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「仙台だより」はこれまで震災後の様々な少年サッカーチームの様子について伝えてきました。今年最後となる第9回は、ベガルタ仙台、塩釜FC、コバルトーレ女川という宮城県のサッカークラブのトップが一同に会したシンポジウムの模様をお伝えします。震災後の各クラブの様々な取り組みが話された中、未来に向けた壮大な夢も語り合われました。宮城のサッカークラブが子どもたちにできることは何なのでしょうか。
■石巻の人工芝グラウンドを活用し継続的な支援を行うコバルトーレ女川
今回のシンポジウムは東北大学で行われた日本体育学会東北支部のパネルディスカッションとして行われ、「大震災と地域スポーツクラブ」と題し、中島信博東北大学大学院教育学研究科教授(写真:左端)がコーディネーターとなり、パネラーとして白幡洋一ベガルタ仙台代表取締役社長(写真:右端)、小幡忠義塩釜FC理事長・宮城県サッカー協会会長・東北サッカー協会会長(写真:右から2人目)、近江弘一コバルトーレ女川取締役社長・石巻日日新聞社長(写真:左から2人目)という宮城県のサッカークラブトップが一同に会し、震災後の各サッカークラブのこれまで、そしてこれからの取り組みについて語り合われました。
↑シンポジウムの様子
どのクラブのトップも真剣に考えていたのは、子どもたちへの支援。宮城のサッカークラブが子どもたちにできることは何なのか、どのトップからも熱いお話を伺うことができました。
東北社会人リーグ2部で、今シーズンはトップチームの活動を休止したコバルトーレ女川の近江社長は、「石巻にある施設(人工芝グラウンドなど)で、自分たちのスクールの子どもたちだけでなく、他のチームも支援していきたい」と語り、石巻の人工芝グラウンドを有効活用した支援の取り組みを説明しました。
すぐ近くまで仮設住宅が建ち、砂ぼこりが立つなどの問題が出たため、夏に人工芝化したグラウンドを多くのチームに使ってもらえるように、マイクロバスで女川や南三陸、気仙沼の子どもたちをこのグラウンドに招待し、思い切りサッカーを楽しんでもらう試みを行っています。今回、支援金でマイクロバスを増やせたことで、「これをフル活用して招待を行っていきたい」とさらに招待の機会を増やしていきたいそうです。
また、人工芝グラウンドに加えて塾・教育施設を持っており、「コーチ陣には教員免許を持っている者もいる。子どもたちが集まる時間を統一して効率的なシステムを作りたい」とスクールに集まるサッカー少年の学習支援も行っています。
その他東松島、女川、南三陸、気仙沼でのスタッフ・選手によるボランティア活動やスポーツ指導、女川の小学校におけるバスでの集団移動の空き時間を使ったサッカー教室といった試みも紹介されました。近江社長からベガルタ仙台白幡社長へのお願いとして「ベガルタの看板の下で我々の指導者を使って、サッカースクールを高頻度でやらせてもらえないか」という話があり、白幡社長も前向きな姿勢を見せていました。各クラブが連係して、被災地で高頻度のサッカースクールが実現できれば、大変素晴らしいことです。
「女川町はほぼ壊滅した中で、希望の持てるものを作らねばならない。今後陸上競技場で復興記念試合を行うが、町民の皆さんよりも半歩でも先に進むため、いち早くスポーツ施設を作ってもらえればと思っている」と語る近江社長。大きな被害を受けた町のクラブが、町民そして子どもたちに夢を与えられるようになることを期待したいです。
↑コバルトーレ女川は夏に人工芝化されたグラウンドに被災地の子どもたちを招待するなどの支援を行っている。
■クラブへの支援金を有効活用、ホームタウン活動を精力的に行うベガルタ仙台
J1リーグベガルタ仙台白幡洋一社長は、トップチームの活動再開日となった3月28日に、チームスタッフ・選手全員で石巻市の慰問、ボランティア活動を行うようチームに依頼。「選手達は言葉がなかった。そこで思いが変わり、『負けない気持ち』を被災地からもらった」と白幡社長が語る通り、負けない気持ちを持ったトップチームはJ1リーグで4位と大躍進。こうしたトップチームの活躍も、被災地の子どもたちに大きな勇気を与えたことでしょう。
ベガルタ仙台は3月11日以降、ホームタウン活動を津波被災地に的を絞って行い、サッカースクールや慰問などを行ってきたことや、宮城・仙台ドリームプロジェクトと題し、14市町の子どもたちをベガルタ仙台のホームゲームへの招待、また「発表の場を失った子どもたちに合唱・演奏を試合前にやってもらった」ということで、コンクールの出場が震災で叶わなくなった仙台市立八軒中学校の吹奏楽・合唱部を招待し、試合前に演奏をしてもらった試みについて語りました。
ベガルタ仙台には多くの人・団体からクラブに対し多くの支援金が届いたそうです。ベガルタ仙台のファンクラブ組織であるソシオクラブは、年間の公式戦が2試合少なくなったため、年間チケット代金の2試合分を払い戻しするか、クラブへの支援金にしてもらうか、クラブ会員に選んでもらう形にしたところ、会員の半分がクラブ支援金としたそうです。白幡社長はこうして集まった支援金を有効活用したいという意向を示しました。
「地域の祭りや町おこし、被災地支援をしたい団体への支援などをしていきたい。遠征をしようにもお金がないといった少年サッカーチームへの支援もしていきたい」と、様々な用途の中で、子どもたちの支援にもクラブ支援金を活用していきたい意向を明らかにしました。
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取材・文・写真/小林健志
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