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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017

ボールを奪う激しさ、課題調整力... バルサと日本チームの間にあった「差」とは

公開:2017年8月24日 更新:2017年8月25日

キーワード:FC岐阜アーセナルFCサガン鳥栖テクニックボールを奪うワールドチャレンジ清水エスパルス

24日(木)、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017がいよいよ開幕しました。オープニングマッチは、FCバルセロナと清水エスパルスU-12の一戦。バルセロナが5-1で初戦勝利を挙げました。
 
もう一つの注目クラブ、アーセナルFC(イングランド)は、鹿島アントラーズジュニアと1対1で引き分けスタート。第2試合のエキシビションマッチでは、街クラブの選抜特別クラブ大和ハウスFEATURESを3対1で下しました。(取材・文:大塚一樹、写真:新井賢一)
 
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(「我々はバルセロナと共にある」と書かれたバナーを手に撮影 写真:新井賢一)
 
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(バルセロナで起きたテロ犠牲者への黙祷をささげた 写真:新井賢一)
 
「トーナメントの初戦はいつもそうだが、やはり硬さがあった」とダビド・サンチェス監督が振り返ったように、前半のバルセロナはエスパルスU-12の激しいプレッシャーに苦しめられ、持ち味であるパス回しは影を潜めていました。
 
それでも決定機を確実に物にし、前半を2対1で折り返すと、後半にも3得点を挙げ5−1で白星発進。清水エスパルスU-12の新村泰彦監督は「前半のプレスがかかっていた時間帯がもう少し伸ばせれば。ボールを奪うところでの激しさが世界との差なのかなと思います」と、前半バルセロナを苦しめた手応えと、それでも5失点を喫してしまった“差”を率直に語りました。
 
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(前半は苦戦したものの、後半3点を挙げ初戦を勝利した 写真:新井賢一)
 
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(サガン鳥栖戦では課題調整力も見せたバルセロナの選手たち 写真:新井賢一)
 
2試合目となるサガン鳥栖戦では、初戦で出た課題に対してアジャストする調整力を見せ、2−0での勝利。サガン鳥栖U-12の佐藤真一監督が「スピード、パワー、テクニック、状況判断。どれをとっても得点以上の差があった」と舌を巻くプレー振りを見せました。
 
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(得点以上の差があったと語った佐藤真一監督 写真:大塚一樹)
 
5度目の来日となったFCバルセロナは今大会も優勝候補筆頭。ワールドチャレンジの話題の中心であることは間違いなさそうです。
 

■コンセプトがぶれない!FCバルセロナの強み

今大会前、地元スペインの報道で「アンダルシアの至宝」と呼ばれている選手のバルセロナ加入が話題になりました。才能を持った選手の加入ということで、報道陣からもこの選手に関する質問が飛びましたが、バルセロナのダビド・サンチェス監督の答えは毎回ほとんど同じ。
 
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(記者たちからの質問に答えるサンチェス監督 写真:大塚一樹)
 
「彼は素晴らしい才能を持っている。だからバルセロナにいる。他の22人の選手同様に素晴らしい才能を持っているんだ」
 
歴代のバルセロナの監督たちも、会見やインタビューで個人の評価を語ることはありませんでした。これはバルセロナがクラブとして、選手たちをどう見ているか、どう接し、どう守っていくかということのあらわれでもあります。
 
バルセロナの試合を観ていると、メンバーの交代が頻繁で、しかも一度にたくさんの交代があることに気が付きます。これは、戦術的な意図ではなく、各選手のプレータイムがある程度均等になるように管理されているから。すべての選手がピッチに立ったときに遜色ない力を発揮できるというのもすごいのですが、基本的にバルセロナには1軍、2軍、レギュラーとサブという概念がありません。
 
12歳以下のカテゴリであるこのチームのコンセプトは明快です。
 
「チームに所属する素晴らしい才能を持った選手たちを、クラブの哲学、コンセプト、戦術を理解し、的確に実行できる “バルセロナの選手”へと成長させること」。そのために、トレーニングや試合を行っているのです。
 
スペインでこの年代は7人制から11人制の移行期に当たります。バルセロナは、新シーズンから「大人のサッカー」である11人制で戦う準備としてこの大会を戦っています。
 
大会初日の初戦と2戦目を見ても、バルセロナの特徴であるサイドを広く使った「幅」が大きく改善され、サンチェス監督は「幅は良くなったけど次は深さをもっと出せるようにしたい」と、もう一つのキーワードである「深さ」を課題に挙げました。
 
試合を戦う中でどんどん成長して行くバルセロナを追うのも今大会の楽しみのひとつです。
 

■日本でしか経験できない暑さ! アーセナルの育成哲学の一端

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(日本の暑さで自分の体調が心配だとおどけたサイモン監督 写真:大塚一樹)
 
「日本特有の高温多湿で選手たちの体調管理が難しいのではないでしょうか?」
 
先週までと打って変わって真夏の暑さが戻ってきたヴェルディグラウンド。アーセナルFCのサイモン・コプリー監督に質問すると、「私自身の身体は心配ですね」とおどけて見せたあと、こんなふうに答えてくれました。
 
「たしかにこの暑さには驚きました。でもそこまで心配はしていません。私たちがどうしてこの大会に参加したのか、なぜ日本にやってきたのか。それは、普段とは異なる環境でフットボールをプレーする経験がしたかったからです。この子たちが世界的な強豪クラブであるアーセナルの選手の一員になれば、いろいろな国に行って、いろいろな環境でプレーすることになります。日本のこの暑さは日本でしか経験できないことですよね」
 
トップチームの哲学、プロとして活躍する選手を育てるためのコンセプトは、バルセロナ同様、アーセナルも大切にしているところのようです。
 
16チームから24チームに参加クラブ数が増えたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは見所も盛り沢山。大会初日は、FCバルセロナとアーセナルFCを中心にお届けしましたが、明日以降はそれ以外のチームの指導哲学や、監督、選手の生の声もお届けしようと思っています。
 
勝敗以外にも大きな学びのある本大会、お子さんと会場に足を運んでみてはいかがでしょう。
 
 
大会情報はこちら>>
 
【過去の大会記事】
バルサ選手の振る舞いを世界中が絶賛!2016年大会の模様はこちら>>
バルサは負けてもバルサだった!2015年大会の模様はこちら>>
世界にチャレンジした日本勢!2014年大会の模様はこちら>>
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文:大塚一樹、写真:新井賢一

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