インタビュー

2016年8月 2日

「両親はあれこれ言わず、やりたいことを最大限サポートしてくれた」サンフレッチェ広島FW佐藤寿人の子育て論

 

■サッカーにかぎらず、なにをするにも努力できる人になってほしい

――ターニングポイントというお話がありましたが、ご長男の進路はどのようにして決めたんですか?
 
進路については妻と息子を交えて話し合って決めました。長男は私立の中高一貫校に通っています。サポートは最大限するけど、最終的には自分が何をやるかだし、決めるのは自分だよという話をしました。公立だろうと私立だろうと、自分が何をしたいか。今もサッカー選手になりたいみたいですけど、サッカーの強豪校ではないです。さっきの話の通り、サッカーだけをつづけていれば選択肢が広がるわけではないので、やっぱり勉強も必要だと思います。理由があるから勉強もしないといけないと伝えていますし、勉強をしないならサッカーも辞めさせるくらいの気持ちでいます。
 
――お子さんとは、よくコミュニケーションをとりますか?
 
コミュニケーションは結構とりますね。ぼくから聞かなくても勝手に喋ってきます。ふたりともお喋りです(笑)。自分を知ってほしいっていうかね(笑)。普段は、子どもが先に学校に行ってしまうので、ぼくは午前中に練習を終えて、子どもが学校から帰ってくるのを家で迎えるパターンが多いです。子どもと接する時間は結構ありますが休みがほとんどないので、家族揃って出かける回数が一般家庭と比べると少ないです。そこは、かわいそうだと思います。
 
――息子さんの将来について、父親としてどういう思いがありますか?
 
世の中にはいろいろな仕事があるので、息子たちにはサッカー選手だけではなく、いろいろな選択肢があることを知ってもらいたいです。知ったうえで自分はこの道に進みたいというものに対してサポートしてあげたいです。サッカーだけじゃないし、もっとやりたいことがあればそっちの道に進めばいい。でも、いつも隣にいる父親がサッカー選手という環境にいる息子たちは、もしかしたらサッカー選手なら簡単になれると思っているかもしれないです。華やかに映る部分もあるかもしれない。そこで、サッカー選手だけがすべてじゃないということを知ってほしかったので、ちょっと早かったんですけど長男が9歳くらいの時に村上龍さんの『13歳のハローワーク』という本をプレゼントしたんです。当時はパラパラっと見ただけであんまり見てくれなかったですけど。長男は、あのころからすごくサッカーが好きだったんですけど、雨だとあまり行きたがらなかったりして、他の子と比べるとそんなにサッカー熱を感じなかったんです。それで、むしろ他に光る部分があったり、本人が興味のあるものがあれば、そっちを伸ばしてあげるほうがいいかなと思っていたんですよ。
 
当時はまだ幼かったので、渡したときはそんなに食いつきがよくなかったんですけど、いま中学1年生になって読むこともあるようです。本人が知りたと思ったときに見てくれたらいいかなと思っています。サッカーよりもやりたいと思うことがあれば、そっちに進むことがいいわけです。「サッカーが嫌いになったから辞めたい」と言われたらショックですけど、「他にやりたいことがあるからサッカーを辞めたい」と言われるのなら、全然構いません。息子の人生は息子のものですから。
 
――どんなふうに成長してほしいですか?
 
なにをするにしてもつねに努力できる人間であってほしいです。なにをするにせよ、満足したら、その時点で終わりだと思います。何か成果を残してそれに満足して学ぶことをやめた時点でそこから先はありません。だからこそ、どういう状況になっても努力できる人になってほしいです。そうすれば自然といろいろなものがついてきます。やはり置かれた状況で「自分に何ができるか」で変わってくる。常に努力できる、芯の強い人になってくれたらと思います。
 

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