1. サカイク
  2. 連載
  3. スペイン人に聞く。日本人コーチの疑問
  4. どのように周りを観れば、判断能力を高めることができるのか?

スペイン人に聞く。日本人コーチの疑問

どのように周りを観れば、判断能力を高めることができるのか?

公開:2012年4月24日 更新:2013年2月 6日

キーワード:スペイントレーニングバルセロナ知のサッカー練習育成

77AL0783.JPG
 
サッカーサービスが監修・制作したDVD『知のサッカー』は、育成年代の指導者から大きな反響を呼び、多くの感想や質問がサカイク編集部に寄せられました。そこで多くの日本の指導者に共通する疑問について、サッカーサービスのコーチであるカルレス、ダビッドの2人に答えてもらいました。今回のテーマは、「試合中、どのように周りを観れば、判断能力を高めることができるのか?」についてです。
 
<< PREV | 記事一覧 |
 
Q:周りを見る意識が高いにも関わらず、判断能力が伸び悩む選手には、どのようなアドバイスをすればいいのでしょうか。
 
 

■判断に必要な基本的要素は指導する必要がある

サッカーにおいて『観る』ことはとても難しいことです。観るべきことはボールだけでなく、味方、相手の位置、スペースなど、多くの要素があります。フリーの選手がどこにいるのかをしっかりと観ることができれば、その選手はパスをうまく出すことができるでしょう。なぜなら、周りを観て、「適切なプレーはなにか」を分析できているからです。つまり、しっかり観ることができれば、いい判断をするのはそれほど難しいことではないのです。
 
判断力を高めるために、選手に基本的な要素を教える必要があります。たとえば、私がセンターバックだとして、相手がドリブルをしながら1人で向かってきたとします。そして右側には、もうひとりのFWがゴールに向かって走ってきています。守備側1人対攻撃側2人という数的不利の状況で、指導者はセンターバックの選手に対して、戦術的にどのような要素を考慮するべきかを指導しなければいけません。
 
もしFWがゴールに向かって斜めに走ってくるのであれば、それをマークし続けながら、オフサイドになるまでついていきます。また、ボールを持っている選手が、斜めに走ってくる選手にパスをしないのであれば、ラインのバランスを保ちつつ、相手をオフサイドにします。これはバルセロナのカルレス・プジョルがやっている、守備の基本の1つです。
 
このように、1つのテーマに対して、サブコンセプトがいくつかあります。そして、それぞれに考慮すべきポイントがあります。それを指導することで、選手はゲームをより深く理解することになるでしょう。
 
77AL0984.JPG
 
 

■ポジションによって『観る』は異なる

選手のポジションによって、どこを観てプレーの判断材料にするかは異なります。たとえば、中盤の真ん中の選手であれば、チームメイトがどこにいるのかを観ることが大切です。ピッチの中で数的優位ができている場所を探し、そこへボールを運んでいきます。一方、中盤のサイドにいる選手は、スペースがどこにあるかを認識することがポイントです。味方のためにスペースを作り、埋める。その動きを繰り返していきます。
 
フォワードも同じように、どこにスペースがあるかを認識する必要があります。ゴール前では味方や相手などの人ではなく、スペースを観ることが大切です。これは、日本の高校生を指導したときに、重要なテーマとして取り上げました。ボールだけを観て動くのではなく、どこにスペースがあるかを見極め、そこに入る。前に進むだけが良いプレーではなく、ときには止まったり、バックステップを踏んでスペースに入り込みます。そこにボールが来れば、余裕のある状態でシュートを打つことができます。
 
おおまかに説明すると、中盤の選手が観るべきことの80%が味方と敵の状況で、残りの20%はスペースです。FWの場合、80%はスペースを観ることに費やし、残りの20%は味方や敵の動きを観ること。さらにFWは、スペースをみつけて入る、あるいは味方のためにスペースを作り、使わせることを試合中続けます。
 
 

■選手が良い判断をするためのサポートを行う

選手が良い判断をすることを待つことはできません。待っていてなにもしないのであれば、指導者の存在意義はなくなってしまいます。選手がいい判断をするためにサポートするのが、指導者の仕事です。指導者の中には、「この選手、マークの仕方をしらないんだよ」「パスが下手なんだ」「サポートすることを知らないんだよ」と文句を言う人もいます。
 
重要なのは、その選手に誰がどのように教えたかです。選手がすべてを自分で学ばなければいけないのだとしたら、指導者の役割はなくなってしまいます。家に帰って、選手たちだけでがんばればいいでしょう。選手がレベルアップするための手助けをする。それこそが、我々指導者の役割なのです。
 
 
<< PREV | 記事一覧 |
 
■バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法
 

 

 “選手の頭を鍛える”トレーニングの決定版 「知のサッカー」が、ついに入荷!!

【予約特典1】先着500名様にサッカーサービス社による講習会DVDをプレゼント
【予約特典2】2013年2月15日までに予約すれば送料が無料!
●詳しい情報はこちら>>知のサッカースペシャルサイト
 
info-dvd-vol02_01.jpg

 
77AL0631.JPG
カルレス・ロマゴサ・ヴィダル//Carles Romagosa Vidal
FCバルセロナ下部組織の監督として5年間活躍し、ボージャン、ピケ、セスク・ファブレガスらを指導。また、スクールディレクターを務めた経験を持つ。現カタルーニャ・サッカー協会 副テクニカル・ディレクター兼プロジェクト・コーディネーター。
 
77AL0610.JPG
ダヴィッド・エルナンデス・リヘロ// David Hernández Ligero
現在、サッカーサービス社においてテクニカル・ディレクターとしてクラブコンサルティングを担当。また、プジョルのパーソナルトレーナーを務めた経験を持つ。カタルーニャサッカー協会副テクニカル・ディレクターやVic大学「フットボール方法論」教授などを兼任する。
 
 
【この記事を読んだ人にはこちらもオススメ!】
1

サカイク公式LINE
\\友だち募集中//

子どもを伸ばす親の心得を配信中!
大事な情報を見逃さずにチェック!

友だち追加
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガ
取材・文/鈴木智之、写真/小川博久、取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan

募集中サカイクイベント

サカイクイベント一覧

関連するコラム記事

コラム記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ

スペイン人に聞く。日本人コーチの疑問コンテンツ一覧へ(2件)

コメント

  1. サカイク
  2. 連載
  3. スペイン人に聞く。日本人コーチの疑問
  4. どのように周りを観れば、判断能力を高めることができるのか?