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『考え抜く』子どもを育てるために

子どもが将来に向けて何が足りないか?を保護者と指導者の間で共有したい

2012年10月30日

キーワード:指導者育成

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上野山さんはサッカーの指導者と保護者の関わりについて、自著の中では『保護者と子どもとコーチが三位一体となって進むことが大事』と述べています。それを実現するためには何が必要になるのでしょうか?
 
「保護者の方も、指導者も、子どもの成長目標をイメージすることが大切です。それがなければ断片的に、とりあえず今日の試合があるから勝ちたい!という気持ちになり、もしも試合に負けたら、目先のことだけを見て子どもの欠点ばかりを言ってしまうのではないでしょうか。保護者も指導者も、子どもが目標に向かう中での1日として今日の試合があると考えて欲しいのです」
 
勝利至上主義と言えば聞こえはいいですが、その中に子どもの目標は設定されていますか? 大人の感情を子どもに押し付けてはいませんか? 私たちは今一度、子どもにかけている言葉を振り返る必要があります。
 
上野山さんは次のようなエピソードを教えてくれました。
 
 
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■保護者との会話の内容で、子どもが成功するか否かを予想できる

「私もガンバの監督をしていたころは、会話を望む親御さんとは直接話をしていました。“将来こういうふうになりたい”という話を振ってきた親御さんの子どもは、やはりその後も成功していたし、逆に成功していない子どもの親御さんは“どうしてウチの息子は試合に出られないの?”という話ばかりをしていました」
 
子どもの目標を理解している保護者と、それがない保護者では、指導者に対するコミュニケーションの内容も大きく変わってくるようです。それでも、“どうして試合に出られないの?”とばかり話をする保護者にはどのように納得してもらっていたのでしょうか。
 
「試合に出られない理由を伝えるのは簡単ですよ。指導者は“練習を見てください。ライバルは彼ですからね”と伝えれば大体分かってくれるはず。そして、“息子さんがダメとは言っていません。ここさえ伸びればライバルを越えることができます”と。指導者はそういうことを親御さんに言って欲しいのです。お互いの立場を理解し合わなければいけない。子どもの将来をどういうふうに見ているのかということを、指導者と親御さんで共有して欲しいです」
 
このようなコミュニケーションが成立すれば、保護者と子どもとコーチの三位一体の体制が整うわけですが、指導者の中にはそのようなコミュニケーションがうまく取れていない方もいるようです。
 
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■指導者も保護者に対して、腹を割って向き合ってほしい

「モンスターペアレンツと言いますが、私はわかる気もします。子どもはかわいいものですからね。でも、コーチたちはコミュニケーションから逃げていたりしませんか?もし、モンスターペアレンツというような親御さんがいて困っているのなら、コーチが教えてあげればいい。腹を割って、子どものために考えるという視点で話をすれば、8割の方は分かってくれますよ。だけど正直に言わないで体裁でごまかしたり、子ども1人1人に対する個別指導をきちんとできていなければそういう関係は築けない。全体の場ではチーム方針の説明だけなので、そこでは親御さんも言えないこともありますから。個別指導が必要です」
 
誰だって、自分の子どもがかわいいのは当たり前。指導者はそういう保護者の気持ちを理解した上で、大切な子どもを預からなければいけないのです。
 
「指導者は、なぜこの子はうまくなっていないのかと、日々考えなければいけない。最初から“この子は言ってもできない”とか、“親に問題がある”とかでは片付けてはいけない。多くの指導者は“今日は何の練習しようか”ということばかりに目が向いていますが、練習で子どもがうまくなれなかったら、まず自分に原因がないのか、指導に問題がないのかを振り返って欲しい。それは非常に大切なこと」
 
 

■保護者の側も、指導者の立場や役割を理解してほしい

「保護者の方が一線を引くということだけは絶対の前提で、自分の子どもがかわいいから試合に出して欲しいという要求は一切無しでお願いしたいです。 “この子がうまくなるためにこうなりたい”ということを話すために、例えば“今回のキャンプのときに好き嫌いが多かったけど、普段の食事はどうですか?”というようなコミュニケーションを指導者と保護者の間で取るのは良いと思いますが、試合に出る、出ないということを話し始めるとややこしいことになりかねません。これは保護者の責任として一切ノータッチにしてもらわなければいけない。選ぶのは監督の役割ですから」
 
「これは大人も子どもも、全部一緒のルールです。大人になって会社に入って、一般社員から課長に昇進できなかったとしても文句は言えないですから。そこは保護者の方には厳しいけど、割り切って任せるということ。ただ、自分の子どもが将来に向けて何が足りないかということはどんどん情報共有してやっていくことが大事だと思います。それを行うことで、子どもに対してもお父さんやお母さんの愛情が伝わってくると思いますから。家庭内も円満になると思いますよ」
 
保護者と子どもとコーチの三位一体の指導を実現するためには、それぞれの気持ちをお互いに理解し合うことがベースとなります。まずは腹を割って、話をするところから始めてみてはいかがでしょうか?
 
 
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上野山信行(うえのやまのぶゆき)//
公益社団法人日本プロサッカーリーグ技術委員長
1957年大阪府生まれ。
1976年からヤンマーディーゼルサッカー部でDFとして活躍し、1986年引退。
その後、釜本FCでジュニア、ジュニアユースの指導を皮切りに、92年ガンバ大阪ユースの監督に就任。
2009年Jリーグ技術委員長に就任し、現在に至る。
「自ら考えさせる」一貫した指導で、多くの日本代表選手を育てている。
日本サッカー協会公認S級コーチ。
 

 

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取材・文/清水英斗 写真/サカイク編集部

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