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中村憲剛の「KENGOアカデミー」

大事な試合で緊張しなくなる? 自分だけの「ルーティーン」を作ろう!

2016年2月 8日

キーワード:JリーグKENGOアカデミー中村憲剛川崎フロンターレ練習

日本屈指のゲームメーカー、中村憲剛選手が読者の質問に答える「KENGOアカデミー」。今回はラグビー日本代表の五郎丸選手をはじめ多くのトッププレーヤーが行っていると言われる「ルーティーン」について憲剛選手に話をしてもらいました。
 
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【読者の質問】
憲剛さんが試合前や試合中にやっている「ルーティーン」があれば教えて下さい。
(よっぴー14さん/16歳)
 
P1040223.JPG
 
【憲剛選手の回答】
質問ありがとう!
サッカーに限らずスポーツ選手の多くはルーティーンを持っていると言われます。
プロ選手の中でもルーティーンはやる人もいれば、やらない人もいます。どんなことをやるのかも、100人いれば100通り。
今回は僕が考える“ルーティーン論”を話していきたいと思います。
 

■ルーティーンは「お守り」のようなもの

みなさんはサッカーをしていて、こんな経験をしたことはありませんか?
 
・セレクションで実力をアピールできずに落ちてしまった。
・親が見に来た試合でいつものようなプレーができなかった。
・前の日はすごい調子が良かったのに、次の日は全然だめだった。
 
僕が考える良い選手というのは、「常に安定したプレーができる選手」です。そういう選手はチーム内でも中心的な役割を担えるし、監督からの信頼をつかむことができます。
 
逆に言えば、良いときはすごいプレーをするんだけど、ダメなときは別人のようになってしまう……いわゆる「波が大きい選手」というのは、チームメートや監督の信頼を得ることができません。
 
僕がルーティーンを意識的に取り入れるようになったのは、プロに入った後でした。プロ1年目のある試合で、2ゴールを決めたことがあったんですが、そのときに左足からピッチに入ったんです。それ以来、「ピッチに入るときは左足から」というのが、僕にとってのルーティーンになりました。
 
左足から入ったから良いプレーができるかといったら、そんなことはないと思います。良いプレーをするためには、日々の練習の積み重ねが何よりも大事です。
 
だけど、左足からピッチに入ることで心が落ち着くんです。それは2ゴールを決めたときの良いイメージが残っているからだと思います。反対に、右足からピッチに入ってしまうと、何だか気持ち悪くてソワソワする。間違えて右足から入ったときは、左足から入り直します(笑)。
 
自分の中で「ピッチに入るときは左足から」というのは、「お守り」のようなものです。そうすることで気持ちが落ち着いて、良いパフォーマンスを出せる気がしてくる。それが大事なんです。
 
みんなも、「今日は良いプレーができた」というときがあると思います。そういう試合でやったことを習慣にすると、ポジティブな気持ちで試合に入ることができるんじゃないかと思います。
 
 

■試合のある日の生活ルーティーン

僕のルーティーンはそれだけじゃありません。
 
試合がある日は、朝起きるところからルーティーンが始まります。キックオフが昼なのか夜なのかで、朝起きる時間も変えます。夜のゲームのときはお昼寝もするので、それも考えてゴハンを食べる時間やシャワーを浴びる時間など1日のスケジュールを組み立てます。
 
とはいえ、僕もプロ選手を長くやっているので、「あれをやろう」「これをやろう」というのをわざわざ考えるというよりは、パッパッパッとこなしていくようなイメージです。
 
家を出て、スタジアムに着いてからのルーティーンはこんな感じです。
 
1.チームバスで1時間40分前にスタジアムに着く
2.ロッカールームに入って着替える
3.チョコレートを食べる(2個)
4.トレーナーにストレッチをしてもらう(ストレッチ1回目)
5.パワープレートにのってストレッチ(ストレッチ2回目)
6.ガムを食べる
7.ピッチに出てウォーミングアップ
 
スタジアムに着いてからの過ごし方というのは本当に人それぞれです。よく見ていると、結構面白いですよ。
 
ずっと誰かと話している人もいれば、じーっと座って集中している人もいる。本を読んでいる人もいれば、ヘッドフォンで音楽を聴いている人もいます。僕はしませんが、ロッカールームに到着した後にシャワーを浴びに行く人はいます。
 
ルーティーンにはこれをやっておけばいいという“正解”はありません。日々決まった習慣や行動を行うことで、集中力を高めたり、コンディションを整えたりすることがルーティーンの目的です。
 
プロ選手のみんながみんな、ルーティーンにこだわっているわけではありません。全くこだわらない人もいます。その人にとっては「何もしない」ことが、ある種のルーティーンになっているのかもしれません。
 
P1030706.JPG
 

■五郎丸選手に見るルーティーンの重要性

ルーティーンという言葉が有名になったのは、五郎丸歩選手がキックを蹴る前にやる「五郎丸ポーズ」だと思います。
 
五郎丸選手もインタビューで語っていましたが、キックの成功率を高めるために、メンタルトレーナーと一緒にボールを蹴るまでの一つ一つの行動を作り上げていったそうです。五郎丸選手ほどではありませんが、僕自身もフリーキックを蹴るときは、ボールをセットして、後ろに下がって、壁の位置を確認して、呼吸を整えて……というルーティーンがあります。
 
うまく説明できないのですが、ゴールが決まるときは蹴る前に「これは入るな」というのが感覚的にわかるんです。集中力が極限に高まって、完全に自分の世界になる。いわゆる「ゾーン」に入っている状態です。そういう状態をルーティーンによって意図的に作り出せれば、キックの成功率は上がるはずです。
 
あと、僕にはもう一つのルーティーンがあります。それは等々力競技場でコーナーキックを蹴るときに、スタンドに向けて「もっと盛り上がろう!」と煽ること。毎回やるわけじゃなくて、ゴールがほしいときや、流れが来ているときなど「ここぞ」というタイミングでやります。フロンターレのサポーターもわかっているので、スタンドの熱が一気に上がって、応援の声が大きくなります。それによってチーム全体が盛り上がって、プレーにも勢いが生まれる。僕だけじゃなく、サポーターと一緒に作り上げる「勝利のルーティーン」です。
 
今回はここまで。引き続き、「KENGOアカデミー」ではみなさんからの質問をお待ちしています!
 
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中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。小学生時代に府ロクサッカークラブでサッカーを始め、都立久留米高校(現・東京都立東久留米総合高校)、中央大学を経て03年に川崎フロンターレ加入。06年10月、日本代表としてデビュー。国際Aマッチ68試合出場6得点(2015年2月現在)。05年から14年まで10年連続Jリーグ優秀選手賞を受賞。Jリーグベストイレブン5回選出。
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構成:北健一郎 協力:ケンプランニング

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