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大西貴の親子でサッカーを楽しもう!

セレクション、受験、試合...。失敗した時のメンタルコントロール(1/2)

2011年11月 1日

キーワード:コーチングセレクションメンタル悩み進路

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「ウチの息子が、娘が今度サッカーを始めました!……でも、サッカーってどんなところを見たらいいんでしょう?そして、どんなところが楽しいんでしょうか?」
 そんなホントは相談したいけど、いまさら人には言えない悩みをもっているお父さん、お母さんに応える「大西貴のサッカーを楽しもう!」。
 第6回のテーマは「失敗したときのメンタルコントロール」について。現在佳境に入っているジュニアユースのセレクションに落ちた。試合に負けた。ボールを奪われたetc、サッカーは失敗の連続。その失敗をどのように活かすかを大西さんが子どもたちばかりでなく、お父さん、お母さんに対しても噛み砕いて説明してくれました。もちろんいつもの「サッカーお悩み相談室」もありますよ! 
 

■失敗しても道はある!ポジティブに違うルートで夢に向かおう!

――今回のテーマは「失敗したときのメンタルコントロール」です。このテーマは子どもたちだけでなく、お父さん、お母さんといった保護者の皆さんも抱えている問題。たとえばこの時期であれば「ジュニアユースのセレクションに合格できなかったら、どうしたらいいんだろう」といった悩みもあると思いますが?
 
大西「もちろんジュニアユースを受験する前に『どんな目的をもって受験するのか』ということを定めておくことは大事です。ただ、そこで受験に失敗したとしても、冷静な分析がなされないと次に続いていきません。
 
同じ受験失敗でも、全く技術が足らなかったのか、最後の最後でダメだったのかで改善すべきことも違ってきます。セレクションというものはあくまでも選ぶ側がいて、選ばれる側があって成り立っているもの。選ぶ側が思っていること、求めている選手と、選ばれる側、つまり子どもたちが思っていることが最初から違えば、受験に失敗するのは当たり前ですよね」
 
――大西さんは現在、松山北高でコーチをされていますが、大学レベルでもそういうことはありますよね?
 
大西「そうですね。たとえば僕は大学サッカー部のセレクションに合格できなかった子にはこんな声をかけています。『もう終わったことは仕方がない。ただ、次に向かってどんな目標を設定することが大事だ』と。
 
これは僕がこのコラムを続けている中で何度も言っていることですけど、大事なのは『最終的にどうなりたいか』なんですよ。たとえば、山に登るときに登るルートは1つじゃないですよね?『セレクション』という関門を超えながら真っ直ぐ登る人もいるし、1つ目のセレクションは迂回して、次のセレクションに臨む人もいる」
 
――中には隣の山から伝って登る人もいますよね。
 
大西「そうです。個々で色々な登り方があっていいんです。ですから登り方の選択肢を与えてあげること。そこが親の務めになってきますよね。山の頂上にある目標は目指すにしても、その登り方は色々ある。『今回は3合目にあるセレクションは真っ直ぐ登れなかった。でも、そこは迂回することが必要だったんだ』と考えて子どもたちとコミュニケーションをとっていけばいいと思います。人間、常に成功する人はまずいないんですから」
 
――確かに、人生が100%成功することはまずないです。
 
大西「どんな人間でも何らかの形で回り道はしているはずです。サッカーに戻せば、でも彼らはプロのサッカー選手になっているんです。何でなれたかというと、失敗しても目標を見失わずに、どんな困難があっても乗り越えてきたから。『プロサッカー選手になる』というメンタリティを持って取り組んできた結果がそうなっているわけです。
 
1つの目標を持ってそこに向かって進んでいくことは素晴らしいことです。でも、そこへの道で一度失敗したからといって、それは大きなことではないんです。特に小学生であれば、まだ中学もある。高校もある。大学もある。たくさん自分を見てもらえる機会はあるんです。
ですから失敗に対してはポジティブに。『じゃあ、次のセレクションでがんばろう』とか、『今回はダメだったけど、サッカーを続けていきながら、高校やユースのセレクションでがんばろう』と思って前を向けばいい。それは親御さんも含めて。子どもの可能性を信じてあげることが必要だと思います」
 
 

■「ポジティブ思考」になるために他のスポーツ競技にもヒントはある!

