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大西貴の親子でサッカーを楽しもう!

セレクション、受験、試合...。失敗した時のメンタルコントロール(2/2)

2011年11月 2日

キーワード:コーチングセレクションメンタル悩み進路

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■厳しさの中にヒントを。子どもに「コーチング」できる親になろう!

――スポーツだけでなく、日常生活、今で言えばお笑いの中にもサッカーの成長につながるヒントはありますよね?
 
大西「確かに漫才コンビのボケと突っ込みも駆け引きですからね。ですから、セレクションなどにおける失敗、うまくいかなかったことをネガティブに捉えるのではなく、できるだけポジティブに捉えることが改めて大事になるわけです。ただ、ここで注意してほしいのはポジティブに捉える中でも今の自分に足りないものをしっかり見つめなおすこと。そこは見失わないようにしてほしいです。
 
それと日本人はなかなか本音を言いづらい国民性がありますが、このように失敗したときこそ厳しいことを言える大人の存在がもしかしたら必要かもしれない。大人になれば、厳しいことを言ってくれる仲間の存在は絶対に必要ですからね」
 
――でも、大人になれば失敗したら厳しいことを言う前に切り捨てられる可能性もあります。子どもだからこそ、失敗しても「厳しいことを言われる」までですむわけであって。
 
大西「確かに、子どものうちに色々なことに慣れることは必要ですよね。ただ、お父さん、お母さんが厳しいことを言う際に気を付けるべき点は『リスペクトさせる』のではなく、『リスペクトする』状況を作ることです」
 
――「リスペクトすべき関係」ではありますけど、「リスペクトさせる関係」ではいけないということですね。
 
大西「インプットとアウトプットの話と一緒です。アウトプット(話す)側は自分の経験談とかを話すときも自分の全てを伝えるわけではなく、その一部を言葉や文章にするわけですよね?その際にそれをインプット、すなわち受け取る側がどう感じるか、どう理解しているかまで考えて、それが伝われば成功なんじゃないでしょうか。
 
サッカーも厳しいことだけなら誰でも言えるんです。けれども、失敗して厳しいことを言っても『どうすればよかったのか?次にどうすべきなのか?』について子どもたちが責任を感じつつ、前に向かって考えられる要素を入れておくことが大事。そうすれば厳しいことも子どもたちの中に入っていくんじゃないかと思いますね」
 
――要は「子どもたちが自分で答えを導き出す仕掛けを入れておく」ということですね?
 
大西「そうです。それがサッカーでいうところのコーチング方法ですし、もっと言えば伝えた後には確認をすることも必要。それは普段の子どもたちとのコミュニケーションや子どもたちの言った後の態度や対応を見て確認した方がいいですね」
 
 

■子育てもサッカー指導も同じ!日々の生活から成功の種を蒔こう!

――それともう1つ大きな問題についてうかがいたいのですが。最近では子どもの失敗に対して、親御さんたちの方が子どもより落ち込んでしまうことも結構ありますよね?
 
大西「そこはその物事に対して本当に失敗なのか、それとも最終的な成功への過程として捉えられるかの親のメンタリティにかかってきますね。中学入試や高校入試でもあることなんですけど『不合格になってよかった。その学校やチームに行かなかったことによって違う人との新しい出会いが迎えられる』と思えばいいんです」
 
――確かに。これは競技を問わず選手の皆さんにインタビューする中で思うことなんですが、成功過程には必ず大きな『人との出会い』がありますよね。
 
大西「一番いい例でいえば長友佑都(インテル・ミラノDF・日本代表)です。彼は中学進学時に愛媛FCのジュニアユースのセレクションに落ちています。うまくいかなかった。でも、セレクションに落ちてメンタル的にも厳しかったときに西条北中で井上博先生(現:新居浜北中サッカー部監督)に出会って、引っ張り上げてもらったわけです。
 
ですから彼は井上先生のことをリスペクトしているし、事あるごとに中学時代の話をする。このように出会いというものは、うまくいかなかったことによって生まれるものなのかもしれない。子どもたちは未来がまだあるからこそ、そう捉えるべきだし、お父さん、お母さんもそのように捉えていくべきだと思います。
 
セレクションで合格する。大会に勝つなどということは目標に到達する1つの方法論というだけであって、合格しない、試合に負けることで全てが終わるわけではないんです。
だからこそ1つの失敗で親がぶれてはダメなんです。色々な方から情報をもらうことは決して悪いことではないんですが、その情報の中でも子どもたちのスタイル、家庭のスタイルによって合うもの、合わないものがたくさんあるわけです。その中で「自分はこうなりたい」というものを選ぶことが大事です。
 
僕ら指導者も色々なトレーニングの方法を日々学んでいますが、その中で全ての選手がいっぺんにうまくなる方法などないんですよ。Aという選手にあてはまる練習方法、Bという選手にあてはまる練習方法があってもCという選手にはあてはまらない場合があるんです」
 
