本・書籍
オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉
公開:2023年5月 9日
5月1日で、イビチャ・オシム元日本代表監督が亡くなられて1年になります。
深いかかわりのあった人たちが、オシムさんから直接授かったり、胸に刻んだりした言葉、それにまつわる出来事をルポルタージュにしました。
そのときの学びや個々の成長を、日本サッカーおよびスポーツ文化の醸成にどう活かしていくか。そこにフォーカスした、いわば育成と教育が大きなテーマになっている本です。
オシムさんの指導力、人としての力、その魅力を縦軸に、そして、彼に吸い寄せられた人たちの感動と葛藤、成長を縦軸に紡ぎました。
なぜ今、オシムの本を書くのか。それは今だからこそです。その指導哲学には、スポハラや日本の教育課題を解決するヒントが詰まっていると考えました。
企画し、取材を始めて数か月したころ、オシムさんの訃報を受け取りました。直接取材し本を渡す夢は潰えましたが、多くの方に届けられれば幸いです。
<目次>
■序章■
「子どものことをやれ」
■第1章■
継ぐ「それでも人生は続く」――佐藤勇人
平和が続くとは限らない 声なき言葉~2ゴールで睨まれる 自由だからこそ責任をとれ オシムのブラボー 日本サッカーの日本化「三つの鍵」 「大切なのは地域であり、育成だ」
■第2章■
野心「もっと上を見ろ。空は果てしない」――羽生直剛
「野心」の代わりに書いた言葉の意味 サッカー選手の「豊かな人生」とは 「ジェフの日本代表化」は長期計画だった説 リスクを冒さない人生に成功なし
オシムの教訓「プロセスを見ろ」
■第3章■
進化「おまえが指示を出したら、その選手が下手になる」――小倉勉
コーチ失格 「サッカーの普遍」への挑戦 選手は生身の人間だ。感情がある
■第4章■
探究「限界に限界はない。限界を超えれば、次の限界があらわれる」――池田浩
61日間休みなし 猛練習でもケガ減少の理由とは 背中を押してもらった代表ドクター就任 泣きながら電話をしてきた乾
■第5章■
約束「汗をかく選手を大切に扱う。それが我々のチームだ」――祖母井秀隆
オシムからの卒業 オシム獲得に結び付いた闘牛ダンス オシムが生むカオス 「おまえは子どものことをやれ」
■第6章■
改革「サッカーのやり方ではなく"サッカーすること"を教えなさい」――池上正
サッカーのやり方を教えるな 日本人の従順さを嘆いたオシム 日本人はサッカーをしていない 二人の師匠 オシムのハグ
■第7章■
辿る「ピッチ上で起こることは、人生でも起こり得る」――間瀬秀一
仕事は「通訳」でなく「指導者」 「じゃあ、俺抜きでやれ!」オシムにキレた日 モンゴル代表監督に就任~最後の電話
■第8章■
紡ぐ「コーチは調教師ではない」――千田善
「みなさんはクソ野郎です」 コーチは調教師ではない 育成にも一家言
■第9章■
繋ぐ「やるかやらないかは、おまえが決めろ」――吉村雅文
走らないと解決できない 選手と学び合うことが「強化」に繋がる 最初で最後のウインク
■第10章■
証明「レーニンは『勉強して、勉強して、勉強しろ』と言った。私は選手に『走って、走って、走れ』と言っている」――夏原隆之
オシムの練習で上達を実感 オシムのリーダーシップ研究
■第11章■
昇華「作った人間なら、それを変えることもできる」――森田太郎
オシムが子どもたちに話したこと オシムのギフト
■終章■
脳細胞をかき回されて