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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

親の負担大で敬遠? チーム存続の危機だよ問題

公開:2019年3月 6日 更新:2019年3月22日

キーワード:お茶当番ボランティアコーチ合宿少年団親の負担車出し

車出しやお茶当番、合宿の連絡係など、親の負担から入団を敬遠される。子どもたちはサッカーを楽しみたいのに親の負担を理由に辞めさせられることを改善したい。というご相談をいただきました。

お茶当番の改善にも「ボランティアコーチにそれは言えない」という意見もあってなかなか状況が変わらないのだとか。みなさんならどうしますか?

今回も、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、ご相談者さまにアドバイスを授けます。参考になさってください。(文:島沢優子)

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※写真はサカイクキャンプです。ご質問者様とは関係ありません

<<親が期待しすぎ?息子のサッカーやめたいよ問題

<サッカーママからのご相談>

初めまして。
少年団の運営について検索していたところ、こちらのページにたどり着きました。
同じような悩みをお持ちの方がたくさんいらっしゃることに驚きました。

息子は小学校1年で入団し、現在3年目です。
我が家は車出しなど、チームの活動に貢献度が高い家庭だと思います。夫もサッカー経験者で理解はあるので、負担ではありますが今すぐに辞めたいとは思っていません。

が、部員が少なくて困っています。
公式戦に出られる8名が揃わず、上の学年のヘルプに行ったり、下の学年からヘルプに来てもらったりしています。

入団の勧誘をしても、保護者の負担が重いことから敬遠される方が多数です。
主な保護者の負担としては、試合の際の車出し(高学年はほぼ毎週末)、試合への付き添い、夏合宿への付き添い(泊りがけ又は日帰り)、役員になると、コーチと保護者との連絡係などです。

どの少年団も同じようなスタイルではあると思いますが、このままでは存続の危機だと思っています。団員を増やすためには、何か改革していかなければならないと思いますが、何からどう手をつければいいものか...。

例えばコーチに出すお茶ですが、練習時は出していませんが、試合時は親がコーヒーやお茶、水などを用意して出しています。選手と同じように自分の飲み物だけは持ってきもらうようにしたら経費の削減にもなると思うのですが、「ボランティアのコーチにそれは言えない」という意見もあります。

夏合宿の費用も、手伝いに行く母は自腹ですがコーチ分は部費から出しています。これも、団員が確保できなければ難しくなってきます。

コーチたちは、保護者にもっと勧誘してくれとしか言わず、根本的な解決策を考えようとはしていないように見受けられます。私も、あくまでボランティアで指導してくださっているし、仕事があって忙しいことも十分承知しています。だから、これ以上コーチたちに負担をかけるわけにはいかないなという気持ちもあります。

保護者負担の偏りについては、うちのように車も出せて動ける家庭ばかりとは限りません。当番制にしたところで、乳幼児がいたり、親の介護をされている方もいて、全員を平等に回すことは無理です。それを「不公平だ」という方も中にはいて、そういう人たちに理解を求めることもなかなか厳しい状況です。

息子はサッカーが好きで、たまにですが上の学年の子たちとも一緒に練習ができたりするのが楽しくてこの少年団に入りました。

同学年でも、保護者負担に不満があって退団を考えている親御さんがいて、どうしたら引き止められるか考えています。
子どもたちに楽しんでサッカーしてほしいのに、親の負担で辞めてしまうのは悲しいです。どう改善していったらいいのでしょうか。うまくやっているチームなどがあれば、その取り組みを教えていただけますと幸いです。

<島沢さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

私がわが子とともに少年サッカーの世界にいた数年前でも、すでに少年団は「負担が多いから」と敬遠する動きはありました。
それでも、地域の少年団やクラブで同じ小学校の仲間とサッカーをすることを選ぶほうが「多数派」でした。保護者も学校と同じママ友でわいわい協力し合う。コーチも顔見知りの友達のパパだから安心。「小学校の間は楽しくやればいいよね」と言いつつも、ちょっと勝ちにこだわってぎくしゃくしたり。どこもそんな感じだったのではないでしょうか。

■任意の団体である限り避けては通れない問題

ところが、少しずつ少年サッカーの状況は変わってきました。
サッカーを遊びではなく、ピアノや英語などと同列の「習い事」として、もしくは親がゆっくりしたい土日や、忙しい放課後の「託児施設」的にとらえる。この二つの傾向が色濃くなった影響も大きいような気がします。

大学生や高校生を取材すると、「サッカーを習っていました」という子がいます。保護者からは「サッカーを教えてもらっているけれどちっともうまくならない。少年団は会費が安いから助かるけれど、コーチが素人だからでしょうか?」といった相談を受けます。こちらは「教えてもらう」というとらえ方なのです。

「親の負担を避け、預けっぱなしでサッカーが上手くなるところがいい」
ストレートに言えば、このような希望を持っている親御さんが増えてきているのかもしれません。それゆえに、以前の多数派は「少数派」になりつつあるようです。

ご相談者様は、
「保護者負担に不満があって退団を考えている親御さんがいて、どうしたら引き止められるか」を考えています。
「どう改善していったらいいのでしょうか。うまくやっているチームなどがあれば、その取り組みを教えてほしい」と。

そこで、少し前まで息子さんが少年団でプレーしていた方に聞いてみましたら・・・
「そんな知恵があったら教えてほしい」と言われました。民間やNPOのように固定された運営者がいない少年団のサッカーチームは、同じ悩みを抱えていますね。

お茶出しやコーチのお弁当は省いたとしても、車出しや選手登録や大会への参加申請など事務的な手続きなど保護者が請け負う負担は、任意の団体である限り避けて通れません。

■親が能動的に動けないのに、自分で考えて動ける子どもが育つのか

ただ、そんな負担や問題をたったひとりの保護者が背負うのは、おかしなことです。

夏合宿の費用は自腹で、団員が減ればコーチの費用が負担できなくなると心配しています。
それなのにコーチたちは勧誘しろとしか言わず、解決策を考えようともしていない。が、「あくまでボランティアで指導してくださっているし」と保護者は何も言えません。
乳幼児がいたり、親の介護者もいて全員平等に回すことは無理なのに「不公平だ」といわれる。ご相談者様は、少年団を存続させようと一生懸命です。

一体、誰のための少年団でしょうか。
相談いただいたお母さん以外、全員が受け身です。
コーチは、勧誘しろとただ待っている。少年団をどうすれば存続できるかと言った話し合いもされない。車出しが重なれば「不公平だ」と文句を言うだけで、どうしたらいいかと考える姿勢がありません。

どこもでもありがちな問題ではありますが、「みんなのための、みんなによる、みんなのサッカー少年団」になっていません。
任意の団体なのですから、決定する意志は皆さんに任されているわけです。親たちが能動的に動けないのに、自分で考えて動ける子どもが果たして育つでしょうか。

まずは、一度お手紙を書いてはどうでしょうか?
あなたが役員なら、役員で「みんなのための、みんなによる、みんなのサッカー少年団」にするにはどうしたらいいのかを話し合う。そして、それをコーチも他の親にも向けて、みんなで考えてもらうのです。

ボランティアのコーチには感謝しつつも、ここは対等な関係で少年団を存続させることを一緒に考えてもらわなくてはいけません。今の状態では、コーチやほかの保護者が上のほうからお母さんたちに「みんながハッピーになるように何とかしろよ」と叫んでいる。そんなふうに見えます。

次ページ:あなただけが疲弊しないように、まずコレから着手

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文:島沢優子

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