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プレイヤーズファースト実践【後編】 考える力を伸ばす5つの自由

公開:2013年11月13日 更新:2013年11月26日

キーワード:指導育成

 子どもたちを選手として尊重し、大人はあくまでもサポートに徹する「プレイヤーズファースト」について考える連載は、昨日に引き続き「5つの自由」についてご紹介します。
 
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 子どもたちの成長に必要なのは、周囲の大人からの暖かいサポートと、信頼から生まれる「自由」です。まずは、前回挙げた5つの自由を改めて振り返りましょう。
 
  1. 夢を持つ自由
  2. 子どもでいる自由
  3. 自分で決める自由
  4. 才能を伸ばす自由
  5. 失敗する自由
 
 前回は2つの自由をご紹介しました。今日は3番目の「自分で決める自由」から。サッカーは自分で考え、自分で判断し、決断するスポーツでもあります。子どもたちが自発的に考える環境を作るにはどうしたらいいでしょう?
 
 

■決めるのは子ども 判断を奪う大人の過剰な思い

 子どもは親の「モノ」ではありません。サッカーが好きで、できれば自分の子どもにはサッカーをやってほしいと願っていた親御さんもいるでしょう。かつてかなわなかった自分の夢を、我が子に託したいというお父さんもいるかもしれません。こうした思いを子どもたちにつないでいくことは必ずしも悪いことではありませんが、子どもはあくまでも一人の独立した人格です。
 
 押し付けや「自分の身代わり」にするような行為は、子どもにとっての「その他の可能性」を奪ってしまう大きな危険をはらんでいます。親の言いなりはサッカーにとってもその先の人生にとってもいいことがひとつもありません。「いい子」の定義を間違えてはいけません。すべての子どもには「自分で物事を決める自由」があります。
 
 

■個性や能力を探求し、才能を伸ばす自由

「親だったら誰だって子どもの才能を伸ばしてあげたいと願っている」
 そんなこと当たり前! と思うかもしれません。しかし、我が子の才能はあなたの思い描く才能の枠に収まらないものかもしれません。
 
「〇〇君はドリブルがうまい」「〇〇君はリフティングが100回できるんだって」ライバル心は競技力の向上に時として重要ですが、親から「他人と比べられる」のは子どもにとって何よりつらいことです。何にでも“平均”や“人並み“を求めるのが世の中の流れですが、サッカーではこうした平均に左右されない評価がプレーの“違い”を生みます。
 
 すべての子どもたちには個性や能力を探求し、自分の「才能を伸ばす自由」があります。他人と比べること、画一的な物の見方で選手を評価、指導することは、選手自らが才能を伸ばすチャンスを奪うことになるのです。
 
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■最も重要な「ミスをする自由」

「5つ目の自由」が、現在子どもたちがプレーするサッカーのピッチで最も求められている自由かもしれません。サッカーは人間が進化の過程で、二足歩行を手に入れ以来「道具を扱う部位」として使い慣れた“手”ではなく、比較的不器用に作られている“足”を使ってプレーする競技です。足で丸いボールを扱う不自由さ、DFやGKが守るゴールにボールを入れる困難さがサッカーの醍醐味のひとつでもあります。どんなに優れたチーム、たとえば歴代の最高選手を各ポジションに並べたとしても、1試合を戦えば必ずミスは起きます。
 
 ましてや子どもたちは成長の課程でミスをしながら学んでいきます。周りの大人が作り出す「ミスを許さない環境」は子どもたちから創造性を奪い、チャレンジする心を奪います。ミスを恐れずに果敢に挑む姿勢を生むのは「ミスをする自由」のある環境です。
 
 指導や教育というと、子どもたちの自由を制限して、枠にはめていくことだという誤解がいまだに色濃く残っています。しかし、自尊心を持ってサッカーを楽しみ、自ら考えて行動する選手になるためには「自由」はなくてはならない要素です。もちろん「自由」と「放任」「無秩序」はまったく違います。「自由」には「責任」が伴うこと、チャレンジにはリスクがあること、真の自由は身勝手とは対極にあることを身を持って教えてくれるのがサッカーというスポーツです。
 
 二度の日本代表監督を務めた岡田武史さんは、サッカーをプレーすることの意味について次のような言葉を残しています。
「たとえ試合に出られなくても、彼がサッカーと繋がる方法はいっぱいある。そうして仲間にもまれながら成長していけば、強くしっかりとした人間が育つでしょう」
 
 子どもたちが夢を持ち続け、子どもらしいひたむきさでサッカーに向き合い、自分で考えて自分で決断し、自らの個性や才能を伸ばし、失敗を恐れずにチャレンジし続ける限り、どんな努力もすべて人生の糧となるはずです。
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/新井賢一(ダノンネーションズ2013より)

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