親子でチャレンジ
「集中‼」が子どもの動きを鈍らせる⁉ 子どもが言われてうれしい応援とは
公開:2016年9月19日 更新:2021年1月27日
PLAYERS FIRST(プレイヤーズファースト)――。
この言葉を聞いたことありますか? サッカーでは選手が主役。選手である子どもたちが自分で考え、自分で決めて、自分で行動をする。親である私たちは、それを見守り、彼らを尊重することが基本です。けれど“勝ちたい”“勝たせたい”という気持ちから子どもにさまざまな声かけをしています。でもそれはプレイヤーズファーストになっていますか? 選手たちは本当に勝ちたいと思っていますか? もしかすると親御さんたちの望みではないですか? PLAYER=選手であるこども、FIRST=第一に考えるとは、どういうことなのか。サカイクでおなじみのしつもんメンタルトレーナーの藤代圭一さんと一緒に考えてみたいと思います。(取材・文 前田陽子)

■子どもたちが成長する言われてうれしい応援とは
藤代さんが子どもたちを対象に開催するワークショップでは、彼らに試合のときに「言われてうれしい言葉」と「言われてイヤな言葉」は何ですか? と質問しています。その答えの一部をお教えします。
言われてうれしい言葉ナイス負けるな!今のいいよ、頑張ってやればできるじゃんあきらめない次はできるようまい!ナイスクリアナイスシュートいいねナイスプレイありがとういつも通りドンマイ○○くんならできるよ~失敗しても大丈夫○番気を付けてOK、OK次、あるよ切り替えて~言われてイヤな言葉ここ大事ここしっかり何してるの!決めろよ~しっかり~チッ(舌打ち)まじめにやって~集中‼いまのもったいないうわ~そこ決めてよ~どうして取りに行かないんだよそこドリブルじゃなくてパスでしょ~なんで打たないの~早くして※これらの言葉には、親からはもちろん、チームメイト、コーチなどからの言葉も含まれます
書き出してみると、言われてうれしいのはポジティブな言葉、言われイヤなのは批判するような言葉ということがはっきりとわかります。やったプレイを批判されるような言葉は、子どもたちからやる気を奪ってしまう原因に。モチベーションを上げるような意味でも、声掛けはポジティブな言葉に徹底したいですね。
気を付けたいなのは、「ここ大事」「集中して~」という言葉。コーナーキックなどのセットプレーの際に様々な年代の試合で親からはもちろん、コーチなどが使っていて、中継などでも「ここ集中したいですね」と言っているのを耳にします。けれど、実際には言われると緊張して硬くなってしまうという子がたくさん。集中しなければいけない状況なことは、子どもたちも十分わかっていること。そんなときに追い打ちをかけるように「集中!」と言われると「失敗できない」と考えてしまい逆効果になってしまうようです。
また、点を取られて「うわ~」と言ってしまったり、シュートを外してしまったときに「いまのもったいない」といった声もよく聞かれます。子どもに対してではなく、親同士で話していることも、案外聞こえてしまうもの。周りがうるさくても親の声はなぜか子どもに届きます。ピッチサイドでは、どんな声も子どもたちに届いていると思って、声掛けの言葉や応援の態度に気を付けましょう。
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガに登録しよう!
取材・文 前田陽子