サッカーには「技術」「戦術」「フィジカル」「メンタル」「チームワーク」「コミニュケーション」など、様々な要素が必要です。どれもいきなり身につくものではなく、小さい時から少しずつ順序立ててやっていくことが大切。今回はその中から「戦術」をテーマとし、ドイツのプロサッカーコーチライセンス(日本で言うS級)保持者で、1.FCケルン元育成部長のクラウス・パプスト氏にいろいろと尋ねてみました。(取材・文 中野吉之伴)
DVD「モダンフットボール」より
■不必要に多くゲームを止めないこと
戦術とはそもそも何でしょうか。ドイツでは「状況に応じた最適なプレー判断をするためのベースとなる考え方」と考えられています。つまり戦術とは、知ることでピッチ上でどのようなプレーをすべきかという判断の助けとなるものであり、戦術という鎖で選手のプレーをがんじがらめにするものではないのです。戦術理解を深めるのはもちろん大切ですが、年代にあった課題を与えることが重要。日本でもドイツでも、自分のイメージにそぐわないプレーに感情を露わにする大人が残念ながらまだ見られますが、特に小さい子どもから小学生年代では細かすぎる指示は弊害にしかなりません。
クラウスも「練習中でも不必要に多くゲームを止めないことが大切なんだ。9歳の子どもでも自分のこと、ボールのこと、ゴールのこと、あとは仲の良い友人のことくらいにしか意識を向けることができない。この年代の子どもにとってはこれが普通で、全体的な状況把握をするのはとても難しいこと。大人はすでに積み重ねがある。状況を把握できるし、どうしたらいいかの経験もある。子どもたちはその経験をしている段階なんだ。学校で算数を学ぶのもそうだろう。最初は1+1からだ。いきなり掛け算を学んだりはしないだろう?外から難しいことを怒鳴ったり、注意ばかりをしても何も伝わらないんだよ」と主張します。
クラウス氏監修のDVD「モダンフットボール」と
ドイツサッカー協会編集のU-10向け指導本がセットに>>