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視聴者の指導に関する質問に直接回答!大宮アルディージャU12監督によるイベントレポート【トレーニング編】

公開:2022年2月16日 更新:2022年10月17日

大宮アルディージャU12監督を長く務め、2022年シーズンよりヘッドオブコーチングに就任した金川幸司氏。「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」にも2度登場していただき、トレーニングを実演してもらった。

今回は、ジュニア年代を長く指導してきた金川氏に、同じくジュニア年代を指導するコーチの疑問、悩みについてお答えいただくトークイベントを開催した。COACH UNITED ACADEMY会員限定のイベントの様子を、前後編に渡ってレポートしたい。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITEDからの転載記事になります。)

大宮アルディージャU12の
トレーニングの詳細はこちら>>

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(大宮アルディージャU12監督を長く務め、2022年シーズンよりヘッドオブコーチングに就任した金川幸司氏。トークイベントはオンラインで実施。)

グリッドの大きさや難易度は選手によってアジャストさせていく

イベントのテーマとなったのが、金川氏が以前に出演した「自陣から中盤エリアへ侵入するために必要なビルドアップトレーニング」の動画だ。

参加者からはトレーニングの設定、ポイント、ジュニア年代に必要な技術、判断の要素など、多くの質問が寄せられた。

はじめに、金川氏から「ビルドアップトレーニングのポイント」の説明があった。

「ビルドアップをトレーニングする際に重要なのは、ボールをしっかりとコントロールし、相手を見ながら判断して、ボールを縦に入れていくところです。トレーニング動画では、味方の選手からボールを受ける前段階で、適切なポジションをとることで、スペースを明確にするなど、戦術的な要素も交えて行いました」

最初の質問は「4対1のボールポゼッションのトレーニング」について。

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参加者から「トレーニング開始直後に、『ボールを回す数を数えよう』と声掛けしていましたが、活気を出すこと、声を出すことで主体的にプレーに関わることを狙っていたのでしょうか?」という質問が寄せられた。

それに対し、金川氏は次のように回答した。

「よくあるのが、指導者が選手に対して『もっと声を出そう』『もっとコーチングしよう』と働きかけるケースです。でも、僕ら指導者が思っているよりも、プレーしながら、味方にコーチングをするのは難しいのです。それを指導者が理解した上で、選手にプレーしながら数えさせることで、コーチングに必要な声を出すトレーニングになります」

また、声を出すことで「トレーニングを自分ごとにすることができる」と言う。

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「ボールポゼッションは、自分一人ではできません。仲間とともにボールを保持するためには、声を出して意識を統一する必要があります。チーム全員で取り組むことを意識づける意味でも、全員で声を出して数えるようにしました」

トレーニングの目的が「チームでボールを保持する」ことなので、それに対して効果的なルールを設定することがポイントなのだ。

2つ目の質問は「3対3+フリーマンのトレーニング」について。

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参加者から「グリッドのサイズは、トレーニングで落とし込みたい現象が出る大きさに設定していると思います。個人的にボール保持の練習は、1人あたり4~5メートル程度のスペース確保を目安としています。金川さんが目安にしている基準があれば教えてください」という質問が寄せられ、次のように回答した。

「3対3+2フリーマンであれば、13m×13mを目安にしています。これは選手の年齢によっても変わりますが、自分がユース年代の指導をしていたときも、13mでやっていました。高校生年代であれば、プレッシャーがかかった状態で、ボールを保持している側が、いいポジションをとれていたり、ファーストタッチがしっかり決まって、適切な判断のもとにボールを蹴ることができる状態であれば、それほどボールを失わずに済みます」

高校生年代である程度の技術、判断が備わっていれば、13m×13mでもプレーを継続することができるが、小学生の場合、グリッドが広くてもミスが生じることはある。

「大事なのは、指導している選手のレベルです。グリッドが狭くてうまくいかないのであれば、15m×15mと広くして、ボールをつなぐ感覚を養うことも大切です。選手によってアジャストさせていくのは、どの年代の選手を指導する上でも変わらず、大切なことだと思います」

ジュニア年代ではまず「個人の技術を高める」ことを重要視する

続いては、「ジュニア年代で、どのようなトレーニングを重視するか」という質問だ。

「ビルドアップのときに、センターバックやサイドバックから、ボールを後ろ向きで受けた中盤の選手が、ボールを蹴る際、コントロールと同時に前を向けず、バックパスを選択してしまい、ボールを戻された選手がプレッシャーを受けながら、苦し紛れにロングボールを蹴るケースを多く見てきました。ロンドばかり練習させていると、攻撃方向の意識と、複数のターン技術が身についていかないのではと考えています」

ボール保持に重点を置きすぎると、ターンをして前を向く、相手をはがす能力が身につかないのではという指摘である。金川氏は「ジュニア年代では、個人で局面を打開できるようなトレーニングをするのがいいと思います」とアドバイスを送る。

「動画で紹介したボールポゼッションのトレーニングは、毎日行うものではありません。自分の中では週に1回と決めていました。パスやボール保持の練習は週1で、それ以外は1対1や2対1などの対人、ボールを奪われずにキープすることなど、局面を打開するプレーに重点を置いていました」

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金川氏は「攻撃であっても守備であっても、ボールを持ったときに困らない技術があり、自信を持ってボールをキープしたり、スペースに運んだり、相手を突破する能力は、ジュニア年代で鍛えられる部分だと思います」と話し、「ロンドやポゼッションのトレーニングが多くなると、質問にあったようなことが起こりがちだなと、指導をしていて感じます」と振り返る。

そして参加者に、次のようなアドバイスを送った。

「トレーニングの多様性が重要で、まずは個人でボールを扱うこと。それから集団として、組織としてボールを前に運んでいくことを、少しずつトレーニングしていきます。当然、ドリブルやターンなど、いろいろな技術が必要で、状況に合わせてプレーの種類を持てるのが良い選手だと思います」

後編では、選手のメンタルにどうアプローチするかについて、質疑応答に移っていく。

大宮アルディージャU12の
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【講師】金川幸司/
阪南大学を卒業後、2000年に大宮アルディージャに入団。翌年、NTT西日本熊本FCへレンタル移籍。その後、オーストラリアの「パインリバース」でプレー。引退後はセレッソ大阪サッカースクールコーチをスタートに各年代のコーチを経験。2012年以降は大宮アルディージャでユースコーチ、育成コーチ、U12コーチ、U12監督を務め、2022年からはヘッドオブコーチングを務める。

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