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子どもがみるみる伸びる フィンランド式キッズスキル

フィンランド式に学ぶ 笑顔で成長!解決志向の子育て術

2013年12月10日

キーワード:育成自立

 サッカーのプレーは、決断の連続です。優れたプレイヤーは常に次のプレーを意識して、次々に判断を下します。瞬時の判断が求められているとき、誰かの指示を待ったり、ベンチの顔色をうかがったりしている暇はありません。自分で考えて、判断し、自発的に行動するためにはどうしたらいいでしょう?
 
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 ひとつはサッカーの技術を上げること。技術的な伸びしろが多くある子どもたちが、選択肢を多く持つことはとても大切なことです。
 もうひとつは、自分で考える力を身に付けること。これはサッカーだけでなく、成長段階にある子どもたちにとって、あらゆる面で大切なことです。
 
 

■子どもたちを困難解決に導く フィンランド式キッズスキル

 つい先日、世界65カ国・地域の15歳約51万人を対象にした国際学習到達度調査(PISA)の結果が発表され、日本の学力が向上しつつあるというニュースが報じられました。早速「脱ゆとり」の効果か? と報じる向きもありますが、学力だけでない豊かな発想力、自発的に学ぶ能力はまだまだ不足していると言われています。
 そんな中、「自分で考える」「発想する」教育を掲げて、学力面でも長い間、高水準を保っているのが、教育大国フィンランドです。
 
 今回ご紹介するのは、そんなフィンランド生まれの「解決志向」の教育術『フィンランド式キッズスキル』です。大人も子どもも笑顔で子育てに取り組める「自ら解決するプログラム」の中身を紹介してもらいましょう。
 
「フィンランド式キッズスキルでは、問題を指摘しません」
 
 フィンランド式キッズスキルを日本に紹介しているEAP総研の川西由美子所長は「キッズスキルは子どもが自分で学びながら、楽しみながら成長できる方法論」だと言います。
 
 

■脱ぎ散らかす子どもが進んできれいに着替えるようになる方法

「ひとつ例をお話しましょう。服を脱ぎ散らかす子どもがいたとします。その子どもは何度『ちゃんときれいに脱ぎなさい』と言っても、そこら中に服を脱ぎ散らかします。さて、この子が自分のエリアの中で服を脱ぐようにするためにはどうしたらいいでしょう?」
 
 うーん、怒っても言うこと聞かないだろうし、褒めて伸ばすって言ってもこの場合、何を褒めていいのかわかりません。こちらからどんなアプローチをしたらいいのでしょう?
 
「フィンランド式キッズスキルを実践している施設では、こんな方法を試してみたそうです」
 
 川西さんが教えてくれたのは、とてもシンプルな方法です。用意するのは子どもが着替えるのに十分な大きさの「丸いカーペット」だけ。
服を脱ぎ散らかす子どもにこの丸いカーペットを渡して「この丸の中だけで脱いでみよう!」と声をかけたのだそうです。
 
 フィンランド式キッズスキルは、大人が「こうしなさい」と指示するのではなく、子どもと一緒に解決方法を考え、練習し、解決へと進めるプログラムです。この場合「服を脱ぎ散らかす」という問題を指摘するのではなく「丸いカーペットの中で服を脱ぐ」という“スキル”を身に付けることで、本来の問題だった脱ぎ散らかす行為を子どもが自ら克服したのです。
 
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■技術の獲得で問題を解決 解決志向のプログラム

 問題を解決する技術=“スキル”を身に付けることで、子どもたちが自分で考え、工夫して可能性を広げていってくれる。キッズスキルの考え方は、技術の向上とともに自信を深め、より良いプレーができるようになるサッカーにとてもよく似ていますよね。
 
 フィンランド式キッズスキルは、フィンランドの精神科医、ベン・ファーマン博士が開発したプログラムです。このプログラムの開発には、実際の教育現場が深く関わっていて、教師から相談を受けたファーマン医師が
 
「子どもに受け入れてもらいやすい」
「親に感謝される」
「その問題に関わるすべての人たちがお互いに信頼し、協力し合える関係を築ける」
 
 という三つの目標を目指して、試行錯誤、実践を重ねながらできあがった“現場の”声から生まれたものです。子どもの性格や環境のせいにしない教育方法として、フィンランド、スウェーデン、イギリス、オーストラリア、ドイツ、イランなど、世界各国で使われ、その効果が実証されています。キッズスキルについて書かれた本は原作は15ヶ国語に翻訳され、プログラムは20カ国以上に広まっているのです。
 
 ドイツでは、かつてのドイツ代表守護神、2002年日韓W杯のMVPも獲得したオリバー・カーンが、キッズスキルツアーというイベントで子どもと教師に向けてキッズスキルの良さについて広めています。最後方から鬼気迫る表情で味方を鼓舞し続けたカーンは現役引退後も“理想のリーダー”としてドイツ国内でも人気の高い人物です。
URL参照:http://www.youtube.com/watch?v=5U6MEovqyrA
 
「どう育っていくのか、サッカー選手にならなくてもサッカーを通じて自発的に考える姿勢や思考力を身につけてほしい」
 
 多くの保護者が願う子どもたちの自立。今月は、サッカーだけでなく、子育てにも役立つ、フィンランド式キッズスキルをEAP総研の川西由美子所長、キッズスキルアンバサダーでもある山越薫さんにレクチャーしてもらいます。
 
 次回はいよいよキッズスキルを実践するための「15のステップ」について。段階を踏んでいけば誰でもできるようになるのがキッズスキルの魅力のひとつ。次回をお楽しみに。
 
 
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川西由美子
キッズスキルアンバサダー、リチーミングコーチ。フィンランド式キッズスキルを広める日本で唯一のトレーニング機関であるランスタッド株式会社EAP総研の所長を務める。自身も数多くのアスリート、企業所属のスポーツチームをサポートした経験を持つ。
 
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山越薫
キッズスキルアンバサダー、リチーミングコーチ、医療コンシュルジュ、メディカルアシスタントとして基礎心理学の分野からキッズスキルにアプローチする。EAP総研Behavioral Healthコンサルタント。
 
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ベン・ファーマン
フィンランドの精神科医。ヘルシンキ・ブリーフセラピー・インスティテュート(フィンランドが国家レベルで認定しているサイコセラピスト=精神療法家のトレーニング機関)代表。キッズスキルの著者であり、キッズスキルプログラムの開発者。同じく開発に携わった問題解決、チーム再構築プログラム「リチーミング」は多くの世界的企業で研修や人材育成に活用されている。
 
キッズスキルジャパンのHP>>
 
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取材・文/大塚一樹 写真/新井賢一(第37回全日本少年サッカー大会決勝大会より)

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