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東北の元気を届ける『仙台だより』

悲しみを乗り越えて~仲間2人を失った宮城「わたりSSS」(1/2)

2011年11月20日

キーワード:仙台だより応援プロジェクト

 「仙台だより」第8回は、宮城県沿岸部の中でも南に位置する亘理町で40年の伝統を誇る「わたりサッカースポーツ少年団(以下わたりSSS)」を取り上げます。わたりSSSはグラウンドや物資の面での被害はありませんでしたが、選手2人の命が津波によって奪われました。
 
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↑新人大会宮城県大会を戦った「わたりSSS」の5年生チーム

 

■兄弟2人が津波の被害に

 宮城県亘理町は広大な田畑が広がり、農業が盛んな宮城県南部の海沿いの町です。今回の大震災で、この町も大きな被害を受け、名産のいちご畑や、田んぼ、そして荒浜・鳥の海地区の集落が津波の被害を受けました。
 
 この亘理町で40年の長きにわたり活動を続けてきた少年サッカーチームがわたりSSSです。監督の薄木俊一さんは、創立50周年の亘理中学校サッカー部やU-12年代の宮城県選抜も含め、42年間にわたり指導を続けてきました。薄木さんの先輩にはJ1川崎フロンターレの武田信平社長、そして薄木さんの教え子にはJ1大宮アルディージャの鈴木淳監督がいます。Jリーグの関係者ともゆかりの深い伝統あるチームです。また、全日本少年サッカー大会決勝大会にも4回出場(ベガルタ仙台ジュニアの5回に次ぐ)する宮城県の強豪です。
 
 チーム自体は昨年6月に天然芝化された亘理町中央児童センター前の夜間照明付きグラウンドを練習場としており、この練習場や用具を入れた倉庫は津波被害を受けませんでした。震災直後は練習はできませんでしたが、4月末から練習を再開したそうです。
 
 物的被害は無かったわたりSSSでしたが、大切な命が失われてしまいました。選手2人、震災当時1年生と5年生だった兄弟を失いました。この2人は亘理町立高屋小学校に通っていました。震災直後家族の迎えがあった子どもたちは親戚とともに帰ったのですが、そこで津波の被害に遭ってしまったのです。
 
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↑昨年6月から天然芝のグラウンドで練習を行っており、グラウンドや物資の被害は無かった

 

■同級生の死を悼み団結した全日本少年サッカー大会

 「辛いことでした。子どもたちも仲間を失うことは初めてでしょうから」と語る薄木さん。「元々地震でビックリしていますし、避難所生活をしている子や津波の被害を受けた地域の子もいました。停電もあり、子どもたちが生まれて初めてのことが起こりました」練習再開後も子どもたちの受けたショックは相当大きかったようです。
 
 そして迎えた6月の全日本少年サッカー大会宮城県大会。本当なら亡くなった兄弟のうち兄は6年生で参加するはずでした。薄木さんは「亡くなった子2人のユニフォームを私の隣に置いて、試合前選手たちは『頑張るぞ!』とそのユニフォームを握ってから、試合に臨ませました」と語り、亡くなった2人の分まで頑張ろう、とチームは団結しました。
 
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 ↑40年以上亘理町の子どもたちにサッカーの楽しさを伝えている薄木俊一さんは厳しさと温かさを持ち合わせている
 
 わたりSSSの6年生は元々高い技術を持った子が多く「(優勝した)ベガルタ仙台ジュニアにも一矢報いるだけの力はあると思いました」と薄木さんは上位進出に自信を持っていました。そして、仲間の死を悼み団結した子どもたちは、この大会で快進撃を見せました。3回戦では宮城県の強豪アバンツァーレ仙台に勝利し、準々決勝では結果的に宮城県大会で準優勝となったACジュニオールをPK戦まで追いつめました。しかしPK戦で敗れ、惜しくも準決勝進出はなりませんでした。「自分たちの力を出し切れませんでした。前年の新人大会で準優勝だったアバンツァーレに勝ったので選手たちは安心してしまったかもしれません」と薄木さんは大会を振り返ります。
 
 それでも宮城県ベスト8という結果を残したわたりSSSの6年生チームは仲間を失った悲しみをパワーに変え、素晴らしい戦いを見せました。
 
 取材を行った11月には新人大会が行われ、仙南ブロックを勝ち上がった5年生チームが宮城県大会に出場しました。残念ながら県大会は予選リーグでの敗退となりましたが、子どもたちは懸命なプレーを見せていました。この日も選手達のユニフォームには喪章がありました。5年生チームも仲間を思う気持ちは同じです。
 
このあと全日本少年サッカー大会で頑張りを見せたチームに嬉しい知らせが。
 
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取材・文・写真/小林健志

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