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汗の分だけ、成長できる

負けず嫌いがサッカー選手のベースになる

2015年3月12日

キーワード:少年サッカー山口素弘

中学時代は指導者不在ながら3年生のときに県大会で優勝。当時から自分たちでメニューを考えたり、試合に出場するメンバーを決めたりしながら、日々サッカーに励んでいたという元日本代表、現在はプロのサッカーの指導者や解説者として活躍する山口素弘さん。インタビューの後編は、子どもの頃にどんな思いでサッカーに向き合ってきたのか、というテーマでお話を伺いました。(取材・文/杜乃伍真 写真/平間 喬)
 
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<<自分たちで考えて練習した小学生時代
 

■成長するためにどれだけ失敗できるか

――山口さんのようにクレバーな選手になるためには、子どものころにどんなことを意識しながらサッカーに励めばいいのでしょうか。
 
「僕は子どものころは色々なことを考えながらサッカーをやっていました。というのも、中学時代に至っては教えてくれる指導者がいなかったので、自分たちで考えないといけない環境だったからです。それと身体能力が高いわけではなかったので、そのぶん頭で考えてプレーしないと身体能力の高い相手を上回ることができなかったんです」
 
――そうすると身体能力が高くない子どもでも、自分の頭で考えてプレーするようにすれば道は開けるということでしょうか。
 
「そう思いますね。サッカーには様々な要素が必要で、身体能力だけに頼っていては将来高いレベルでは通用しない選手になってしまいます。頭で考えながらプレーを判断していくという要素もとても重要になります」
 
――すると子どものうちから自分で物事を考える癖のようなものを身につける必要がありそうですね。
 
「もちろん常に頭をフル回転させて考えるのは子どもにとって難しい作業かもしれません。ただ、一つのプレーに対して、後になってなぜそういうプレーをしたのか、と振り返って考えることはできると思います。ところが、現状の少年サッカー界はそうはなっていません。僕も小学生年代を指導したことがあるのですが、こちらからプレーの意図を聞いてもなかなか口に出して言わない子どもが多いんです。それは本当に考えていないのかもしれないし、口に出して言うのを恥ずかしがっているのかもしれない。でも、自分自身で判断してプレーするのが大事なのであって、その判断の結果がたとえ失敗だったとしてもいいんです。そもそも、それは失敗とはいえないと僕は思っているんです。自分で何かを判断したからには、良い結果も、悪い結果も、いずれも起こりうること。判断に明確な正解はないし、子どもが勇気を振り絞って出した判断を指導者も尊重しないといけない。子どものうちに何回失敗できたかで、その後の成長の度合いは変わると思います」
 
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■もっと負けず嫌いな子どもがたくさん出てきてほしい

――タイムリーな話題でいえば、アジア杯での日本代表が、ゴールを決めるという局面での物足りなさを指摘される結果となりました。日本サッカーの将来を担うことになるU12世代の子どもたちに何かメッセージはありますか?
 
「これは的が外れている答えかもしれませんが、単純にいえば、もっと負けず嫌いな子どもが多くなってほしいと感じます。僕にも小学5年生の息子がいるのでジュニア年代の現場を覗く機会もあるのですが、あらゆるU12世代の子どもの試合において、勝ち負けに対するこだわりを強く感じないし、シュートを外しても淡々としている印象があります。負けず嫌いはサッカーにおいてすべての基本になると思います。上のカテゴリーに進んでも必ず必要になるのは、やはり、結果にこだわる気持ちです。
 
いまのサッカー界は戦術的な側面が多く語られるのですが、世界のサッカーの潮流として、サッカーの基本に戻って、基本が改めて強調される時代になってきた印象を受けます。サッカーには勝ち負けがあり、勝つためにはゴールを奪わないといけない。ゴールを奪うためには攻めないといけない。攻めるためには相手からボールを奪わないといけない。相手がボールを持っていればゴールを守らなければいけない。すごくシンプルなことのなかに、一つのボールを奪い合うという激しい攻防があるのですが、子どもたちのなかには、たとえボールを奪われてもあっけらかんとしているようなシーンが少なくないんです。そういう場面で子どもが悔しいと思えるかどうか。負けず嫌いを発揮できるかどうか。そういうものがサッカーを戦ううえでの根底にあるのか、それともないのか、その部分の有無で将来に大きな差が出てくるのだと思います」
 
――子どもの内面から負けず嫌いが出てくることと、指導者が子どもの内側から引き出すことと、そのどちらも重要になりそうですね。
 
「そうですね。上のカテゴリーを含めて、サッカーのベースになる部分だと思います。最近は海外へ渡る日本人選手も多くなってきたので、最後のゴールに対するこだわりが出てきています。今後はより単純に、“勝つこと”に対するこだわりに、より重きを置くようになるといいと思います。もちろん、勝つために何をしてもいい、ということではありません。勝負に対するこだわり、勝ったらうれしい、負けたら悔しい、その喜怒哀楽のすべてを自由に表現していいのがサッカーです。僕の息子は試合でゴールを決められなかったり、練習でゲームをせずに終わってしまったときは、肩を落として不機嫌な顔をして帰ってくるんです(笑)。ああ、昔の自分もこんな感じだったなあと思います。負けず嫌いだからこそ、相手に負けたくないから必死になって、感情をさらけ出して練習ができるんです」
 
――練習や試合では感情をすべてを出して、ピッチ外に出たら仲間とふざけ合う。
 
「そうです。練習中はバチバチやって、終わったらいつもの仲間同士の関係に戻る。そういうメリハリのある、古い時代にはあったサッカーの雰囲気が、いまの時代に見直されて戻ってくるといいと思います」
 

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取材・文/杜乃伍真 写真/平間 喬

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