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勉強と進路

サッカークラブの中に学習塾!?限られた時間の中でサッカーも勉強も頑張る

公開:2012年3月21日

キーワード:文武両道

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「サッカーを頑張りたい」、「勉強もしないと」、「でも時間がない」、「受験を考えるとサッカーを続けるのは不安」etc・・・。サッカー少年・少女、そしてその親御さんにとって「サッカーと勉強の両立」は永遠のテーマではないでしょうか。では、サッカークラブが塾をしたらそんな問題は解決するのでは?そんな大胆な発想を持ったジュニアユースクラブが香川県宇多津町にありました。
 
 

■父親として最善の策を考えた結果、はじめた学習塾

「このクラブを2008年4月にスタートさせたときに、ちょうどサッカーをしている息子が小学校6年生から中学校に上がる時期で。それが全てではないですけど、チームを立ち上げた理由の1つであることは間違いないですね」。
 
瀬戸大橋のたもと風光明媚な瀬戸内海を望む地にある人工芝サッカーコート「ユーヴィレッジ」横の事務所で笑顔をたたえて話しはじめたのは、山崎一哉さん。昨年「JFA PREMIER CUP 2011 supported by NIKE」に初出場するなど、四国内でめきめきと頭角を表しているジュニアユースチーム「FCコーマラント」を運営する株式会社ウイング代表取締役として。また、小学生向けのサッカースクールも行うユーヴィレッジや学習塾「翼」を管理運営する株式会社ユービレッジゼネラルマネージャーとして多忙な日々を過ごしている49歳です。
 
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では、なぜ山崎さんはサッカークラブに学習塾を併設する考えに至ったのでしょうか?
 
「僕らが子どもだった時代は野球だけやっていれば、サッカーだけやっていれば、ないしは勉強だけやっていれば通用した時代ですよね?でも、現代は両方やっておかないと生きていけない。もっと言えばスポーツと勉強の両面で得たことを活かしていかないと就職ができない。
 
となると時代背景がそうなっていく中で、チームを立ち上げたときに失敗は許されない。子を持つ親として社会人としてそう考えたんです。さらに、最初はジュニアユースだけで始めたんですが、実際にはサッカーの練習と重ならないような塾は3年間を通じてとなるとなかなか見つからない。となれば、サッカーだけでなく勉強もここで教えていこうと思って、翌年の2009年4月から学習塾を始めました」。
 
サッカーをする子どもを持つ親であり、かつ「ゲームの中で自分たちを表現してほしい」子どもたちを預かるサッカークラブの代表として最善の策を考えた結果。それが中学生対象の学習塾「翼」を立ち上げた動機だったのです。
 
 

■寺子屋風の学習塾「翼」。組立ては正に「サッカー的」

さらに2年目の2010年4月からは坂井将司塾長(京都教育大卒)をはじめFCコーマラントのスタッフが先生となり、学校での授業とサッカーの進捗状況に合わせた「個別指導」に特化した形をとっている学習塾「翼」。現在はFCコーマラントの練習がない月・木曜日の週2回、カリキュラムを組んで50分3コマの学習指導を行っています。では、実際の授業はどうなっているのでしょうか?事務所2階にある塾の授業風景を見学させて頂くと、そこにあったのは寺子屋さながらの親身な指導でした。
 
授業は3コマ授業のうち「個々が苦手科目を学ぶ」3コマ目。近年、いわゆる「ゆとり教育」から大転換を果たしたことを如実に示すテキストの内容は、英語では三人称単数の判別問題、数学であれば二次関数。地理であれば国と産業の関連性を問う問題。40代の筆者にとっては高校生レベルの難しさです。
 
しかし、選手たち・・・ここでは生徒たちは本当に前向きでした。ある生徒は書き取り、読み取り。ある生徒は英語構文の暗記。ある生徒は問題解きに集中。「家に帰って勉強するよりここの方が楽」、「学校の先生は流れの中で教える傾向があるけど、ここではしっかり教えてくれる」と塾の感想を話す生徒たちはいずれも生き生きとしていたのです。
 
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その一方、大阪府屈指の進学校である豊中高校からセンター試験を突破し国立・鹿屋体育大学に進学。「勉強を教える立場の経験はこれまでなかったが、高校時代も勉強することは苦にならなかったし、これも1つのチャレンジと思って取り組んでいます。サッカーも直感だけでは難しいし、サッカーもテストでのペース配分のように限られた時間の中で筋道を立てて選択していくことが大事」と語る重野滋之先生はその様子を見守り、的確なアドバイスを伝授。時に冗談も言い合いながら共に高めある姿は、兄と弟の関係のようにも見えました。
 
では、その指針をサッカーになぞらえて考えてみましょう。「3コマのうち2コマは高校受験でも必須の英語、数学。もう1コマは生徒たちの申告制で苦手なものを判断させている」(山崎さん)組立てをサッカーにおきかれれば、最初の2コマは「基礎練習」、最後の1コマは「自主練習」の関係と全く同じ。そして自主練習でコーチがしっかりポイントを抑えて指導するのも、先ほど記したアドバイス論と同じ。すなわち一見すると別物の「勉強」と「サッカー」は実は密接につながっている。そんなことが学習塾からの授業風景から見えてきたのです。
 
 

■サッカー、そして勉強。「楽しさ」の芽は確実に

「確かにそんな一面もありますね」と授業を終えた後、筆者の感想に素早く反応してくれた山崎代表は、FCコーマラントと学習塾「翼」との近未来像をこんな風に語ってくれました。
 
「今、僕の中で明らかな確信は得ていませんが、限られた時間の中でサッカーも勉強もしっかりしないといけない。吸収しないといけないという意識は出てきているのではないでしょうか。今後は勉強で得た感覚をサッカーで活かしてもらったら。そのきっかけを得てくれればいいと思っています」。
 
サッカーが楽しくなれば勉強が楽しくなる。勉強が楽しくなればサッカーが楽しくなる。そしてそれが人生を進んでいく上でのきっかけとなる。まだ4年目を迎えたばかりのサッカークラブの中の学習塾ですが、「楽しさ」の芽は確実に、そして着実に瀬戸内に根を下ろしつつあります。
 
 
FCコーマラント//
ユーヴィレッジ学習塾「翼」// 
香川県綾歌郡宇多津町平山2628番地716
TEL:0877‐41‐2103
FAX:0877‐41‐2111
mail:uvmail@u-village.jp
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取材・文・写真/寺下 友徳

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