U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2015

2015年8月31日

「おれが決めてやるって選手がいなかった」バルサに勝った東京選抜が見つけた世界との差とは!?【レポート4日目】

■ワールドチャレンジが教えてくれたこと2 日本の子どもに足りない"自分を信じる力"

「それでは勝てない。非常に残念です」
 
見事、バルセロナを破った東京U-12の米原監督が決勝に敗れて漏らした一言。それは、PK戦にまつわるこんな話に端を発していました。
 
「バルサ戦のときもそうだったんですが、PKを蹴るメンバー3人をこちらで決めて、選手に確認すると『自信がない』と言う。そこで、これは一番やりたくない方法なんですけど、蹴りたい人に立候補してもらうことにした。でも誰も手を挙げない。決勝のときも誰も目を合わせない。それじゃあ勝てない。俺が決めてやる!って選手がいないことは非常に残念でした」
 
米原監督はバルセロナに勝った選手に最大の賛辞を送りつつ、穏やかな表情で、次の課題としてこんな話をしてくれました。昨年はバルサに惜しいところで負けた。今年はバルサに勝って決勝戦で負けた。挑む度に新たな課題が見つかるのもワールチャレンジの醍醐味なのかもしれません。
 
東京選抜の選手とは対照的に、仲間がPKを獲得すると一目散にボールを追いかけ「おれが蹴る」と主張したチャビ・シモンズ。結果的にPKははずれたが、それがゆくゆくは彼の経験となるだろう。日本に足りないのは彼のような精神ではないだろうか
 

■ワールドチャレンジが教えてくれたこと3 エスパニョールキャプテンの並外れた自立心

「チームの半分は新しい選手だった。この大会を通じてその選手たちも含めてひとつのチームになることができたと思う」
 
これが監督の言葉なら驚きませんが、12歳の少年が発した言葉だったらどうでしょう?
 
優勝したエスパニョールのキャプテン、GKのロス・イ・アスパス・マルセル選手は、優勝後の会見で一流選手になるためには何が必要だと思うか? と問われると「トップチームで活躍する可能性はこのチームの誰にもあると思います。チームのためにできることをやっていくのがその可能性を高めると思います」と返し、目指す選手を問われれば「ノイアー選手。他の選手と違いを持った選手だから」と理由まで即座に語りました。
 
 
あどけなさの残る表情と高い声とは裏腹に、大会の感想を「レベルが高くプレーするのが難しかった。特に難しかったのは2点」と要約した後、その2点を説明するという大人でもなかなか難しいロジカルシンキングを披露した彼。通訳スタッフに聞くと「彼は特別しっかりしている」とのことでしたが、12歳で自分の意見を論理的に伝えることのできる選手がいることも、エスパニョールの強さの一端だったのかもしれません。
 
最後は、取材メモの中からいくつかのエピソードを紹介しました。最終日だけでもこんなにたくさんの”伝えたいこと”があったこの大会。世界に挑む4日間のなかで選手たちは世界や異文化を体感し、お互いに学び合う機会をたくさん得たに違いありません。
 
 
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