――当然選手によって、体格や技術の度合いも違いますからね。
 
大西「ですから指導者の側も色んなことが違う中、そこを統括して一番うまくいくための手段、方法を選んでいなければいけませんし、それができる知識や技術を持っていないといけないんです。もちろんトレーニング法を選ぶ中では選手たちとのコミュニケーションもとっていかなければいけない。そして理想的なチームや個人の姿を描く中で、落とし込んで考えると毎日の練習でも色々な失敗や成功が見えてくるんです。
 
これは親御さんの子育てにも全て通じる部分だと思います。『こんなことを話したらよくなった。逆にこんな接し方をしたら悪くなった』という感じですよね。ですから、子どもが試合に負けたことで得るものは絶対ありますし、そこを10分の0にするのか、10にするのかは親の教育次第です」
 
――ひょっとしたら、負けを10分の15にもできるかもしれない。
 
大西「その通りです。要は結果に対して子どもが、そして親御さんがどう受け止めるか。その受け止め方によって変わってくるとは思いますよね。
 
僕は今高校サッカーを指導している時、そしてかつて愛媛FCユースを指導していた時にも選手たちに言うことがあるんです。
それは『俺がお前らを指導することができるのは3年間だけ。一生お前らの監督というわけではない。だからこそ次につながることをお前らはやらなくてはいけないし、大切なのはお前らが目標をもってやることだよ。その上で達成できなければその理由もはっきりするし、それは俺のせいかもしれないし、お前らのせいかもしれない。でもそれを受け止めることはしなくてはいけないよ』ということです」
 
――その最初の部分を親御さんの立場で考えると「親が子どもたちを育てられるのは自立するまでの期間」というところになりますよね。
 
大西「ずっと親は親なんですが、その反面ずっと親が子どもの面倒を見れるわけではない。子どもはいつか社会人になり、大人になり、自分で家庭を持ち、生活をしていく。そのときに必要なことを今。どのような形で教えていけるか。だと思いますよ」
 
――ここ、だんだん人生論的なコーナーになってきましたね(笑)。
 
大西「でも、そうなんですよ。今、高校サッカーの都道府県大会が各地で開催されていますよね?マスコミ上では結果が重要視されがちですが、実は大事なのはその過程。サッカー選手だけでなく、人間として色々なことを感じさせて、学んで次のステージに進んでいく教育をしていくことが親も指導者も必要だと思いますね」
 
 

【大西貴の「サッカーお悩み相談室」】

Q.同じクラブに所属する息子の同級生は、クラブの練習がない日も家に帰って毎日練習しているそうです。うまくなるために、ウチの子もそうさせるべきでしょうか?
 
大西「これは息子さんが今、どんな状況にあるかわかりませんし、物事の考え方、志の問題にかかる部分もあるんですけど・・・。ただ1つ言えるのは練習すればよくなるということではない。休むことも大切な要素だと思います。実際は練習すればよくなると思っている方はたくさんいますし、休む勇気がない選手や休ませる勇気がない指導者は多いんですけどね。例えば同じ2時間の練習でも質を高めて練習する2時間と、ダラダラやる2時間では全く違いますから。
 
この子について言えば、恐らく彼は練習したいと思えば練習するでしょうし、練習したくなければ練習しないと思います。そこで練習したいと思っていないのに練習させても、それは練習ではなく単に体をいじめているだけです。だったらゆっくり家で休んだ方がクラブでのトレーニングに集中できます。もしかしたら、息子さんは目標をもって体を休めているのかもしれませんし。
 
本文中にも言いましたけど、誰かと比較するのではなく、その子の特性、個性を考えた対応が必要ですね。この文章を見ると家に帰って練習をした子が試合に出るようになったら、息子さんも『家で練習した方がいいかな』と思いはじめるんじゃないかと。親としてはそういった現象が起こった時点で目標を確認する働きかけることはあってもいいかもしれないですね。
 
要はそのコミュニケーションを受け止め、練習しなかった責任を息子さんが感じ『何でそうなったんだろう』と考えることができればいい。その後で練習するか、練習しないかは息子さんが決めればいいんです。ですから、今練習していないことは決して大きな遠回りではないと思いますよ」
 
 
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大西貴(おおにし・たかし)//
1971年愛媛県生まれ。南宇和高では主将として1989年度の第68回全国高校サッカー大会制覇。福岡大を経て1994年に広島へ加入(マンチェスター・ユナイテッドへの短期留学も経験)。主にDFとしてJ1・21試合に出場。98年、四国リーグ所属(当時)だった愛媛へ里帰りし、愛媛FCでサッカースクールコーチを務め、2001~03年には選手兼監督・04年には監督としてJFLでも采配を振るった。その後、愛媛FCユース監督を経て、現在は愛媛県立松山北高コーチと、スカパー!愛媛中継解説者。さらに今回の山口国体に出場する愛媛県成年選抜監督としても活躍中。日本サッカー協会公認A級ライセンス保持
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取材・文・写真/寺下 友徳

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