■ドイツのグラウンド脇に貼られた標語に書かれたメッセージ
勝ち負けに意識が行き過ぎると、ミスを許容できなくなります。失点につながるミスであれば、なおさらです。しかし、6歳から8歳のときに必要なのは、目先の試合の勝ち負けではなく、サッカーを楽しみ、学ぶことで上達していくこと。勝負にこだわることと結果を最優先に考えることは、似ているようで異なります。サッカーを始めたばかりの頃は、ミスを繰り返すことで正しい動きや判断を身につけていき、上達していきます。とくにジュニア年代において、グラウンドで見るべきは試合に勝った、負けたではなく、何を学んだか。そして一番大切なのは、サッカーを楽しんだかです。
坂本さんは、ドイツのあるグラウンドの脇に貼られていた標語を見せてくれました。そこには、次の言葉が書かれていました。
1:これは子どもたちの試合です。2:これは単なるゲームです。3:コーチたちは皆、ボランティアです。4:審判も同じ人間です。5:この試合はワールドカップの試合ではありません。
「この標語は、バイエルン州サッカー協会やドイツサッカー協会がホームページを通じて行ったキャンペーンと同じ主旨のものです。『叫ぶな』『怒鳴るな』『子どもを怯えさせるな』と上から目線で言うと、『いいじゃないか、自分の子どもなんだから』と言い返したくなりますが、『なぜだめなのか』という理由を説明すると、納得しますよね。親が見たいのは子どもの笑顔であり、活躍する姿です。それは指導者も同じで、本来、親とコーチの目的は一緒のはずですよね」
サッカーを始めたばかりの頃は、目先の試合の結果以外にも、大切なことがあるはずです。そこに目を向ける人が増えることが、結果として「子どもたちがうまくなる環境づくり」につながり、ひいては子どもたちの成長につながるのではないでしょうか。
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取材・文 鈴木智之