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バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法

トレーニングで重要なのは「試合の中で起こる現象を学ぶこと」

公開:2012年3月19日 更新:2013年6月 6日

キーワード:スペイントレーニングバルセロナ知のサッカー練習育成

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『知のサッカー』でおなじみ、FCバルセロナのメソッド部門責任者をつとめるジョアン・ビラ氏が、日本の育成年代の指導者に『賢い選手を育てるためのトレーニングメソッド』を明かしてくれました。「どんなトレーニングをすれば、子どもたちがうまくなるんだろう?」と日々悩んでいる指導者のみなさん、必見の内容です。
 
今回はサッカーサービスが信じている、トレーニング方法について説明したいと思います。トレーニングメソッドには、大きくわけて『アナリティックメソッド』と『グローバルメソッド』という、2つのトレーニング法があります。
 
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■多くの国で行われている「反復練習」の特徴

アナリティックメソッドとは、「反復練習」の意味で、味方同士で行う対面パスやコーンドリブルなど、試合で必要なアクション(動作)の一部を切り取り、重点的に繰り返し行うトレーニングのことを言います。
 
グローバルメソッドは、「包括的な練習」という意味で、試合とほぼ同じ状況を再現することにより、プレーのレベルアップに必要な多くの要素(認知・判断・技術・戦術・フィジカル・メンタル等)を同時にトレーニングする方法です。
 
これまでサッカーの世界では、アナリティックメソッドのトレーニングが主流でした。たとえばパスのトレーニングをする際、2人の選手が対面に離れて立ち、距離を縮めたり、長くしたり、右足で蹴ったり、左足で蹴ったり……という具合にパスの交換をします。
 
私がバルサの下部組織を指導していた時、トップチームにロナルド・クーマンという、ロングパスの名手がいました。彼は練習のあとに、アナリティックメソッドで40~50mのロングパスのトレーニングをしていました。何度も同じ動作を繰り返すことで、キックの精度を上げるのは、理論的にも正しいものです。このケースはアナリティックメソッドの成功例と言えるでしょう。
 
例にあげたとおり、アナリティックメソッドで取り上げるテーマは、試合で発揮するプレーの一部です。パス、ドリブル、トラップ、ヘディング……。多くの場合、反復練習は相手を置かない形で行われています。試合に近い状況ではなく、ゲームリアリティがないのが、アナリティックメソッドの特徴です。
 
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※アナリティックメソッド
 
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※グローバルメソッド
 
 

■サッカーは相手がいるスポーツ

このようなトレーニングは多くの国で、長い間行われています。我々は決して、アナリティックメソッドが悪いと言っているわけではありません。このスタイルにもいい部分はあります。しかし、我々は別のメソッド、グローバルメソッドを信じています。サッカーが進化していくのと共に、トレーニングも進化していきます。我々は試合と同じような、ゲームリアリティのあるトレーニングのほうが、サッカーのレベルアップにつながると考えています。
 
重要なのは、「試合の中で起こる現象をトレーニングで学ぶこと」です。サッカーの試合は、1つのボールを使って行われます。ゆえに、グローバルメソッドでは必ずボールを使ってトレーニングをします。フィジカルトレーニングであっても、スピードや持久力を鍛える目的であっても、必ずボールを使います。そしてボールと共に、チームメイト(味方)がいる形で行います。
 
アナリティックメソッドで子どもたちがパスのトレーニングをするとき、多くの場合が2人で向かい合って行います。しかし実際の試合で、周りに味方が1人ということはほとんどありません。11人制では10人の仲間がいますし、8人制では7人の味方がいます。また、アナリティックメソッドの場合、止まった状態でトレーニングすることが多いです。しかしサッカーの試合中、選手が止まっている場面はありません。ボールを持っていない時こそ、動かなければいけないのがサッカーです。
 
グローバルメソッドのトレーニングは、ボールと複数の仲間、複数の相手が必要になります。なぜなら、実際の試合には複数の相手がいるからです。私はこれまで、多くの高いテクニックを持った選手に出会いました。しかし、彼らが必ずしもサッカーが上手だとは限りませんでした。ボール扱いがうまいことと、サッカーをプレーすることを知っていることは、イコールではないのです。サッカーは相手がいるスポーツ。持っている技術を、相手や味方など複数の人間がいる中で効果的に発揮できる選手こそが、いい選手なのです。そのために最適なのが、グローバルメソッドのトレーニングだと、我々は信じています。
 
次回は、これら2つのトレーニングメソッドの長所と短所をお伝えします。
 
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ジョアン・ビラ・ボスチ//
Joan Vila Bosch
FCバルセロナでクライフと共にプレーし、引退後はバルサの下部組織で14年間監督を務めた。現在はバルサのメソッド部門ディレクターとして、下部組織におけるトレーニングの進化・改善、コーチの指導を担う。監督時代はシャビ、プジョルなど現在のバルサの中心選手を育てた。
 
 
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取材・文/鈴木智之、写真/小川博久、イラスト/MIHOKO、取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan 

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