夏休みはサッカーで自由研究!

2015年7月31日

サッカーを通せば、ドイツの歴史を楽しく学べる

前回の連載では、「『サッカーについてもっと知りたい』という子どものエネルギーをキッカケにして、勉強とサッカーを両立させながら楽しく自由研究を作ってみませんか?」という提案をさせていただきました。
この第二回では、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』が制作した『親子で学ぶ サッカー世界図鑑』の中から、ドイツのページを取り上げ、サッカーをキッカケにしてどのような背景が見えてくるのか、どのような知識が身に付くのか、その具体例を紹介したいと思います。
 
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2014年のブラジルW杯で優勝し、また、数多くの日本人選手がプレーしているドイツは、サッカーをする子どもたちにとって、最も馴染み深い国の一つでしょう。香川選手の所属しているドルトムントや、長谷部選手、乾選手が所属しているフランクフルトなど、ブンデスリーガのチームを通じて、町の名前やその文化の一端についてすでに多少の知識を持っている子どもも多いと思います。
 
そんな、身近なモノになりつつあるブンデスリーガですが、みなさんはその1部に所属する18チームのホームタウンを地図上で確認したことがあるでしょうか? バイエルン・ミュンヘンやドルトムントは日本でも大変人気のあるクラブですが、そのホームタウンであるミュンヘンやドルトムントがドイツという国のどのあたりに位置しているか知っていますか? このようにホームタウンという観点からドイツの地図を眺めてみると、そこにはある特徴が浮かび上がってきます。
それは、ドイツの東側にホームタウンを持つクラブが、西側に比べて圧倒的に少ないということです。われわれ大人にとっては、「ドイツ」、「東側」、「西側」という単語を目にしただけで、これがどういった事実に起因するモノなのか、なんとなく想像が付くと思います。しかし、子どもたちにとってはどうでしょうか。「どうして地図の左側(西)にばかり、チームが集まっているんだろう?」。こんな疑問に端を発して調べを進めていくうちに、いずれ歴史の授業で習う知識を、先取りして身に付けることができるかも知れません。
 
 
ドイツという国は第二次世界大戦後に『西ドイツ』と『東ドイツ』という二つの国に分かれている時期がありました。この東西分裂は1990年に再統合が果たされるまで約40年も続きます。この間、東西に分裂したドイツではそれぞれの国内で独自のサッカーリーグが発展しました。そして1990年の再統合を機に二つのリーグは東側のクラブが西側のリーグに参戦する形で合併します。しかし、当時のドイツは東西で経済力に大きな開きがありました。東側のクラブは西側のクラブと比べて資金力、運営力、戦力などが大きく劣っており、結果的に東側のクラブは次々と下位に沈み、低迷していきました。再統合から25年経った現在でも、この西高東低の経済格差は依然として見られ、そのため東側にはブンデスリーガ1部に所属するチームが少ないのです。
 
華やかで、経営的にも安定しているブンデスリーガですが、所属クラブを地理的な観点から紐解いていくと、その背景には東西分裂の歴史、統一後の経済格差といった社会的な一面が浮かび上がってきました。
 
このように、ブンデスリーガ1部に所属するチームのホームタウンをキッカケにその背景を調べてみると、そこにはドイツの歴史や経済が横たわっています。サッカーをキッカケに、ドイツという国の輪郭が少しハッキリしてきたのではないでしょうか。しかし、サッカーから知ることができるドイツの文化や社会はこれだけに留まりません。例えばドイツ代表やその選手たちにフォーカスすると、今度は人種や移民の問題が浮かび上がってくるでしょう。また、数多くの近代的なサッカー専用スタジアムからは、『世界的な技術大国としてのドイツ』という一面も垣間見ることができます。同じ国をテーマにしても、それをどんな観点から調べていくかによって、見えてくるモノも様々です。
ですから、今回のこのドイツの例にとらわれることなく、みなさんが実際に自由研究を作るときは、好きなチーム、好きな国、好きな選手について、ぜひ独自の切り口で調べを進めてみてください。その先には、もしかしたら誰も気が付かなかった新たな発見が待っているかもしれません。
 
さて次回は、今回同様に『親子で学ぶ サッカー世界図鑑』の中から、南米代表としてチリのページを取り上げ、具体例を紹介したいと思います。サッカーをキッカケにチリという国を調べてみると、ドイツとはまたガラリと変わった背景が見えてくるでしょう。
 
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