――ここまで話をうかがうと、失敗した際には「どのようにポジティブになれるか」もその後の大きな要素になりますよね?
 
大西「そうです。ポジティブになれる『きっかけ』というものは色んなところにありますよね。ただ大切なのは、そのようなチャンスをつかむために必ず準備をしておくこと。チャンスがあったときに何もできない。何も気付かないのではいけないので」
 
――色々な人と出会ったときの「聴く姿勢」とかも大事になってきますか?
 
大西「ですね。話を聞くときに『ああ、こんな話興味ねえや』と思うこともあるかもしれない。でも、その中にひょっとしたら自分と重ね合わせる部分があるかもしれないし、物事の受け取り方で何かヒントがあるかもしれない。たとえば僕にしても、このコラムをするにあたって色々な方の文章を読んだり、意見を聞いたりしていますが、『そうだな』と思う考え方も数多くあるんです」
 
――なるほど、そうなんですね!
 
大西「僕の同年代である藤田俊哉選手(現:ジェフ千葉)のコラムも読みます。そうすると現役選手としての考え方も情報として入れることができます。僕も今は指導者をしていますけど、選手も指導者も最初から選手や指導者じゃなかったわけですから。毎日が勉強なんですよ。
 
1つ面白い話をすると、僕は高校でハンドボール部の先生と話をしたとき『サッカーと全く一緒だな』と思ったことがあるんです。たとえばゴール前の入り方。ハンドボールはゴール前では相手がブロックをしてくる外側でボールを回しながらシュートコースを探るんです。その際、味方が入っていくタイミングでできたスペースを次の選手が使っていくのはサッカーのゴール前での崩し方と一緒なんですよ」
 
――バスケットボールも同じですよね。「マンツーマンディフェンス」、「ゾーンディフェンス」の考え方も含めて。
 
大西「もっと言えばサッカーでいうゴール前でのポストプレーにおける体の使い方は、バスケットボールのゴール下における体の使い方を参考にすることができるんです。ポジション取りとか、スクリーン(相手ディフェンスの進路をさえぎる)動きはサッカーのトップにおけるポストプレーと同じイメージが必要とされます。このように、サッカー以外の色々なスポーツを見てもサッカーにつながることはあるんです」
 
――確かに「サッカーしかしない、サッカーのことしか考えない」ことは、小学生年代では特に危険なことですよね。
 
 大西「ですよね。この年代は色々なスポーツをすればいいですし、その中でサッカーに取り入れるべきことはたくさんあります。僕も小学生のころは野球や水泳、他にも色々なことをしました。その中で最終的に自分が選択したのはサッカーだったんです。
 
でも、野球における「投手の配球を読む」経験はサッカーの1対1のディフェンスにもいきていますし、「相手の守備位置を見て空いている方向へ打つ」経験はサッカーでのパス出しや崩しのイメージに活かされています。スポーツはどんな競技でも相手との駆け引きがありますから、一見すると全然結び付かないと思ってもサッカーとつながってくるとは思います」
 
――李忠成選手(サンフレッチェ広島FW・日本代表)は小学生時代、相撲をやっていたし。
 
大西「相撲であれば、股関節の柔らかさや1対1での闘争心、最後まであきらめない気持ちが養われると思います。物事には色々な見かたがある。サッカー以外の話から、こういう展開にもなる一方で、それを見て流してしまう人もいるわけです。ですからチャンスやヒントを自分で探したり、親と一緒に探したりすれば面白い展開にもなるかもしれないですよ」
 
 
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大西貴(おおにし・たかし)//
1971年愛媛県生まれ。南宇和高では主将として1989年度の第68回全国高校サッカー大会制覇。福岡大を経て1994年に広島へ加入(マンチェスター・ユナイテッドへの短期留学も経験)。主にDFとしてJ1・21試合に出場。98年、四国リーグ所属(当時)だった愛媛へ里帰りし、愛媛FCでサッカースクールコーチを務め、2001~03年には選手兼監督・04年には監督としてJFLでも采配を振るった。その後、愛媛FCユース監督を経て、現在は愛媛県立松山北高コーチと、スカパー!愛媛中継解説者。さらに今回の山口国体に出場する愛媛県成年選抜監督としても活躍中。日本サッカー協会公認A級ライセンス保持
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取材・文・写真/寺下 友徳

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