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こころ

2016年2月18日

「○○君を出すから負けたんだ」はNG!選手起用は親が決めることじゃない

キーワード:コミュニケーションドイツ出場機会坂本健二育成

■まずはコーチの考えを聞いてみよう

さらに、坂本さんがU19のチームの監督をしているとき、こんなことがありました。リーグ戦終盤でその試合に勝って上位争いに加わりたいという気持ちで挑んだ試合でのこと。4―1でリードしたのでストライカーを下げて、普段あまり試合に出ていない選手をピッチに送り出しました。シーズン終盤のことも考え、よりチーム力を上げる意味で行った選手交代でした。しかし、その選手が決定機を外しただけでなく、相手チームに次々とゴールを奪われ、終わってみれば4-4の引き分け。相手選手たちはまるで勝ったかのような大騒ぎ、坂本さんのチームは3点のリードを守れず、まるで敗戦したかのような衝撃に打ち拉がれてしまいました。
 
試合終了直後、試合を観に来ていた選手の親に「なんでエースの選手を替えて、あんな選手を入れたんだ!」と、すごい剣幕で怒鳴られ、詰め寄られました。そこで坂本さんはその理由を説明するために、過去の試合のデータを振り返り、途中出場した選手がどのぐらいゴールを決めていたかを明らかにしました。選手たちにもデータを見せながら「だからこの選手を使ったんだ」と説明をしたそうです。坂本さんは言います。
 
「なぜその選手をスタメンで使うのか。あるいは途中から出場させるのか。コーチは常にその理由を考えながら、試合前だけでなく試合中も、選手起用には気を張っています。選手の調子、対戦相手の傾向を見極めて、適材適所で選手起用するのがコーチの役割だからです」
 
コーチはなにも考えずに選手交代を行っているわけではありません。コーチにはコーチの考えや計画があり、チーム全体のことや選手ひとりひとりの成長を考えて、トレーニングを組み立て、試合に出場させています。それに対して疑問や不満を持つこともあるかもしれませんが、一方的に非難をしたり不満を持つのではなく、疑問に思うことがあれば、直接、訊ねてみるのがいいかもしれません。コーチと親がコミュニケーションをとり、お互いの考えに対する理解を深めることが、子どもの成長につながっていくと言えるでしょう。
 
 
坂本健二
1960年東京生まれ。82年~89年山雅SC(現松本山雅FC)にてプレー(85年北信越リーグ優勝)。98年サッカー留学のために渡独。99年からヴェルダー・ブレーメンのU16、U13、U9などの指導者を歴任、00年にはクラブ史上初のコーディネーション・コーチにも抜擢された。04年ドイツサッカー協会指導強化ビデオ『「ボールを重視した」守備』を翻訳、同協会認定指導者B級ライセンス取得。06年日本人初、FCペンツベルクでアカデミー・ダイレクターに就任。15年指導者資格DFB・エリート・ユース・ライセンスを取得、日本へ帰国。
 

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取材・文 鈴木智之 写真 坂本健二

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