ・ラモスといったトップレベルのセンターバックは、この判断が非常に適切で、マークを捨ててラインに戻るときは100%のスピードで走ります。ラインが崩れている時間が長くなればなるほど、失点のリスクが高まることを知っているからです。

以上が、U-18年代で身につけたい守備のコンセプトです。

ここで紹介したのは、世界トップレベルの選手が実践するコンセプトであり、彼らは単純に走力や身体能力だけで守備をしているのではありません。

状況に応じて適切なポジションをとり、攻守の切り替えを常に意識し、守備時に守るべきもの(人なのか、スペースなのか、ボールなのか)を瞬時に判断して、個人とグループ、チームとが一体化して守備をしています。

今季の欧州チャンピオンズリーグでは、レアル・マドリーとアトレティコ・マドリーの決勝戦になりましたが、両チームとも守備の個人戦術に長けた選手が多く、とくにアトレティコは選手個人で見ても、チームとして見ても、多くのコンセプトを適切に実行しているチームでした。

スペインサッカーは華麗な攻撃ばかりが注目されていますが、選手個々の守備戦術のレベルは高いものがあります。その守備を打ち破るために、さらに攻撃が磨かれる面もあるでしょう。それらのベースとなっているのが、育成年代の指導にあるのは間違いありません。

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日本のサッカー界では、まだまだ守備の重要性は知られていません。しかし、守備のレベルが上がれば、攻撃のレベルも上がります。そのことに気が付き始めている、指導者の方もいます。この連載を読んでいる方は、守備の重要性を認識していることでしょう。

当然のことながら、守備戦術は日本の選手たちであっても、コンセプトを知っている指導者の元でトレーニングをすれば、身につけることができます。

我々が監修した、守備戦術に特化したDVD「知のサッカー第3巻」では、ここでも紹介したコンセプトの説明はもちろん、それらを習得するためのトレーニングメニューを映像で分かりやすく解説しています。 とくに、この連載を読んで頂いた方は、より深く、我々の考えを理解してくれるのではないかと期待しています。

我々サッカーサービスは、今後も様々な情報を提供し、日本サッカーのレベルアップに貢献したいと思っています。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

それではまたお会いしましょう。

グラシアス、アデウ!
(注:カタルーニャ語でありがとう、さようならの意味)

サッカーサービス "フラン"(フランセスク・ルビオ・セダノ)より。

 

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フランセスク・ルビオ/Francesc Rubio Sedano

サッカーサービス社の分析、コンサルティング部門責任者として、選手やクラブ育成コンサルティング業務を担当。C.Fカン・ビダレットの下部組織(U-18)の監督、コーディネーターと、カタルーニャサッカー協会技術委員を兼任。2014年までJFAアカデミー福島U13の監督も務めた。

第1回>>「日本の選手の多くは守備の仕方をしらない」
第2回>>「バルサの闘将」も学び続けていた『守備における個人戦術』
第3回>>「チームの守備コンセプトをしっかり選手に伝える」それが指導者の仕事
第4回>>U-13年代で学ぶべき守備のトレーニングコンセプト


 

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取材・文/鈴木智之

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