1. サカイク
  2. 連載
  3. あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
  4. 上手いけど仲間にキツい子をどう扱えばいい? 相手のことを考える力を身につけさせる指導を教えて

あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

上手いけど仲間にキツい子をどう扱えばいい? 相手のことを考える力を身につけさせる指導を教えて

公開:2019年1月19日 更新:2019年3月18日

キーワード:コーチングリスペクト人権個人技家庭教育尊重思いやり池上正

身体も大きく上手いんだけど、思い通りに行かないと周りに当たったりコーチにも「バーカ」と言ってしまう子。大人をなめた態度を取るのは、学校などサッカー以外の場所でもよくないのでは...と心配したコーチからご相談いただきました。

自分が指導しているチームにそういう子がいた場合、みなさんはどう指導しますか?

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがご自身の体験を通してアドバイスを送ります。(取材・文:島沢優子)

ikegami_column46_01.JPG
写真はサカイクキャンプです。 質問者及び質問内容とは関係ありません

<<日本人に合うのはティキタカでは。リフティングやドリブルなど個人技を極める方針でいいのか?

<お父さんコーチからの質問>

U-8、U-6以下を指導していますが、他の子より体も大きく、ボール扱いも上手い子どもなのですが、自分の思い通りにならないと周りにあたったり、コーチに「バーカ」と言ってしまう子がおり、手を焼いております。

家庭でのしつけも大事だと思うのですが、サッカーの場所で忍耐や相手を思いやる心を身につけさせるにはどうしたらよいでしょうか。

大人をなめた態度を取るのは学校でもあまり良くないのではと、他人のお子さんながら少し心配です。

こういったやんちゃな子に池上さんならどう声掛けをしていかれるでしょうか?

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。
ご相談の文章を読んで、先日私が大学の「運動部指導実践論」の授業で学生にみせたビデオを思い出しました。

人権啓発ビデオ『わたしたちの声 3人の物語 リスペクト アザース

法務省人権擁護局で作成した人権啓発ビデオ

 

2012年度全国中学生人権作文コンテストで法務大臣賞を受賞した作品「リスペクトアザース」を原作として映像化したドラマです。

作者の中学生が、米国と日本の対人関係を比較しながら「人権」について理解を深めていったプロセスを描いています。

■挙手すれば冷やかし、親切心を見せると「自慢?」とからかう日本と米国の違い

物語のあらすじはこんなものです。


米国で幼少期を過ごした男子中学生は、日本の中学校で悩みを抱えていました。

「この問題できる人?」と教師が尋ねても誰も挙手しません。今の日本の学校によくある風景です。そこでその子が挙手すると、周りはひやかします。放課後の野球部の活動で上手くいかない子に親切心で教えていると、「自慢なの?」とからかわれます。

彼はどうしたらいいのか? 日本でやっていけないと悩むのです。

米国でも、野球チームでミスをしては仲間から「君がミスをするから試合でも負ける」となじられたことがありました。

でも、そんなとき、コーチがすかさずやってきて、なじる仲間に対し「Respect others!(リスペクトアザース)」といさめてくれました。

「リスペクト・アザース」はさまざまな場面で使われました。野球チームでも、小学校でも。ビデオに登場する中学生の母親は「保育園でも先生たちが3歳の子どもに真剣に教えていたよね」と振り返ります。

彼は母親に「いじめをやめなさい、って言うよりもリスペクト・アザースと言われるほうがわかる。アメリカでは人と人の関係の基になる考え方が、小さいときから叩き込まれている」と話します。

彼は相談した米国のかつての友人に、こう言われます。

「多民族国家である米国では、人種差別がたくさんあった。そのため、リスペクト・アザースという言葉が広まった。日本の仲間を君は認めているかい? 自分からやるしかないよ。見本になって」

私は、このような人権教育が日本にないことが、米国をはじめとする海外の国との圧倒的な違いだと思います。

■勝ち負けとは別の、本当に大事なこととは

日本では、幼いころに「これを大事にしよう」とか、「こんなことは絶対に言ってはいけません」といった物事の価値観人権哲学を学ぶ機会が、残念ながらありません。

よって、少年サッカーで、スポーツの勝ち負けとは別に、本当に大事なことは何かを伝え続けてほしいのです。

「君はこのチームでは上手いけれど、他のもっと強いチームに行ったらどうだろう? そこで、もし下手くそなんて言われたらどんな気持ちになるかな?」

「上手い子は何をしてもいいいの? 上手くない子はダメなの?」

「君だけが上手いのなら、向こうのコートでやりますか? でも、ひとりでサッカーは出来ないよ。仲間がいるからできるんだよ。みんなで力を合わせてチームが勝つことが大切だよ」

そのような話を、いろんなことから話をつなげて言い続けることが必要です。

次ページ:乱暴だったり言動がキツい子の背景に隠れているもの

1  2

【PR】4月29日~5月1日:池上正コーチによる"サッカーの楽しさを思い出す!"サッカーキャンプを開催!
ikegamicamp_sp_v3.jpg
sakaiku_line.jpg

サカイクオススメ記事やイベントをお届けするLINEアカウント!

サカイクがお届けするイベント情報やサッカーを通した子育てに関するオススメ記事をLINEでの配信をご希望の方は、どうぞご登録をお願いいたします。
※LINEアプリをインストール後、スマートフォンから下記をクリックして「お友達追加」をお願いします。


友だち追加


コーチからの【チーム指導の悩み】に池上正さんがお答えします(例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります
※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。
あなたが指導している【チーム】の年代を教えてください必須

サカイク公式LINE
\\友だち募集中//

子どもを伸ばす親の心得を配信中!
大事な情報を見逃さずにチェック!

友だち追加
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガ
文:島沢優子

募集中サカイクイベント

サカイクイベント一覧

関連記事

関連記事一覧へ

あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]コンテンツ一覧へ(172件)

コメント

  1. サカイク
  2. 連載
  3. あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
  4. 上手いけど仲間にキツい子をどう扱えばいい? 相手のことを考える力を身につけさせる指導を教えて