都市部とこんなに違う地方のリアル -地方発、子どもたちの未来づくり-

2019年5月10日

地方に眠る子どもたちの才能を開花させる! 地方でも全国基準の指導で才能を伸ばす環境づくり

■たとえプロになれなくても、好きなことに打ち込んだ時間は一生の財産になる

全員が全員、プロになれるわけではありません。「どうせプロになんかなれっこない」「サッカーばかりして何の意味があるのか」と言う人もいるかもしれません。確かに、プロ選手になれるのはごく一握りです。夢が叶いプロになれたとしても、さらに厳しい戦いが待っています。

だとしても、子どもの頃に好きな事に本気で打ち込んだ時間は一生の財産になるはずです。見守る立場の大人が熱くなりすぎることは「百害あって一利なし」ですが、子どもたちは思い切り夢を見て良いのではないでしょうか。本気で努力する事を経験した子どもは、仮にプロサッカー選手になる夢が叶わなくても、大人になってからまた別の夢を見つけた時、同じように本気で努力する事ができるはずです。

問題は、夢見る子どもたちを見守る側の大人が、折に触れて的確なアドバイスができるかどうかです。サッカーで高みを目指す子どもに対してどのようにサポートするのが賢明かを、わたしたち大人は真剣に考えなければなりません。

結果的にプロ選手になれなかったとしても、中学高校そして大学と、より本格的にサッカーに取り組みつつも、将来を見据えて学業やさまざまな社会経験が積める道筋もあります。むしろ、わたしたちはそこをきちんと提案できる事の方が大切です。

NSPアカデミーは、サッカーを通じて親と子がどう向き合えば良いかを考えたり、子ども自身が自分の将来を考える、最初のきっかけになる場になれば良いなと思います。

■地方発 子どもたちの未来づくり

いろいろとわたしが行っている事業について書きましたが、活動を継続するためにはまずもって事業として成り立たせる事が絶対条件です。そういう意味では、NSPアカデミーの活動も社会貢献であると同時に仕事(ビジネス)ですが、関わった人たちに感謝されたりや「ありがとう」という一言が嬉しいからこそ続けられるのです。サッカーやスポーツビジネスに限らず、飲食、製造など業種は何でも良いと思います。

たくさんの「ありがとう」を生み出せる事が仕事になれば、これほど幸せな事はないのではないでしょうか。

過疎地域での巡回サッカー教室やクラブ運営そしてNSPアカデミー。いずれの活動も、始めたきっかけや志からぶれる事なく、ともに活動する仲間はもちろん、全国で活動する同じ思いを持ったサッカーファミリーとともに、これからも「地方発 子どもたちの未来づくり」という大仕事に挑みたいと思います。

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会津泰成(あいず・やすなり)
1970年長野県出身。1993年、FBS福岡放送にアナウンサー入社し、おもにスポーツ中継担当。1999年に退社し、フリーライター、放送作家として活動を始める。2002年にはNumberスポーツノンフィクション新人賞を受賞した。以後は、雑誌以外にもテレビ番組の構成や取材ディレクターなど、活動の幅をさらに広げる。
2015年、かねてから興味のあったソーシャルビジネス(社会問題を解決するビジネス)を始めるため、神奈川県川崎市から新潟県三条市下田地域に移住し、二拠点生活を始めた。現在は、「地方発 子供たちの未来づくり」をビジョンに活動する「NSP新潟サッカープロジェクト」代表として、都会と地方の子供を結ぶ事を目標に、育成年代のサッカー普及活動に取り組んでいる。

2019年度からは「総務省 地域力創造アドバイザー」に就任が決まった。今後は新潟に限らず、地方で同様の活動に励む仲間を増やし、子供たちの未来づくりに貢献したいと考えている。

著書
『天使がくれた戦う心』(情報センター出版)。『歌舞伎の童 中村獅童という生きかた』(講談社)。『マスクごしに見たメジャー/城島健司大リーグ挑戦日記』。『凡人が天才に勝つ方法』。『不器用なドリブラー』(すべて集英社)など。

『NSP新潟サッカープロジェクト』公式ホームページ

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