■子どもは血糖値を上げすぎないほうがいい?
では、子どもの食事において血糖値の上昇をおさえる意味はどこにあるのでしょうか。
「血糖値が急激に上がると、満腹感を得られますので、食が細い子どもは食事の全体量が減ってしまいます。成長期ですから、なるべくたくさん食べてほしいですね。また、血糖値の急激な上昇は血管を傷つける原因となります。将来の心筋梗塞や脳卒中など血管系の病気になるリスクを上げてしまうことにも」
「子ども時代は成長期であるとともに、食事の基礎をつくる時期でもありますから、“血糖値を上げない食べ方”を今から身に着けることは、健康でいるためにとても大切なことです」と川端さんは教えてくれました。
また、「グルコーススパイク」(血糖値スパイク)という言葉も、最近メディアなどで耳にすることが増えてきました。グルコーススパイクとは、健康診断では正常値なのに食後の短時間だけ血糖値が急上昇して再び正常値に戻ることです。老若男女関係なく誰でもなると言われており、放っておくと動脈硬化や脳梗塞などを引き起こす危険性もあるといわれています。
それだけでなく、急激に上がった血糖値が急激に下がることで低血糖状態となり、イライラしたり集中力が下がるなど、日常生活にも支障がでてきてしまうのだとか。
競技や年齢によってはあえて血糖値をあげる食べ方で回復を促すこともありますが、子どもの場合はスポーツだけでなく、健康な体を作るという意味で、このあたりは余計な情報にまどわされずに意識したいものです。
サッカーをするしないに関わらず、健康的な食生活とは切り離せない「血糖値」。
子どもの栄養について考えるなら、血糖値のことも無視はできません。普段の主食は米が多い家庭も多いかもしれませんが、研いで炊く時間がなかったり、毎日和食では飽きてしまうこともありますよね。米以外の主食も食事に取り込みたいときには、同じ糖質でもパスタにして、野菜や肉、魚介類などを多くとりいれることもお薦めです。暑いこの時期は、冷製パスタにしても良いでしょう。
後編では、しっかりエネルギー補給ができて、他の栄養素も摂取できるパスタの調理法や、一緒に摂るとよい食材などをご紹介します。また、パスタ食には『和食の唯一のデメリット』を解消する“ ある理由”もあるのだとか!どうぞお楽しみに。
川端理香(かわばた りか)/管理栄養士
スポーツ栄養WATSONIA代表。元日本オリンピック委員会強化スタッフ。2004年アテネオリンピックでは「VICTORY PROJECT」のチーフ管理栄養士として、2008年北京オリンピックでは強化スタッフとして全日本男子バレーボールチームのサポートを行う。
Jリーグでは、これまで浦和レッズ、東京ヴェルディ1969、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、FC岐阜、コンサドーレ札幌などのトップチームや、横浜FマリノスやFC東京などの個人選手や、プロ野球選手やプロゴルファーなどのサポートも行っている。また、企業の栄養アドバイザーや大学、専門学校の講師を務めるなど多岐にわたって活動。
著書に『サッカー選手の栄養と食事』『子どもの身長を伸ばす栄養と食事』『10代スポーツ選手のケガ予防の栄養と食事』(大泉書店)、『カラダの悩みは食べ方で99%解決する』(ゴルフダイジェスト社)など多数。
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では、子どもの食事において血糖値の上昇をおさえる意味はどこにあるのでしょうか。
文:小林博子