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中村憲剛の「KENGOアカデミー」

サッカーの練習は「何をやるか?」ではなく「なぜやるか?」でうまくなる!

2015年11月24日

キーワード:JリーグKENGOアカデミー中村憲剛川崎フロンターレ練習

日本屈指のゲームメーカー、中村憲剛選手が読者の質問に答える「KENGOアカデミー」。今回は多くの子ども達も行っている「自主練」の取り組み方について話をしてもらいました。
 
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【読者の質問】
子どもの頃にどんな自主練習をしていましたか?
(岸井航太郎くん/14歳/ボランチ)
 
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【憲剛選手の回答】
質問ありがとう!
今回のテーマは「自主練」について。
ガッカリさせちゃうかもしれないけど、僕自身は自主練をそこまで熱心にやっていたほうではないと思います。子どもの頃を思い返してみても、壁にボールを蹴ったり、1対1をやったりしたぐらいで、特別なことは何もしていません。
 

■「やらされている」と「やっている」の違い

個人的には、自主練というのは「何をやるか」よりも「なぜやるか」のほうが大事なんじゃないかと思います。昔に比べれば、サッカーの情報を得られる機会は多くなりました。本屋にはトレーニングメニューが載った本が並んでいて、サカイクのようにジュニア向けのウェブサイトも充実しています。そういうのを見れば、「自主練はやって当たり前」と思うかもしれないけど、果たしてそうでしょうか。
 
AくんとBくんという2人のサッカー少年がいるとします。2人は、自主練で全く同じメニューを、全く同じだけやりました。だけどAくんはうまくなったのに、Bくんはそれほどうまくなりませんでした。なぜ、そんなことが起こるのでしょうか?
センスや才能が違うから、ではありません。一番重要なのはそこに「意志」があるかどうかです。
 
誰かに「やれ」と言われてやるのと、自分から「やりたい」と思ってやるのでは、成長速度は大きく変わってきます。つまりAくんとBくんが同じことをやったのに伸びに違いがあったのは、「やっている」と「やらされている」の違いです。
 
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■普通の練習を最高の練習にする

僕は、ボールに触れば触るほど良いと思っています。でも、何となくボールに触っているぐらいだったら、別のことをしたほうがいいんじゃないかなとも、思っています。
メジャーリーグのダルビッシュ有選手が、ツイッターでこんな発言をしていました。
 
「練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ」
 
自分からやりたいと思っていれば、頭を使うようになっていきます。
例えば、2人で向かい合ってパスを出す「対面パス」。サッカーで一番単純な練習といえるかもしれません。それでも、何となくやっている選手と、頭を使って意識を高くもってやっている選手では、同じ時間、同じ本数を蹴っても、明確な違いが出てきます。
このパスは試合の中のどの場面で使えるキックなのか、どれぐらいの強さで蹴ればいいのか……1本1本を考えながらやっていれば、対面パスのように単純な練習でも最高の練習になります。
 

■「ロンド」をやろう

僕自身は奇抜な練習があまり好きじゃありません。
何度も言っていますが、僕はボールを止める・蹴るという部分が、サッカーで一番大事だと思っています。そこをすっ飛ばして、新しいことをやろうとしてもうまくいくはずがない。勉強に例えるなら、足し算やかけ算ができないのに、難しい方程式を解こうとしているようなものです
 
僕がオススメするメニューが「ロンド」です。ウォミーングアップなどでおなじみのメニューなので、読者のみんなもきっとやったことがあると思います。「鳥かご」と呼ぶ場合もあります。
外側の選手は、中のディフェンスに奪われないように、パスを回す。人数は4対2、6対4、7対5などボールを持っている側を多くします。外側で回すだけでなく、何人かが中に入る場合もあります。ミスをした選手がディフェンスと交代するというルールです。
 
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ロンドをやれば、その選手がいいプレーヤーかどうかは1発でわかります。
 
うまい選手は滅多にボールを失いません。だから、パスを回す側にいられる。逆にうまくない選手は、すぐにボールをカットされて、しょっちゅうディフェンス役になる。
ロンドでうまい選手かどうかがわかるのは、この練習に全てが詰まっているからです。ボールをどこに置けばいいのか、どこでボールを受けるのか、相手との距離はどれぐらいか、どの選手へのパスを狙っているのか……。その狭いエリアの中で常に意識を高くもって考え、その考えをプレーで表現できるんです。ロンドで発生する現象は、どれもサッカーの試合で実際に起こる現象です。
 

■ロンドで駆け引きを学ぶ

川崎フロンターレのトレーニングでもロンドはよくやっています。川崎ではパスを回す側はワンタッチ制限がつきます。ワンタッチでやるということは、ボールを受ける前に次のプレーの準備をしておかなくてはいけません。
 
パスを受ける位置を考えて、カラダの向きを作っておきます。さらに相手の状況を見ながら、ボールをどのタイミングで蹴るのかも調整します。すぐに蹴ったほうがいいのか、相手を引き付けてから蹴ったほうがいいのか。その全てをワンタッチの制限がある中でやらなければいけないので集中が必要になります。
最初のうちはうまくいっていても、時間が経つとミスが増える選手は、試合でも後半になるとミスが目立ってきます。
 
ロンドはボール1個あればできるので、何人かいれば、すぐにできます。ダラダラと遊び感覚でやるのではなく、真剣に、集中してやってみましょう。ちゃんとやれば、当たり前にやっているロンドもまた最高の練習になるのです。
 
今回はここまで。引き続き、「KENGOアカデミー」ではみなさんからの質問をお待ちしています!
 
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中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。小学生時代に府ロクサッカークラブでサッカーを始め、都立久留米高校(現・東京都立東久留米総合高校)、中央大学を経て03年に川崎フロンターレ加入。06年10月、日本代表としてデビュー。国際Aマッチ68試合出場6得点(2015年2月現在)。05年から14年まで10年連続Jリーグ優秀選手賞を受賞。Jリーグベストイレブン5回選出。
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構成:北健一郎 協力:ケンプランニング

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