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世界を見てきたコーチが語る。いま求められる守備の指導法

「バルサの闘将」も学び続けていた『守備における個人戦術』

公開:2017年11月21日 更新:2020年3月24日

キーワード:オフザボールサッカーサービスディフェンス守備戦術理解知のサッカー

スペイン・バルセロナを拠点に、世界中のクラブ、選手の指導&コンサルティングを行っているサッカーサービス。
世界中で指導を行ってきた彼らだからこそ語れる、日本サッカーの課題である「守備」の指導法についての連載です。第2回目は「守備の個人戦術」について。サッカーサービスの分析担当であるフランコーチに語ってもらいました。
(この連載は2016年5月に開始したメールマガジン「知のサッカー:守備」の内容を転載したものです)

 

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前回>>「日本の選手の多くは守備の仕方をしらない」
次回>>「チームの守備コンセプトをしっかり選手に伝える」それが指導者の仕事

 

■指導者が守備のプランを提示する

まずは守備に対する「ベースとなる考え方」から始めましょう。

チームとして守備をするためには、守備の組織がオーガナイズされていることが重要です。これはジュニア年代の指導者であっても、Jリーグの監督であっても「サッカーというスポーツ」を指導する上で、ベースになる考え方です。

監督である指導者は「うちのチームはこういう守備の仕方をする」というプランを提示することが必要です。 ある程度、選手同士のひらめきで成立する攻撃とは違い、守備はセオリーがあります。
「この状況では、こう動く」というコンセプトを選手に提示し、トレーニングで身につけることができれば、守備のクオリティは間違いなく向上します。

守備のコンセプトは、2つに分けることができます。
多くの指導者の方はご存知だと思いますが、「個人の守備」と「グループ(チーム)の守備」です。個人という最小の単位があり、グループ、そしてチームへと発展していきます。

最初に重要になるのが、個人の守備戦術をしっかりと身に付けることです。

なぜならば、ひとりの選手が「個人の守備戦術」を理解していないと、せっかくチームとして守備がオーガナイズされていたとしても、そこから相手に崩されてピンチを招く、あるいは失点してしまうことがあるからです。

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■日本の選手におこりがちな「守備の個人戦術」のミス

これは私の印象ですが、日本の選手は「守備の個人戦術」について、向上の余地があると感じています。それはJリーグや日本代表の試合を見ると、明らかになります。

例を挙げましょう。ブラジルW杯コートジボワール戦の森重真人選手のプレーです。

コートジボワール戦で日本が最初に決められたゴールにおいて、チームの守備はしっかりとオーガナイズされていました。しかし、森重選手がコートジボワールのFWと空中戦で競り合う時の対応に、改善の余地がありました。これは個人戦術の部分です。

通常、ゴール前で相手FWと競り合う場合、腕を進行方向のスペースへ出します。そうすることで、相手選手の進入をブロックすることができます。DFとして、13歳までに身につけておくべき基本的なコンセプトですが、森重選手はそのプレーをせず、コートジボワールの選手にヘディングを許してしまいました。

ヨーロッパのトップレベルの選手は、ゴール前で体を張り、何をしてでも相手を止めてやろうと言う気迫に溢れています。そして、気迫だけでなく守備の個人戦術を実行し、テクニックとメンタルを駆使してゴールを守るのです。コートジボワール戦の森重選手の対応は、いささか淡白なものに見えました。

さらにコートジボワール戦では日本のボランチ長谷部誠選手が、不用意にラインを崩して前進し、危険なゾーンであるピッチの中央部にパスを通される場面(前半2:37)や、最終ラインと中盤の間にできる"バイタルエリア"で、コートジボワールの選手を自由にさせるという、守備面で改善すべき点がいくつも見られました。これらは、選手が守備の個人戦術を身につけていれば、防ぐことができた場面です。

ここで指摘した部分は「守備時の認知」の問題と言うことができます。
日本の選手は、攻撃時には首を振り、相手がどこにいるか、スペースがどこにあるかを見ることができます。 しかし守備の時には、攻撃の時と同じような認知ができていないことがあります。

サッカーは一瞬で局面が変わるスポーツです。首を振って確認した1秒後に状況が変わっていることがあります。だからこそ正しく認知し、予測することが重要になってきます。

 

次ページ:「バルサの闘将」に教えた守備のコンセプト

 

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取材・文/鈴木智之

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