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「自分で考えるサッカー」を実践しているクラブ・少年団を訪問!

自分たちのカラーを出してサッカーを楽しませる――目黒区碑文谷フットボールクラブ

2013年3月28日

キーワード:指導

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「自分で考える」ことと「チームとして目指すサッカー」。押しつけでなく、このふたつを両立させようと、考えるサッカーを実践しているクラブがあります。連載第4回は東京都目黒区で活動する碑文谷フットボールクラブ。コンセプトに選手を当てはめるのではなく、でも個性的なサッカーがしたい。ヒントは「共有」「共感」にありました。
 
 

■ミッションは中央突破! きれいなお団子サッカーがしたい

「真ん中、狭いところを崩したいんです」
 
 碑文谷フットボールクラブの鈴木仁コーチは、明確なコンセプトを持ってチームの指導に当たっています。「お団子サッカー」といえば、ボールに群がる選手たちを揶揄した意味で使われることが多い言葉。現代サッカーでは小学生といえども、スペースを見つけてプレーエリアを広げていくサッカーが良とされています。
 
「お団子に見えてもいいんです。きれいなお団子サッカーもある。要するにスペースのとらえ方だと思うんです」
 
 密集しているように見えても、ボール一個分のスペースがあればパスは通る。パスの出し手が受け手と連動、積極的な仕掛けをすることでスペースは作れる。壁パス、ワン・ツー、中央突破が碑文谷FCの攻撃のこだわりなのです。
 
 鈴木さんのコーチ就任からわずか1年、碑文谷FCでは子どもたちの自主性を重んじた上で、自分たちのカラーを出しサッカーを楽しむことに情熱を傾けています。
 
 もちろん主役はコーチ陣ではなく子どもたち。
 
 練習が始まると選手たちは思いも思いにグラウンドに広がり、ウォーミングアップをはじめます。当たり前の光景なのですが、そこは自分たちで考えてやるサッカー。「今日自分に必要な」練習を、仲間を見つけて自由にやるのが碑文谷流。およそ20分後、コーチが声をかけるまで、子どもたちは自然な会話をしながら、楽しそうに動き回っています。碑文谷FCではこれを“自主練”と呼んでいます。
 
「もちろん、もう少しこういうことを意識して欲しい、こういう種目も取り入れて欲しいというのはあります。でもいざ練習が始まったら自分たちからは動かないようにしています。そこは我慢する」
 
 黙っていると逆に選手たちも気になるのかもしれません。たとえば試合でうまくいかなかった、課題ができたときには、不思議と子どもたちの方から質問が出てくるようになりました。もっと上手くなるためにはどうしたらいいか? 最初はポツポツでも、チーム内を「意見交換ができる場」にしておく。「自主性を引出す第一歩になる」と鈴木さんは言います。
 
「リーダーになりたがる子がいない。おとなしい」現代っ子を指してよく言われることです。鈴木さんは「確かにそういう面はあるかもしれないけれど」と前置きした上で「そういう目で見ている大人の決めつけがある」と続けます。「子どもたちは十分に発想力豊かだし、環境さえ作ってあげればリーダーシップだって発揮できます。自分の仕事は“観察”すること」
 
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■碑文谷名物「自分たちで考えるパス回し」

 自主練のあとはヘディングや対面の1対1、パスミートで前を向くトレーニング。相変わらずグラウンドには子どもたちが遊んでいるような声がこだましています。
 
「大切なのは大人から与えられる緊張感ではなくて、自分たちで作る緊張感だと思うんです」
 
 鈴木さんも以前は目指すサッカーが明確なあまり「選手たちにそれを押しつけていた」時期があったそうです。当時指導していた高校で「上から言っていたのでは、コンセプトも伝わらない。選手を尊重しないとこれ以上の成長はない」と気づいたのだそうです。
 
 それ以来、練習の柱にしているのが4対2で行うボール回し。碑文谷FCでも、かなりの時間を割いてこのボール回しが行われています。冒頭の「スペースに対する考え方」を育てる目的で行われるこの練習は、コーンやグリッドでエリアを区切らずに、6人集まったらどこでもはじめられる練習です。
 
「自由なボール回しの中で身についたスキルは試合でも使えるんです。お互いの距離感によってパスの質が変わってくるので、うちではなるべく近い距離でやって欲しい。でも、まずはパスを回すことですね。練習中もどんどん回せ!って言っています」
 
 放っておくとひたすらやり続けるというパス回し。傍らに立つ鈴木さんの「おっ、いいね」「そこ通せたかもよ」「もう少し短い距離でやってほしいなあ」という、つぶやきにも似た声がけに呼応するかのように、選手たちはいろいろなアイディアでパスをつなげようとチャレンジします。
 
「自分の感性と選手たちの感性。どちらも犠牲にすることなく、共有できてはじめて碑文谷らしさが出てくる」 
 
鈴木さんは「“サッカー感を共有”することで、サッカーはもっと楽しくなる」と言います。
 
「大きく前に蹴り出すサッカーも否定はしないけれど、うちが目指すのは中央からアイディアをたくさん使って崩し切るサッカー」
 
 碑文谷FCは子どもだけでなく、大人たちも一生懸命アイディアを出して、どうしたらもっと自分たちらしい、楽しいサッカーができるか?を追求しているチームです。
 
「ペナルティエリアの幅でパス回ししながらゴールを陥れる」
 
 今日も碑文谷FCのグラウンドでは“自分たちで考えるパス回し”が繰り広げられています。
 
 
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碑文谷フットボールクラブ//
2009年、旧向原SCと旧碑SCが統合し、『碑文谷フットボールクラブ』が結成。目黒区内の碑小学校・向原小学校などを拠点に活動し、地域の子供たちに対してサッカーの練習と試合の実践により、技術習得と体力的・精神的に豊かな人間形成を図り、自律した選手を育成することを目的としている。ドリブルやショートパスで相手の逆を取るプレーに拘り、素早いボールタッチと瞬間での閃き・タイミング・リズムを大切にしている。
 
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取材・文・写真/大塚一樹

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