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楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

勝つためなら何をしてもいいの!? 少年サッカーに通底する日大アメフト問題

公開:2018年6月13日 更新:2018年7月18日

キーワード:W杯スポーツマンのこころメンタル世界と戦う日本代表高橋正紀

サッカークラブや各種スポーツ団体を対象に「スポーツマンのこころ」と銘打つ講義で、一流アスリートになるための心得を伝え続ける岐阜経済大学経営学部教授の高橋正紀先生。ドイツ・ケルン体育大学留学時代から十数年かけ、独自のメソッドを構築してきました。

聴講者はすでに5万人超。その多くが、成長するために必要なメンタルの本質を理解したと実感しています。

高橋先生はまた、「スポーツマンのこころ」の効果を数値化し証明したスポーツ精神医学の論文で医学博士号を取得しています。いわば、医学の世界で証明された、世界と戦える「こころの育成法」なのです。

日本では今、「サッカーを楽しませてと言われるが、それだけで強くなるのか」と不安を覚えたり、「サッカーは教えられるが、精神的な部分を育てるのが難しい」と悩む指導者は少なくありません。

根性論が通用しなくなった時代、子どもたちの「こころの成長ベクトル」をどこへ、どのように伸ばすか。これから数回にわたってお送りします。「こころを育てる」たくさんのヒントがここにあります。
(監修/高橋正紀 構成・文/「スポーツマンのこころ推進委員会」)

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(写真はサカイクキャンプ)

■勝つためなら何をしてもいいのか? 日本のスポーツ界全体が抱える問題

前回、このような主旨のことを書きました。

「ゲームは勝負事だから勝ちにはこだわるが、日本のスポーツは、勝つためなら何をしてもいいという価値観になりすぎている。この勝利至上主義は、育成年代の指導現場から一日も早く排除されなくてはならない

その直後に、日本大学アメフト部の悪質タックル事件が社会問題になりました。最終的に、関東大学連盟の調査によって監督やコーチの指示があったことが認定されました。幸いにも、タックルされた関西学院大学の選手は深刻なけがを負わずに済みました。が、ひとつ間違えば選手生命を脅かされないとも限らない状況でした。

問題の軸はアメフト部を離れ、日大の経営のあり方に移ってしまった感さえありますが、最悪の状態と紙一重だったことを、私やスポーツに携わるみなさんは絶対に忘れてはいけないと思います。

この事件は、さまざまな点で日本のスポーツ界全体が抱える問題の縮図でした。そのなかの一点は、同部の前監督やコーチらが行っていた選手を圧迫する行為です。彼らは、その時々でターゲットにする選手を替え、試合に出場させない、練習に参加させない、理不尽なトレーニングを課すといったことを行っていました。

対する部員らは、監督らのターゲットにされることを「ハマる」と呼んでいたそうです。「干される」以上に圧力を感じさせる言葉です。そういったことも含めて日大アメフト部は世間から大バッシングを受けました。

「ひどいなあ」と、みなさん憤りを感じたことでしょう。

とはいえ、少年サッカーの現場にも、このような圧迫指導が放置されていないでしょうか。例えば、小学校高学年。エース級の選手のモチベーションを上げるため「気合が入っていない」「勝とうとする気が見えない」といった理由で試合に出さない。正当な理由もなくAチームの選手をBに落とす。

低学年であれば、少しばかりやんちゃな子がファウルを繰り返すと、きちんと教えもせずに「あいつは危ないから試合に出すな」と一日中ベンチに置いておく。

そのような圧迫指導を受けているサッカー少年は、日大のように組織ぐるみで執拗ではないにせよゼロではないと考えます。日大の前コーチも口にしていた「選手の成長を促す」といった名目で、そのやり方が正当なことだと勘違いをしている大人はいないでしょうか。

■圧迫指導は大学生より子どもの方が効くが...

実は、大学生以上に、圧迫指導は子どもに効果があります。
「しっかりやらないと試合に出さないぞ」「Aに上げないぞ」と言われたら、彼らは必死にやります。よって、指導者の目論見通り、一見して「成長した」ように見えるかもしれません。

しかしながら、私の見方はその逆です。
圧迫されて成功体験や満足感を得た選手は、その時点で成長の破壊が始まっていると考えます。


「コーチが何度もやれやれと言ってくれたからできた」
「コーチがあのとき干してくれたから、必死になった」

そう思い込みます。そして、自分自身ではモチベーションを上げられない選手になっていきます。圧迫する行為や発言は、結果的にその選手の伸びしろをハサミで切り刻んでいるのと同じ――そのくらい罪なことなのです。

中学、高校と上のレベルを目指せば、選手間の競争は激しくなります。やる気のない者、自分でモチベーションを上げられない者は置いていかれます。30年近く育成の現場を眺めていると、圧迫されてサッカーをしている子は「こころ」が伸びないと感じます。

逆に、圧迫されずに主体的にサッカーと向き合ってきた子は、同じテンション、ハングリーさで毎日のトレーニングに取り組めます。そういう子は、自分の感情をピッチの中でコントロールすることもできます。

そのような「こころの強さ」の土台をつくるのが、少年サッカーです。

では、どのようにして土台をつくるか。

次ページ:子どもの「こころに響く言葉」とは?

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監修:高橋正紀 構成・文:「スポーツマンのこころ推進委員会」

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