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中村憲剛の「KENGOアカデミー」

サッカーで「視野が狭い」と言われる選手が身に付けるべき2つのポイント

2015年11月16日

キーワード:JリーグKENGOアカデミー中村憲剛川崎フロンターレ練習

日本屈指のゲームメーカー、中村憲剛選手が読者の質問に答える「KENGOアカデミー」。今回は「視野の広げ方」について分かりやすく説明してもらいました。
 
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【読者の質問】
サイドから来たボールを逆のサイドにパスを出すのが少し遅くなり、取られることが多いです。お父さんやコーチからは「視野が狭い」と言われます。どうしてもボールを見てしまいます。何かいい方法はありますか?
(関口豪くん/9歳/8人制のMFの真ん中)
 
kengo1116_1.jpg
 
【憲剛選手の回答】
質問ありがとう!
みんなからの質問で、キックに関する話と同じぐらい多かったのが「視野」に関することです。
 
・憲剛選手みたいに広い視野を持つにはどうすればいいですか?
・ドリブルをしながら周りを見れるようになるにはどうしたらよいですか?
・顔を上げてプレーするために特別な練習はしましたか?
 
などなど、関口くんと同じように、視野のことで悩んでいるプレーヤーはたくさんいるようです。
 

■ボールを止める・蹴るを徹底的に磨く

僕が考える、視野を広くするためのポイントは大きく2つあります。
 
1つ目が「ボールコントロール」です。
DVD(サッカーがうまくなる45のアイデア)の中でも何度も何度も言っているので、「憲剛、しつこいな〜」と思っている人もいるかもしれませんが(笑)、僕はサッカーでは「ボールを止める・蹴る」という基本が最も大事だと思っています。ボールを止める・蹴るがしっかりできれば、ボールコントロールで顔を上げられるようになります。
 
顔が上がっている選手というのは、相手からすればプレッシャーをかけにくい。プレッシャーをかけてもパスを出されるんじゃないか、突っ込んだらかわされるんじゃないかと思って、思い切って行けなくなります。
顔が上がっていない選手は、相手からすればプレッシャーをかけやすい。周りが見えていなければ、ボールを止めてから何をしようか考えるので、プレーの判断がどうしても遅くなってしまうからです。
 
ボールコントロールがしっかりできるようになれば、視野の広さもプレーの幅もグッと広がります。スムーズにサイドを変えることもできるし、相手のプレッシャーの逆を突いてドリブルを仕掛けることもできる。
視野が狭くて悩んでいる選手には、まずボールを止める・蹴るを徹底的に磨いてほしい。そして常に遠くを見るように心掛ける。それができるようになってきたら、自ずと視野が広がっていく実感が湧いてくると思います。顔を上げて、周りの状況をあらかじめ見ておけば、相手が寄せてきたとしても慌てずにパスを出せます。結果的に、それが「最も速いプレー」になるのです。
 

■1歩、2歩のポジション移動で「景色」が変わる

2つ目が「ボールの受け方」です。
下の図を見て下さい。Aがボールを持っています。逆サイドのCに展開したいけど、距離があるので、真ん中のBがパスを受けて逆サイドにつなぐほうが確実です。
このとき、スムーズにサイドを変えるには、あらかじめ右サイドの選手より、角度をつけて低い位置をとることが重要です。
 
【ボールの受け方】
support.jpg
 
これによって何が変わるのか——。答えは「視野」です。人間の視野というのは180度と言われています。ただし、180度の中でも見やすい場所と見づらい場所があります。一番見やすいのは当然ですが顔が向いている方向、つまり正面。次に見やすいのがナナメ前。一番見づらいのが横です。
 
サイドチェンジでは3人の位置関係が重要になります。3人が直線的に並んでいると、真ん中のBは左サイドのCの位置を正確に把握することが難しくなります。でも、Bがちょっと下がった位置をとるだけで、ボールを持っているA、逆サイドのCの2人をナナメ前の視野に入れることができ、格段に見やすくなります。
 
パスを受ける前にどれだけ準備をしているか。それこそ、1歩、2歩のポジション移動によって、ボールを受けたときに見える「景色」はまったく変わってきます。
サッカーでは「見る」ことがとても重要です。そこにパスを出せる技術を持っていたとしても、ボールを受ける前に「見る」ことができていなければ、次のプレーをするまでに時間がかかって、相手に囲まれてしまいます。これでは宝の持ち腐れです。
 
パスを受ける前に下がるのは、他にも目的があります。それがマークしている相手との「距離」を作ること。マークされていたとしても、ある程度の距離があれば、プレッシャーをかけるまでに時間がかかるので、その間にパスを出すことができます。
どのぐらいの距離が必要なのかは、人それぞれ違います。技術に自信がない子だったら3メートルぐらい必要かもしれないし、俺は1メートルあればプレーできるという子もいるかもしれない。それは自分自身で見つけていってほしいと思います。
 
kengo1116_2.jpg
 

■見えていたのか?そもそも見えていなかったのか?

少年サッカーの試合を見ていると、グラウンドの外で見ている親御さんがフリーの選手がいるのに子どもがパスを出さないシーンがあったら、「どうして出さないんだ!」「あそこが空いているぞ!」と大声で叫んでいる場面に遭遇することがあります。
正直、このような光景はあまり好きではありません。なぜかというと、グラウンドの中の子どもに対して、周りの大人がワーワー言っても、ほとんど聞こえていないからです。むしろ、言われたことによって萎縮してしまったり、そっちに気を取られたりしてしまうマイナス面のほうが大きいのではないでしょうか。
 
僕も父親なので親御さんが言いたくなる気持ちはわかります。でも、プレーしているのは子どもですから、そこはグッとこらえてほしいと思います。僕であれば、その瞬間には言いません。ビデオを撮っているなら、あとで子どもと一緒に見返して「この場面では逆サイドに選手がいたよ」と話します。
 
大事なのは見えていたのに出さなかったのか、そもそも見えていなかったのか。見えているのに出せなかったのであれば、パスを出すための技術を磨く。もしも見えていなかったのであれば、見れるように努力をする。そうやって建設的にやっていくほうが子どもは絶対に「うまくなる」はずです。
 
今回はここまで。引き続き、「KENGOアカデミー」ではみなさんからの質問をお待ちしています!
 
 
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中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。小学生時代に府ロクサッカークラブでサッカーを始め、都立久留米高校(現・東京都立東久留米総合高校)、中央大学を経て03年に川崎フロンターレ加入。06年10月、日本代表としてデビュー。国際Aマッチ68試合出場6得点(2015年2月現在)。05年から14年まで10年連続Jリーグ優秀選手賞を受賞。Jリーグベストイレブン5回選出。
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構成:北健一郎 協力:ケンプランニング

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