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子どものサッカー 父親の役割

サッカー経験があってもなくても、お父さんが抱えるそれぞれの悩み

2013年9月19日

キーワード:サポート悩み指導

「お父さんの役割」をテーマに、サッカーと子ども、お父さんの関係を考える連載の2回目は、多くのお父さんがサッカー経験の有無にかかわらず期待される、プレーに関わることについて考えます。
 
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■子どもがサッカーはじめる そんなときあなたは?

「サッカーやってみたい」
 
 サッカー経験者のお父さんなら思わず頬が緩んでしまいそうなこの一言。無理強いはしたくないけど、やっぱり自分がやっていたサッカーをやりたいと言ってくれるのはうれしいものです。
 
 サッカー経験のないお父さんにとっては、戸惑いの日々のはじまりでもあります。サッカーはテレビで観たことはあるし、授業や休み時間に学校でやったことはあるけど、よく考えたら正しいボールの蹴り方も知らない……。わが子をトップアスリートにするつもりはなくても、本人が「うまくなりたい」と言うのならそれに協力してあげたいと思うのが親心。必死でサッカーを勉強して、子どもと一緒にサッカーに目覚めたというお父さんも少なくないようです。
 
 「トップアスリートの親」というと、その競技の経験者で、しかも元有名選手という印象があるかもしれません。子どもはいわゆる“サラブレッド”です。しかし、実際はその競技をやったことすらない、ほとんど口出ししない親というのも多いのです。トップアスリートの子どもが続けて同じ競技をやるのは、やはり父親がやっていたからという理由が多いのですが、これは肉体的な遺伝要素よりも環境的な要素が大きいことが広く知られるようになっています。
 
 自分にサッカー経験がなくても、子どもがやりたいというのならサポートする。当たり前のことですが、このスタンスで自分も子どもとボールを蹴ってみる。蹴りながらサッカーを一緒に楽しむ。プレーするのはあくまで子どもですから「サッカー未経験だから・・・」と引け目に感じる必要はありません。
 
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■サッカー経験者のお父さんが陥りがちな保護者間の温度差

 一方でサッカー経験者のお父さんは、経験者なりのお悩みがあるようです。専門のコーチがいるチームと、保護者が主体になってサッカー指導まで行っているチーム。チーム事情によって状況が大きく変わりますが、今回は一般的には少年団とくくられることの多い、お父さんコーチが多いチームのケースに絞ったお話です。
 
 「こちらからもうひとついいですか」
 保護者のお悩みを電話取材していた時のことです。自身も大学まで熱心にサッカーをやっていたというあるお父さんが取材の終盤「質問項目にはありませんが」と断った上で、いま一番悩んでいることを話してくれました。
 
 「練習をぬるく感じてしまうんです」
それなりにサッカーをやってきたから、なおさらそう感じるのかもしれません。チームの練習、指導に歯がゆい思いを抱いているとのこと。
 
 「みんなで楽しくというのはとてもいいことなのですが、一部のうまくなりたい! というモチベーションを持っている子どもたちは、明らかに次のステップに進みたがっているんです。でもチームでは相変わらずレクリエーションの延長のようなことしかやらないんですよね」
 
 大勢の選手を指導する場合、上ばかり、下ばかりを見てやっていては、どちらにとってもいいことはありません。チームはお父さんコーチ主体なので、このお父さんもコーチ陣の一員。指導の難しさもわかった上でのお悩みです。それも仕方ないことなのかもしれないなあと思った時、お父さんが思いがけないことを言いました。
 
 「私も含めてこのままでいいのかなぁと思うんですよ。上のレベルの子に教えてあげられることもない。かと言ってまだボール扱いもままならない子たちを上達させてあげられるノウハウがあるわけでもない。『楽しくやろう』という言葉に隠れて、大人が楽な方に流されているんじゃないかって」
 
 電話から伝わる声は、それまでとは違う熱を帯びてきます。
 
 「自分だけではどうにもなりませんが、他のお父さんにもっと勉強しましょうとも言えません」
 
 確かに「子どもたちのために」と、善意で指導している人たちに、もっと指導法を勉強してくださいとはなかなか言えません。それならばもっとレベルの高い、指導方針に共感できるチームに移ればいいとの考え方もあるでしょう。
 
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 しかし、これまでの取材の中で「ああ、このチームいいなぁ、素晴らしいなぁ」と感じたのは、プレーレベルにかかわらず、子どもたちが楽しそうにサッカーをプレーするチームでした。「楽しければいい」でもなく「強ければいい」でもない。それはクラブでも少年団でも同様で、どちらの環境でも素晴らしいチームはいくつもありました。
 
 そのことを伝えると、そのお父さんはホッとしたような声でこう言いました。
 
「できることをやるしかないんですね。最近悩んでいたんですが、少し前向きに、周りに相談してみようと思います」
 
 とりあえず近くのチームを探して入ってみるというパターンが多い小学生年代は、特にこう言ったミスマッチが起きやすい年代でもあります。サカイクではクラブ選びの大切さを何度も特集していますが、実際問題として豊富な選択肢が用意されている訳ではないのがつらいところです。すべての子どもたちが自分に合ったチームでプレーできるようになるのが理想ですが、このお父さんのように、一人で悩んでいる人は意外に多いのが実情です。取材ではうまく行っているケースを取り上げることが多いのですが、こう言ったお悩みの中にこそ、みなさんのヒントになるエッセンスが隠されているのかもしれません。
 
 サカイクでは今後も、リアルな現場の声を紹介し、みんなで一緒に考えていく場を設けたいと思っています。
 
 次回は、お父さん審判について。実際に子どもの試合で笛を吹く、あるお父さんにお話をお聞きします。
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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取材・文/大塚一樹 写真/新井賢一(第37回全日本少年サッカー大会決勝大会より)

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