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燃え尽き症候群を防ぐには目標設定から見直すべき?【英国サッカーの最新事情】

公開:2019年1月15日 更新:2019年1月21日

キーワード:イングランドエゴ・オリエンテッドタスク・オリエンテッドバーンアウトマーレー・志雄心理学心理的ストレス燃え尽き症候群身体的ストレス

燃え尽き症候群と聞くと、何か節目となるような大きな大会の後などに全力を出し切ってなってしまう、そんなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

確かに小学校、中学校最後の大会などは思い入れも強く、大会後は何もやる気がでなくなるようなこともあるでしょう。ただ実は日々のちょっとしたストレスが蓄積して、なんでもない日常の延長線上で燃え尽きてしまうこともあるのです。

今回はそんな燃え尽き症候群に関して、そして親やコーチがそれを防ぐためにどのように子供に接していく必要があるかを、イングランドのサウサンプトン大学レディースFCのトップチームの監督と、BTCスポーツクラブU13でコーチを務めるマーレー・志雄(しおん)さんにお話をうかがいました。

近年心理学が非常に重要視されているイングランドの知見にはたくさんの学びがありました。

(取材・文:内藤秀明/編集協力:下田朝陽)

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楽しいはずのサッカーが... (写真はサカイクキャンプ)

 

後編:燃え尽き症候群を防ぐために、指導者&保護者が意識すべきこと >>

■燃え尽き症候群に至る2つの要因

ジュニア世代にある選手たちが燃え尽き症候群に繋がる要因を大きく分けると、身体的ストレス心理的ストレスの2つだと言われています。身体的ストレスの代表例としてはオーバートレーニングなどが挙げられ、練習の負荷を適切に設定することが重要となります。

こうした身体的ストレスは目に見えやすいものでもあるため、燃え尽き症候群の要因として焦点が当たりやすいものでしょう。

ただ近年イングランドにおいては、心理的ストレスに関しても非常に注目されています。ではどのようにすれば、心理的ストレスを減らせるのでしょうか。

■心理的ストレス軽減にはタスク重視の目標設定を

心理的ストレスを軽減させるためには、結果ではなくプロセスを重視する指導が必要です。心理学においては「試合で点を決める」など、結果重視の方向性や目標設定を「エゴ・オリエンテッド」と定義。

また「相手陣地でボールを5回奪う」といったプロセス重視の方向性や目標設定のことを「タスク・オリエンテッド」と定めています。

「タスク・オリエンテッド」では、チームが練習していることの延長線上に選手個々のタスク設定を行います。例えば、試合週に前線からのプレッシングを練習したとしましょう。

その上で中盤の選手に「相手陣地でボールを5回奪う」という目標設定をしてあげると、練習した内容をピッチで表現して勝利を目指す展開を作り出すことが可能です。このようにして結果に至るプロセスを重視することで、トレーニングの質向上が期待できます。

また試合に出ていない選手に対して、目標設定に対するパフォーマンスの結果を数えさせ、試合に参加させるような環境を整えることをも奨励されています。そうすることで選手の当事者意識は増しますし、コーチの負担も軽減されます。

指導者による不適切な声掛けも、選手の心理的ストレスに繋がります。ミスが発生した際に「今のは違うだろ!」と声を荒げるよりも、冷静にミスを指摘した上で「じゃあ、どうすれば良かった?」と質問する方が効果的です。

また、ミスをした選手を茶化す指導者もいますが、"イジり"と"いじめ"の境界線は非常にあいまいです。常に選手側の目線に立ち、サッカーを辞めたいと思わないような言動を意識しましょう。

■燃え尽き症候群を避けるために。イングランドが行う取り組みは

イングランドで指導をしていて気づいたのですが、日本のように「うちの子を厳しく見てやってください」と保護者から指導者に厳しさが要求されることがこちらではほとんどありません。

保護者側から指導者側に過度に厳しさを要求すると、それが練習場で悪い形で反映されてしまい、結果的に子供たちの心理的ストレスを増幅させてしまうリスクがあります。

イングランドが全てというわけではありませんが、いい部分は真似していきたいですね。

逆にイングランドの課題でいうと、ベテラン指導者と若手指導者の世代間格差が大きいです。現在イングランドではサッカー協会公認心理学ライセンス講習なども行っており、若い世代には心理学に精通したコーチも増えてきていますが、高齢の指導者だとそうでもありません。

どうしてもベテランの指導者が行うコーチングは全て正しく見えてしまうかもしれませんが、明らかに厳しい物言いなどをしている場合は、疑う目も持つべきなのかもしれませんね。

後編:燃え尽き症候群を防ぐために、指導者&保護者が意識すべきこと >>

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取材・文:内藤秀明 編集協力:下田朝陽

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